2021年5月7日、東京、京都、大阪、兵庫の4都府県に発令されている緊急事態宣言が延長されることになった。

そんな中、動物園やお土産屋さんが休業のため、お土産お菓子「パンダのうんこ」が廃棄されようとしているというツイートが、人々の注目を集めている。

「ちょっと待って、『パンダのうんこ』って何?」と驚く読者もいることだろう。「パンダのうんこ」とは、これだ。

「そもそも、こんな菓子の存在すら知らなかった、いったいどんなお菓子だろう?」

好奇心の塊になってしまったJタウンネット記者は、「パンダのうんこ」を製造販売する、「お麩の松尾」に電話取材することにした。青森県弘前市にある会社だ。

パンダのうんこは緑色、京都産の抹茶をまぶした麩菓子

5月6日、Jタウンネット記者の取材に応じたのは、「お麩の松尾」の松尾勇悦社長だった。創業は1882(明治15)年、「麩」製造を140年近く受け継ぐお麩屋さんである。

「『パンダのうんこ』は、2017年、上野動物園で生まれたジャイアントパンダ『シャンシャン』にちなんだ独自商品で、2018年3月に発売しました。
青竹を好むパンダのふんが緑色であることをヒントに、見た目を子どものパンダのふんに近づけてみました。大きさは5〜6センチで、京都産の抹茶をまぶした麩菓子です」(松尾勇悦社長)

この「パンダのうんこ」の企画開発は、クロスステッチデザイナーの大図まことさんの発想だったという。

実は、「パンダのうんこ」が廃棄されようとしている、とツイッターで発信したのも、この大図さんだ。

「大図さんから、『量産できますか?』と聞かれて、一瞬考えました(笑)。麩菓子は、黒糖味以外にも、りんご味、カシス味など、実はいろいろ手掛けていましたから、その応用で、生産効率を上げれば、抹茶味もできそうだと思い、決断しました」(松尾勇悦社長)

17年当時、「お麩の松尾」の事業は、料理用の焼麩と、駄菓子としての麩菓子に二分されていたという。

焼麩の需要は、鍋物の多い冬場に集中している。通年の商品をもっと拡げたいと考えていた松尾社長は、お土産菓子の「パンダのうんこ」は駄菓子から脱皮するチャンスかもしれないと期待したそうだ。

18年3月発売以来、予想以上の売り上げを上げ、快進撃を続けたという。ところが......

「上野駅公園口改札内の『上野ランド』さんで販売していただき大好評をいただいておりましたが、昨年より発生したコロナの影響で売り上げが落ち、現在お取り扱いのあるお店は、上野動物園入り口横の『パークス上野』さんだけになりました」(松尾勇悦社長)

今年に入ってからは、お土産菓子の売れゆきは激減し、賞味期限もあることから、ついに廃棄処分も考えなければならない状況になったという。

話には続きがある。大図まことさんのツイートで話題になったおかげで、実は、オンライン通販への注文が殺到しているのだ。

ツイッターにはこんな声が寄せられている。

「注文しましたー! 美味しそうっ! 楽しみです」
「初めまして、通販サイトから、バナナ味、 りんご味など購入しました。注文からペイジー決済まで、スマホで簡単にできました。 頑張って欲しいです!」
「買ってみました〜! 初めて食べるので楽しみ」
「うんこ欲しい!」

松尾社長はこう語った。

「このGW(大型連休)の間に、オンラインで160件を超える注文をいただきました。
通常は、月に20件ほどですから、わずか1週間で約8倍のご注文で、発送作業に追われ、まさに嬉しい悲鳴をあげているところです」

なお「パンダのうんこ」は、抹茶味の他に、さくら風味、青森りんご味、バナナ味など、さまざまな種類がある。お好みの味をどうぞ、とのこと。