AMG EQS 53が、Sクラスを超えた「部分」 BEVがメルセデス最上級セダンを変える!
AMG最強スペックに驚くな
標準仕様ともいえる「EQS 450+」が最高出力245kWのモーターで後輪を駆動するのに対して、「AMG EQS 53 4マティック」は前輪駆動用に174kW、後輪駆動用に310kWのモーターを配した4WDを採用。
【画像】Sクラスを超えた? EQS 53のデザイン/内装【メルセデス最上セダンを比較】 全96枚
単純に合算すれば、最高出力は標準仕様の倍近くなる。ちなみに馬力表示なら658ps。

メルセデスAMG EQS 53 4マティック+(ハイテックシルバー) 神村聖
さらに言えば「レーススタート」モードを使用時では560kW(761ps)まで引き上げられる。つまりAMGの中でも最もパワフルなパワートレインを搭載したモデルなのだ。
だからといって外観は限界性能追求のハードコアスポーツの体ではない。
フロントマスクが多少異なっているが、エアロ大盛りとか強面感はない。AMGのアピールが少なく、あっさりしすぎでは?と思えたほどだが、品よいまとまりに好感が持てる。
目の前はハイパースクリーン
インテリアもトリムやカラー設定が異なるものの基本造形は450+と共通。
助手席前面にもディスプレイを備え、メーターパネルから連続した一枚仕立てのグラスコックを構成するハイパースクリーンを標準装着するなど、装備面でも上級設定になる。

メルセデスAMG EQS 53 4マティック+の前席(内装色:ブラック/バラオブラウン:AMGナッパレザー) 神村聖
ただ、後席周りの装備の充実が450+に及ばないのはAMG車の“オーナードライバー志向の強さ”の表れでもある。
どんな感じ?
取り敢えず全開加速も試してみたが、一体何処でこの速さを使うのだろうか。
前後モーターを合算したシステム最大トルクは950Nm(96.9kg-m)、車重が約2.7tあろうともあり余るトルクだ。
スペック全開ならドライ路面の4WDでもホイールスピンを起こしそうなものだが、そうならないのもちょっと不思議な感じがする。それも電動の力だ。
加速の制御 見どころは?
電動モーターは愚直である。制御どおりに反応する。
ゆえに制御プログラムの出来がそのままドライバビリティに反映される。パワフルであっても粗暴ではなく、普段使いもホットな走りも自由自在となるかは制御プログラム次第。然してEQS 53はそのとおりなのだ。

メルセデスAMG EQS 53 4マティック+(ハイテックシルバー) 神村聖
全開加速、といっても公道試乗ではほんの1、2秒しか試せないが、急激に踏み込んでも最大加速に至る間に繋ぎがある。
オノマトペなら「ドンッ」ではなく「グイッ」なのだ。狙った速度でアクセルを戻せば静かに巡航に移行し、速さに翻弄されるような部分が極めて少ない。
ドライブモード次第で中庸域の加速立ち上げ量が異なるものの、いずれでも粗野な振る舞いはない。
加えて言うなら強烈な加速性能に対して制動の備えも十二分。試乗車の機械式ブレーキにはOPのカーボンセラミックを装着し、それだけでも十分過ぎるのだが、駆動力を考えれば回生ブレーキ容量も相当なもの。
もちろん、回生と機械式の2つの制動系は協調して電子制御されるが、アクセルコントロール同様にブレーキもまた素直かつ確実で、フェザータッチの減速から全制動まで自然な制動感覚を示した。
知っておきたい最小回転半径
低全高で大容量バッテリーを床下に収納。当然、プラットフォームは新規開発されたもの。
エアサスを採用した電子制御サスの採用など、メルセデス車の上級クラスのセオリーにも則っている。450+に対しては専用サスチューンの他にリア・アクスルステアリングの大舵角化型を標準採用する。

450+の後輪操舵は舵角4.5°が標準。それに対し、53 4マティック+は舵角9°が標準採用。 神村聖
リア・アクスルステアリングはタイトターンでの旋回性と高速コーナリングでの安定性を向上する操安志向の電子制御システムだが、大舵角型は実用性向上アイテムでもある。
EQSは全長は5225mm、ホイールベースは3210mmにもなるが、EQS 53の最小回転半径は5.3mでしかなく、なおかつ逆位相後輪操舵で小回りを稼いでいるので、ホイールベースに対して内輪差も少ない。
小回りはメルセデス車の特徴の1つでもあり、それを裏切らない取り回しのよさも実感できた。
乗り心地について
“電子制御も使い方次第”は前項でも述べたが、走りに対して一本筋を通しているかのように、フットワークもまた「高性能と肌触り」あるいは「感性との馴染みよさ」を主眼としている。
どっしりと腰の据わった乗り心地。近年のAMG車は乗り心地への気配りも利いている。

メルセデスAMG EQS 53 4マティック+の後席(内装色:ブラック/バラオブラウン:AMGナッパレザー) 神村聖
最もスポーティなドライブモードのスポーツ+も含めてしなやかなストローク感があり、加減速やコーナリングのGの高まりと速度域に応じて程よく引き締める。無駄な硬さがない。
モードによる変化は初期値設定とG増への対応の早さが主であり、コンフォートモードでは「意外としっかり」、スポーツ+では「意外と快適」という印象に繋がる。
走りの「安心感」と「質」を高める乗り心地と操安性の予兆と余韻の取り方は出色の出来だ。
新時代のサルーン 価格も頂点
価格は、「450+」の794万円高の2372万円。
日本で展開するSクラスの最上位モデルとなる「S 580 4マティック・ロング」が2080万円、ショーファードリブン志向のマイバッハを除けばメルセデス車のセダン系では「メルセデスAMG EQS 53 4マティック+」が価格面での最上位モデルとなる。

メルセデスAMG EQS 53 4マティック+(ハイテックシルバー) 神村聖
ちなみに「EQS」「EQE」以外のセダン系AMG車では1405万円のE53 4マティック+が最高価格車だが、AMG車の頂点にBEVというのも時代を感じさせる。
その投資価値は、Sクラスを上回る良質な乗り味と圧倒的な信頼感。
それらはパワートレインを筆頭に4輪の駆動制動力配分やサスストロークの能動的制御、4輪操舵など運動性と快適性を司る機構の巧みな電子制御に支えられている。
“機械と電子制御の最適なマリアージュ”という意味でも近未来のクルマを実感させてくれた。電動時代にSクラスが、あるいはAMG車がどうなるかを予感させるモデルである。
充電インフラの不便さや601kmの満蓄電航続距離(WLTCモード)などの短所はあるにしても、メルセデス車の最上級サルーンの形がBEVにより進化。良質とか品格を基本に置いたBEVの頂点モデルなのだ。
メルセデスAMG EQS 53 4マティック+ スペック
価格:2372万円
全長:5225mm
全幅:1925mm
全高:1520mm
航続可能距離(WLTC):601km
CO2排出量:0g/km
車両重量:2670kg
0-100km/h加速:3.8秒(レーススタート:3.4秒)
パワートレイン:同期モーター(前・後)
ギアボックス:1速固定式
最高出力(前):237ps/4858-6937rpm
最大トルク(前):35.3kg-m/0-4858rpm
最高出力(後):421ps/4918-6886rpm
最大トルク(後):62.1kg-m/0-4822rpm
最高出力(システム):658ps(レーススタート:761ps)
最大トルク(システム):96.9kg-m(レーススタート:104kg-m)
駆動方式:四輪駆動
バッテリー種類:リチウムイオン
バッテリー容量:107.8kWh
乗車定員:5名
最低地上高:140mm

メルセデスAMG EQS 53 4マティック+の荷室 神村聖
