左は大阪・関西万博のロゴマーク、右は松永健太さんが作ったパン

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2025年に開催される大阪・関西万博のロゴマークが8月25日に発表されてから、早くも10日余りが過ぎた。そのポップでキッチュ、かつ妄想をかき立てるデザインはSNSを中心に大反響を巻き起こし、イラストやハンドメイド作品、果てはパンなどの“二次創作”が続々と誕生。そして……あっという間に消費し尽くされてしまった!! 9月5日現在、新たな創作物が生まれている気配はなく、そもそもロゴマークの話題自体をあまり見かけないと言わざるを得ないのが現状だ。「人の噂も七十五日」と言われるが、インターネット、そしてSNSの登場以降、ひとつの話題が消費される速度はいや増すばかり。今回、一連の盛り上がりをど真ん中で経験した男性に、「SNSでバズること」について詳しく聞いてみた。

【写真】店内に並ぶいのちの輝きパン、非売品ですが

男性は「大阪万博のロゴ『いのちの輝き』を世界最速でパンにしました」という投稿でバズり倒した松永健太さん(@kentamatsunaga)。音楽活動をしながら、東京の南小岩でパン店「Boulangerie BASSE(ブーランジェリー バース)」を営んでいる。

松永さんはロゴマーク発表の翌日(26日)お昼前に、そっくりの形のパンを焼いてTwitterに写真をアップ。すると、パンという意外性と再現度の高さがTwitterユーザーの心を掴んだのか、凄まじい勢いで拡散されていき、投稿から2時間半ほど経った頃にはネタを嗅ぎつけたテレビ局やネットメディアから取材の依頼が入り始めたという。

■Twitterで「バズる」ってどんな感じ?

――現時点(取材日は9月3日)でRTは3.3万まで伸びていますね。

「RTの勢いがすごかった8月27、28日の段階で、ほぼそれくらいまでいっていました。これまでも時事ネタなどに絡めて作ったパンをアップしてそこそこバズった経験はありましたが、RTは2000から3000程度。単純計算で今回は10倍以上ですから、ちょっと驚きました」

――素朴な疑問ですけど、バズったらスマホの通知ってどうなるんですか?

「RTが1000を超えたあたりから、全部は拾わなくなるみたいですね。よほどフォロワーが多いアカウントからのRTとかではない限りは、いちいち通知は来ませんでした。ひっきりなしにピコピコ鳴っている感じではないです」

――松永さんはDMをずっとオープン設定にしていますし、取材にも積極的に応じていましたね。無断転載のサイトも含めると、「世界最速パン」はめちゃくちゃ広まっていた印象です。

「取材はテレビやウェブ媒体、新聞、雑誌など、最終的に全部で12件か13件受け、映像や記事としてあちこちで発信されました。無断転載の方はさすがに把握できていません」

■メディアに取り上げられるも、実店舗に影響なし

――立て続けに取材依頼が来て、鬱陶しく感じたりはしないのですか?

「普段からお店紹介などの取材が時々あるので、こういうのには慣れているんですよ。でも、今回テレビも含めてこれだけ大量に露出しても、お店の方にはほとんど影響ありませんでした。お客さんの数も売り上げも、特に増えてはいないですね」

――え、そんなもんなんですか。

「別に最初からそこは期待していないからいいんです。盛り上げに一役買えたし、少なくとも損はしていません」

「最近のTwitterって、タイムリーなネタに絡めて自分の得意分野でいかに気の利いた“正解”を出せるかという大喜利みたいなところがあると思いませんか? 今回のロゴマークは個人的にかなり楽しませてもらいましたし、これからもパンのネタ投稿は続けていくつもりです」

■盛り上がっていたのは…「体感で実質2日」

――ちなみに、盛り上がりの収束を感じたのはどのあたりでしたか?

「8月26日に投稿して注目され、体感では27、28日に拡散されて終わり、という感じです。先ほどもチラッと言いましたが、27日が勢いのピークで、盛り上がっていたのは実質2日間ほど、といったところではないでしょうか」

――世間的にも話題になっていたのはそれくらいでしたね。松永さんに聞いても仕方ないことですが、最近ネタの消費スピードが速すぎませんか。

「今はなんでも速いですよね。でも僕はTwitterなんて所詮そんなものだと割り切っているので。瞬間的とはいえこれだけ話題になったのですから、ロゴマークとしては大成功だったと思いますよ」

■万博事務局の受け止めは?

せっかくなので、2025年日本国際博覧会協会にもロゴマークの反響について取材した。担当者は「大きな反響をいただいたことについては率直に感謝しています」とした上で、「今後は大阪・関西万博の象徴として日本中、世界中で愛されるロゴマークとなることを期待しています」などとコメント。

反響が瞬く間に落ち着いたことをどう受け止めているのかをさらに訊ねたところ、「多くの人に認知していただいたので、成功だと思っています。皆さまからいただいた声を大切に、2025年に向けて機運の醸成につなげていきます」という回答だった。

蛇足ながら、ネット上では親しみを込めて「いのちの輝きくん」などと呼ばれていましたが、「いのちの輝き」はあくまでも大阪・関西万博のテーマであり、このロゴマーク自体に名前はないそうです。念のため。

(まいどなニュース・黒川 裕生)