「一起加油(中国語で一緒にがんばろうの意)」

【画像】対決を挑まれたMISIA

 涙を浮かべて歌手のMISIA(41)が語りかけると、現地のスタジオでは拍手がわき起こった。しかし……。

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 昨年の紅白で紅組のトリを務めたMISIA。1998年にデビューし、最初のアルバム「Mother Father Brother Sister」は250万枚超のヒットに。


MISIA ©getty

「MISIAの歌はいわゆるR&B系ではなく、その美声を素直に活かした発声をするので、誰が聞いても『うまい』と感じるんです。彼女は生粋のパフォーマーであり、その真価はライブでこそ発揮されます。そして、ノーカットで生演奏をバックに歌うことにこだわりがある。だから、曲の一部がカットされる日本の歌番組への出演をほとんどしてきませんでした」(音楽ジャーナリストの宇野維正氏)

 そんな彼女が、今年2月から4月末まで中国の人気歌番組「歌手SINGER当打之年」に出演した。動画配信もあわせて5億人が視聴しているというこの番組は、7、8組の歌手たちが生演奏をバックに1曲披露し、それを500人の観客が審査して、順位を決めていく。

共演者をも驚かせたMISIAの歌唱力

「プロデューサーが2年前からMISIAに熱烈なオファーをし続け、出演にいたりました」(番組関係者)

 これまで中国進出していなかったMISIAだが、第1回で自身の曲の「逢いたくていま」を歌い上げ、その歌唱力で共演者も驚かせた。彼女は当初、スタジオ収録に参加していたが、コロナの影響で途中からリモート出演に。第3回では山梨県のホールで1万本のキャンドルを灯して、東日本大震災の復興ソング「明日へ」を熱唱。そして冒頭のように中国へエールを送り、初めて1位に輝いた。

「この回では武漢出身の人気歌手が故郷のための新曲を披露しましたが、MISIAへの支持はそれ以上だった。それゆえ彼女は優勝候補の筆頭でした」(同前)

 だが、決勝戦目前、山口百恵の「さよならの向う側」をカバーしたMISIAは中国の女性歌手との対決で173対312となり敗退。結果を聞いたMISIAは頬に手をあて呆然とした表情でカメラを見つめ、多くを語ることはなかった。

「この審査に、中国でも“疑惑の判定”だとの声が上がっています。『テレビ局が毒を盛ったのか』という人もいた」(同前)

中国財界大物の愛人も出演

 MISIAと親交のあるジャーナリストの中村竜太郎氏が語る。

「このような結末はMISIAも予想していなかったようです。彼女は日本から中継で参加していましたが、番組には当日会場にいる歌手しか優勝候補にしないという不文律があったそう。さらに、この番組には中国財界の大物の愛人が出演したり、超大手芸能プロダクション所属の歌手が出場するなど“出来レース”の感があるのです」

 MISIA自身も「本当に(歌唱が)上手な子もいたが、すぐに落ちてしまった」と嘆いていたという。

 今後こうした日中の音楽交流は続きそうだ。中国の音楽シーンに詳しい寺尾ブッタ氏が話す。

「少し前まで日本音楽を中国で売るのは難しいとされていましたが、3年程前から日本人歌手の中国進出も徐々に進んでいます」

 他の日本人歌手の実力が中国で認められる日も近い。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年6月11日号)