※この記事は2021年10月11日にBLOGOSで公開されたものです

岸田文雄首相が行った所信表明演説に対する代表質問が国会で11日に行われ、立憲民主党の枝野幸男代表が選択的夫婦別姓制度の導入について問う一幕があった。

立憲民主党は、8日に「ジェンダー平等の実現に向けた女性政策の充実」と銘打ち、選択的夫婦別姓の早期実現、刑法の強制性交等罪における暴行・脅迫要件や同意年齢の見直し、各議会での男女同数などといった公約を発表している。

夫婦別姓制度について枝野氏から「婚姻の一方当事者に改姓を強いるという差別的な制度を急いで改める必要を感じないか」と問われた岸田首相は、「国民に様々な意見があり、引き続きしっかりと議論すべき問題だ」と答えるにとどめた。

また、枝野代表は「同性カップルの婚姻を可能にする法制度の実現を目指す」と述べ、岸田首相の見解を求めた。これに対し、岸田首相は同性婚制度の導入について「我が国の家族のあり方の根幹にかかわる問題であり、極めて慎重な検討を要するものであると考えている」と回答し、慎重な姿勢を見せた。

朝日新聞(自民に夫婦別姓の推進議連、100人超 慎重派も設立へ)によると、岸田首相は今年3月、自民党の有志議員でつくる「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」を自らも呼びかけ人となり設立した。一方、自民党総裁選では選択的夫婦別姓制度について「慎重に判断すべき」としていた(【独自】自民党総裁選4人の候補者に政策方針アンケートを実施 消費増税の可能性から夫婦別姓の是非まで)。

質問と回答の全文は以下の通り。

【枝野代表による質問】

選択的夫婦別姓制度の導入を法制審議会が初めて答申したのは1996年、私は初当選以来28年間もその実現を訴え、何度も議員立法を提案してきました。もはや議論は十分です。決断と実行のときであります。私たちは選択的夫婦別姓制度を早期に実現します。大部分が女性である婚姻の一方当事者に改姓を強いるという差別的な制度を急いで改める必要を感じませんか?明確にお答えください。

性的指向や性自認を理由とした差別を禁止するLGBT平等法の制定と、同性カップルによる婚姻を可能にする法制度の実現を目指します。担当の大臣も設けます。これらに関する総理の見解をお聞きいたします。

【岸田首相による答弁】

選択的夫婦別姓制度に、同性婚、性的指向や性自認を理由とした差別についてお尋ねがありました。

選択的夫婦別姓制度の導入については、国民にさまざまな意見があるところであり、引き続きしっかりと議論すべき問題であると思っております。同性婚制度の導入については、我が国の家族のあり方の根幹にかかわる問題であり、極めて慎重な検討を要するものであると考えています。

また性的指向、性自認を理由とする不当な差別はあってはならないと考えます。多様性が尊重され、全ての人々が互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現に向け、関係大臣が連携してしっかりと取り組んでまいります。