『エージェント・オブ・シールド』を牽引してきたクラーク・グレッグ、コールソンのこれまでを振り返る

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マーベル初の長編ドラマシリーズ『エージェント・オブ・シールド』のファイナルとなるシーズン7がついに日本上陸! シリーズの幕引きに向け、昨年本国アメリカでの放送開始前にフィル・コールソン役のクラーク・グレッグが米Varietyのインタビューに応えている。2008年の映画『アイアンマン』からマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に参加し、本作を牽引してきたクラークは何を語ったのか―。(※本記事は『エージェント・オブ・シールド』シーズン6までのネタばれを含むのでご注意ください)

――(シーズン7の始まりで)S.H.I.E.L.D.が誕生するより前の1931年まで遡るはどんな気分でしたか?

私たちはこれまで多くの未来を見てきたが、シーズン6の終わりに突然、建設中のエンパイア・ステート・ビルディングを目にしたんだ。私は、" OK、これはクールな衣装とクールな武器が出ることを意味するんだな"と思ったよ。そして、それは想像以上だった。実際、このドラマはシーズン5で終えるつもりだったはず。(シーズン5の)最終回のエピソードタイトルは「結末(原題:The End)」で、コールソンは残された日々をタヒチで過ごしていたが、そこからさらに全13話×2シーズンを製作することが決まった。製作陣は最善を尽くし、できるだけ楽しむことを決断したのだと思う。


――シーズン6では、コールソンと瓜二つの「サージ」として登場しましたが、コールソンから離れて新しい役を演じることは楽しめましたか?

本当にワクワクしたよ。悪者だとは思っていないが、彼は起こっていることを確かに理解していて、コールソンなら気にする道徳的な複雑さをあまり心配する必要がなかった。とてもシンプルで、クリーンで、ダークで、本当に楽しかった。


――コールソンが恋しくなりましたか?

んー、恋しくか...。あまりならなかったかな。特定の3、4カ月はね。でも、サージの真相と彼の見た目の理由が非常に複雑で私にも明かされなかったから、少し混乱したかな。自分ではそれまでの筋道を理解していると思っていたからね。だから、あの疲れた見慣れた顔でストーリーラインを機能させる方法を見つけ出すために全てを出したんだ。


――コールソンをLMD(ライフ・モデル・デコイ)として復活させるという決定についてどう思いましたか?

最初は少し困惑したね。私は自分がやりたいかどうかは関係なく、コールソンの全てを内面化するんだ。そして、彼はそれを望まないと強く主張していた。それに、私は(『新スター・トレック』でブレント・スパイナーが演じる)データが大好きで、フィル・コールソンをデータにはしたくなく、彼らの考えとは異なっていたんだ。彼は一般的なAIキャラクターが対処したことと向き合った、"自分は何なんだ?"と。コールソンの場合、"今の"自分は。それに、彼は実際には典型的なLMDでもない。いつか非常に高度なAIが誕生したら、巨大知(=organic intelligence)と人工知能の違いを見分けるのは困難になると思う。待って、今完全にヲタクみたいになったね?!


――コールソンが『アベンジャーズ』(2012)で亡くなり、放送局の米ABCが『エージェント・オブ・シールド』の製作を発表したときは、多くのファンがコールソンはLMDになるだろうと推測していたはずですから、実際にファイナルシーズンでこうなったことは面白いですね。

私もそう思うよ。ご存知の通り、この番組が130話以上続くとは誰も想像していなかった。その後、マーベルTVとマーベル映画は分裂した。だからこそ、ショーランナーのジェド・ウェドン、モーリサ・タンチャローエン、ジェフリー・ベルは、非常に精巧な映画の世界とは結びつかないマーベルユニバースの一部を作り上げなければならなかった。そうして、インヒューマンズ、タイムトラベル、ゴーストライダーなど、まだ誰も使っておらず、何回でも素晴らしい効果を発揮してくれるものに頼ることになったんだ。だから、そこまで驚くことはなかったよ。


――(シーズン7の)最初のエピソードは1931年まで遡ります。その時代にとどまることに期待してもいいのでしょうか?

素晴らしいエンヴェア・ジョカイ(ダニエル・スーザ役)の出演により『エージェント・カーター』とのクロスオーバーが明らかになったから、私たちは確かに50年代の何かに取り組むと言えるだろう。

私たちは漫画で描かれているそれらの時代の何かをいくつか探求するかもしれない。ノアールを感じずに50年代にいくことはできないだろう。みんなが全力でこれらの時代を最大限に活用した。ものすごく楽しい話もあれば、本当に怖くてダークな話もあり、そして歴史の一部を取り消そうとするクロニコムのミステリーも。


――過去に(シーズン5第6話、シーズン6第1話)監督を務めたことがありますが、今シーズンでもメガホンを取りましたか?

今シーズンはやっていないよ。時間をかけて演出する準備ができていた人がたくさんいたからね。誰とは言えないが、仕掛けをして待っている人たちがいたんだ。だから、そのために一生懸命働き、多くのエピソードに爪痕を残してきた人たちがその機会を得ているのを見て本当に嬉しかったよ。これらのエピソードを監督した人々を見ると、とてもワクワクするはずだ。

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――マーベル・テレビジョンとマーベル・スタジオの違いについて触れました。『エージェント・オブ・シールド』は途中で映画との連携をやめています。(『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で描かれた)サノスの指パッチンに関わる機会を逃したと思いますか? それとも、関わらないことに安心しましたか?

機会を逃したと思うし、安心した。シーズン1を振り返ると、ヒドラとクロスオーバーし、「この番組は何?」と思っただろう。それから、サミュエル・L・ジャクソン(ニック・フューリー役)やコビー・スマルダーズ(マリア・ヒル役)が出てくれたこともあった。本当にスリリングなことだよ。確かに(サノスの指パッチンは)逃したが、『エージェント・オブ・シールド』は本当に進化し続けていると感じたんだ。シーズン4ではゴーストライダー、LMD、フレームワークが登場する。これらは映画と緊密に結びついていなかったからこそ、勇敢な作家たちが描けたことだと思う。

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――マーベル・スタジオはDisney+(ディズニープラス)で新たなシリーズ製作を始めており(当時)、マーベルTVは『エージェント・オブ・シールド』とともに終わりを迎えます。このことについて、どう考えていますか?

んー(笑) これらの番組のことは具体的にはわからない。TVドラマ好きとしては、『ゲーム・オブ・スローンズ』まで、かつてTVと呼ばれていたものが映画のように描かれ、それを見るのはワクワクする。公平に言えば、世界は本当に変わった。私はいつも、マーベル作品を毎週放送するTVの形式に取り入れた作品に携わったことを誇りに思っているんだ。(放送局の)ABCは私たちが適応できるように素晴らしい仕事をしてくれたと思う。ただ、トム・ヒドルストンが主演する『Loki(原題)』のエピソード数(全6話)を映画のような予算と映画の製作スタッフでやっていると聞いて驚かなかったと言えば嘘になるだろう。とは言え、予算やリソースの制約がある中で、クルーや映像効果の人たち、キャストがやってきたことを誇りに思っているから何と言えばいいか難しいね。


――これまでの中で最高の思い出は何ですか?

(映画で)コールソンは死んだと思っていて、もうこの役は終わったと思っていたが、そこには大きな秘密があった。死んでおらず、TVにいて、なぜ死んでいないのかという大きな謎について描くシーズン1がある。そして今、若くてまだまだこれからの人たちが加わった新しいチームと一緒にいる。波のある時間といくつかの栄光を経験し、生き残り、乗り越えれば家族になる。コールソンとしての自分を見つけたことは、何よりの贈り物だった。そして、別の州ではなくカリフォルニア州のカルバーシティで地元のプロダクションと製作し、毎日放課後娘に会うことができたことは特別なことだった。心から感謝しているよ。最終回の放送日は、悲しい日になるだろうね。

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――『アイアンマン』から12年。またコールソンを演じることになると思いますか?

発表するにはいいタイミングだと思うんだが...本当にわからないんだ(笑) 残念だけどね。隔離サディズムのせいだね。何も知らないんだよ! 「新しいスーツを着てフィル・コールソンを演じるのは忙しくて無理だ」なんて言う自分は想像できない。彼らがタイムラインを変えたり、映画の中でマルチバース(多元宇宙)を明かしているのを見ると、いつもワクワクするんだ。"自分もいたかもしれないシナリオだ!"って。だから、私はこのキャラクターを通してあり得ないことはないと学んだし、このような経験ができたことにも本当に感謝しているよ。

2019年の夏に撮影を終えていたため、新型コロナウイルスの影響を受けることなく無事全話放送することができたいよいよ2月26日(金)よりDisney+(ディズニープラス)にて配信スタート!

(翻訳/Ai Ono)

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