【株価はどう動く?菅下清廣氏に聞く】今後はデジタル関連、バイオメディカル関連の企業を注目すべき局面に
一方、米中対立の中で日本は日米同盟に基づいてアメリカとの関係はいいですし、中国とも歴史的に様々な背景はあるものの、多くの期間で良好な関係を築いてきました。先進国の中で唯一、両国と対話ができ、ビジネスができる国が日本です。再び日本の時代がやってきてもおかしくありません。
─ その理由は?
菅下 前回のジャパン・アズ・ナンバーワンの時代は、ハードウェア、モノづくりの時代でしたから、日本は自動車、テレビなどの大量生産、技術革新で成功しました。
今はハードウェアの時代が終わり、ソフトウェアの時代になっていますから、人間の精神や心情に訴えかける分野で日本が活躍する可能性があります。
日本でも9月にデジタル庁が発足します。この後、菅政権が続投してもしなくても(9月3日に退陣表明)、政権を担った人達は日本が生き残るためにもデジタル革命を起こさざるを得ません。
少子高齢化を乗り越えるためにも、これまで1000人でやっていたことを100人、10人でできるようにする必要がありますし、効率化だけでなくイノベーションを起こすことが日本の命題です。それができなければ、日本は先進国に残ることができません。
─ 中国経済の今後をどう見ていますか。
菅下 中国は18年の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で国家主席の年限を廃止しましたが、ここが習近平氏のピークではないかと見ています。
今年、中国はアリババグループなどのIT企業を規制していますが、「中国という株」は今年を持って天井を付けたと言っていいと思います。
─ 日本、アメリカにとって中国は最大の貿易相手国ですが、そこが沈むと陰に陽に影響が出てきますね。
菅下 ただ、中国はゆっくり沈んでいくと見ています。時間をかけて、世界は中国相手のビジネスを見直していくことになるでしょう。その代わりに日本などアジアの先進国に世界のマネーが向かうことになります。
日本の株価の行方をどう見るか
─ その中で、日本の株価の行方をどう見ますか。
菅下 今申し上げた流れに乗って、日本の株価はいずれ上がり出します。日経平均は1989年12月末に付けた最高値・3万8195円を突破する、あるいはそれを目指す動きになると見通しています。
今後、米中対立が激化すると、先進国のマネーはアメリカに集中しますし、現に今、そうなっています。アメリカはインフレになりつつあり、GDP(国内総生産)の成長率も6%を超え、金利も上がり始めています。
しかし、アメリカの30年もの、10年ものの国債の金利は下がっています。なぜか。それは世界のマネーがアメリカに殺到して、米国債を購入しているからです。
債券は価格が上がると利回りが低下しますから、今は債券高の株高となっています。これは今まで中国など新興国に向かっていたマネーがアメリカを目指していることを示しています。
いずれ、アメリカに向かっているマネーの一部は日本に還流してきます。なぜなら、アメリカの次に安全で、株価が割安な国が日本だからです。
─ 世界の投資家が改めて日本を評価するようになる?
菅下 ええ。安全に加えて、日本には技術があります。第2次世界大戦で焦土となった日本が、わずか半世紀で経済大国にまで上り詰めた理由は様々な分野における技術力です。
もう一つ、日本には世界に冠たる良質な国民がいます。世界から比べて、その水準は信じられないくらいに高い。これは11年の東日本大震災でも証明されました。
