新潟で指揮を執るスペイン人のアルベルト・プッチ・オルトネダ監督【写真:©ALBIRX NIIGATA】

写真拡大

【インタビュー最終回】スペイン人のアルベルト監督が感じる日本の魅力は?

 アルビレックス新潟を率いるアルベルト・プッチ・オルトネダ監督は、チームをJ2リーグ首位争いに導く戦略家としての手腕はもちろん、一体感を生み出す希代のモチベーターとしても知られる。

 スペイン人指揮官は日本のどこに惹かれ、“愛”を育んできたのか。インタビュー最終回では、日本の魅力について訊いた。

 世界的名門バルセロナのスカウト、アカデミーコーチ、ダイレクターを務めた経歴を持ち、日本代表MF久保建英(ヘタフェ)やスペイン代表FWアンス・ファティ(バルセロナ)を発掘して下部組織に入れたアルベルト監督。母国スペインで確かな実績を積み、その後ガボン、アメリカ、アンゴラと渡り歩き、2020年から日本の地で自身初となるトップチームを指揮している。

 キャプテンのDF堀米悠斗、ムードメーカーのDF千葉和彦、“新潟のメッシ”ことMF本間至恩らを中心とした、チーム一丸の戦いぶりが特徴の一つだが、そうした一体感の土台となっているのが、アルベルト監督の“日本愛”と言ってもいい。

 例えば今年3月、アルベルト監督は「私を温かく受け入れてくれたこの国の偉大な歴史や、私が尊敬する日本国民の強靭な精神をより深く理解するため」に、戦国時代の日本を舞台としたドキュメンタリー「エイジ・オブ・サムライ:天下統一への戦い」を見て、日本により深くアプローチしていることを自身の公式ツイッターで明かしていた。また、新潟県を活動拠点とする日本の3人組女性アイドルグループ「Negicco」のKaedeさんとの心温まるやり取りも、新潟をはじめとする日本への思いがあってこそだろう。

 アルベルト監督も、「様々な国に行った経験がありますが、どの国においても、気に入った部分、そうでない部分があります。私の母国スペインを含めて、完璧な国というのは存在しないと思います」と前置きしたうえで、日本の魅力についてこのように語る。

「サポーターが対戦相手のチームに対してもリスペクトを示す姿は本当に美しい」

「私が日本で最も気に入っている部分の一つが、個人よりもチームメート、グループを大切にすることです。“仲間意識”とでも言いましょうか。そのような価値観により、周囲の人間をリスペクトする気持ちが強く育まれていると思います。例えば、高齢者に対するリスペクトも素晴らしいものが存在します。サッカーのスタジアムにおいては、サポーターたちが対戦相手のチームに対してもリスペクトを示す姿は本当に美しい。あと、日本人の笑顔も大好きです」

 アルベルト監督が日本の価値観に共感を覚え、寄り添うことで、選手・スタッフ・関係者を含めた“アルビレックス・ファミリー”の絆はいっそう強固なものとなっている。「ほかにも気に入ったことに出会えたら、その時にまたお伝えしたいと思います(笑)」。常にリスペクトを忘れないスペイン人指揮官と、日本の“幸福な関係”はこれからも続いていく。

※取材はビデオ会議アプリ「Zoom」を使用して実施。

[PROFILE]
アルベルト・プッチ・オルトネダ

1968年4月15日生まれ。スペイン・カンブリス出身。名門バルセロナで育成部門のトップとして長年在籍し、クラブの根幹を築き上げた人物の1人として知られる。選手個々の能力を見極める分析力に長け、モチベーターとしてのアプローチも絶妙。米MLSニューヨーク・シティのヘッドコーチを経て、2020年シーズンよりJ2のアルビレックス新潟で指揮を執る。
(Football ZONE web編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)