年金「月30万円」の夫婦の危機…長男絶句の住宅ローン残額

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年を取り、体に多くの不安がある人が多くなってきている現在、子供の家族と暮らせれば少し安心できるのではないでしょうか。そこで今回、税理士の斎藤英一氏が2世帯住宅を作るにあたっての不安点や問題点などを事例を通して学びます。

年金「月30万円」だが老後への不安は高まっていた

子世帯のみが住宅ローンを使って二世帯住宅を建てるパターンをとりあげてみましょう。

父親A(65歳)と母親B(60歳)は古い一軒家に住んでいました。土地は165平方メートル(約50坪)、建物は木造築35年であり耐震性に不安を感じていました。預貯金は5500万円、年金は夫婦で月額30万円程度と資産も十分で、双方ともに健康に問題ありません。ただし、父親は65歳を迎えて体力も落ちてきて、今後の生活に若干不安をもち始めたところです。

一方、一人息子のCさんは分譲マンションに家族3人で住んでおり、1500万円のローン残債があります。親の意向もあって、子世帯は親世帯の所有する土地の上に二世帯住宅を建築することを検討しています。

(写真はイメージです/PIXTA)

この場合、まず分譲マンションの取り扱いが問題となります。具体的には、’箋僂垢襦△△襪い廊賃貸に供するという選択肢があります。

’箋僂垢訃豺腓砲蓮⇒益すなわち譲渡所得が発生した時には所得税が発生します。もっとも、居住用不動産を売却して利益が生じた場合には、3000万円までは税金のかからない特例もあるので、それを使えば所得税を軽減できます。

逆に損失が出た場合、すなわち売却時の金額より購入時の金額が高い場合には、税金はかかりません。

また、マイホームを売却して、新たにマイホームを購入した場合には、譲渡益が出ている場合は一定の要件を満たせば課税の繰り延べができ、逆に譲渡損失が出ている場合は一定の要件を満たすものに限り、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)することができます。

一方、賃貸に供する場合には、賃料設定、経費の試算が必要になります。また、税金とローンの返済に関する検討も必要となります。ローン返済額のうち元金部分の返済については経費とならないため、資金的には不足しているにもかかわらず税金がかかってくる場合があるので、入念な試算が必要となります。

売却か、賃貸か…Cさんの決断は?

以上の点を検討したうえで、Cさんは売却を決めました。3000万円で購入したマンションを2000万円で売却したので、1000万円の売却損が発生しています。この売却損は、前述のように一定の要件を満たせばCさんの他の所得と損益通算することもできます。また、通算しても損失が残る場合は、最大3年間繰り越すことが可能です。

最終的に、Cさんは売価した金額で、残っていた1500万円のローンを返済しました。この場合、居住用不動産の買い替えを行わない場合の損益通算は、

1.譲渡損失1000万円

2.ローン残高1500万円−売却金額2000万円=▲500万円

のいずれか小さい金額なので、このパターンでは損益通算できませんが、今回は買い替えたときの特例が適用できます。

一定の要件を満たせば売却損は3年繰り越せる

具体的には、売却する居住用不動産、買い替える居住用不動産それぞれについて以下の要件を満たせば売却損を3年間繰り越すことができます。

(売却する居住用不動産について)

・所有期間が売却する年の1月1日現在で5年を超えている。

・売却した居住用不動産に譲渡損失が生じ、その年の他の所得と損益通算しても、なお赤字が生じている。

(買い替える居住用不動産について)

・前の居住用不動産を売却して、翌年の12月31日までに新しい居住用不動産をローンで購入する。また、居住用不動産を先行して取得する場合には、翌年の12月31日までに前の居住用不動産を売却する。

・購入する居住用不動産は50平方メートル以上の床面積を居住用にする。

・購入後の居住用不動産のローンは、融資期間が10年以上であり、特例を受ける各年の年末に残債がある。

なお、500平方メートル以上の敷地を売却した場合には、特例の対象となるのは500平方メートルまでに限られます。また、各年の所得が3000万円を超える年については、特例を適用できません。