女子サッカーの歴史が変わる?レアル・マドリーが女子チーム保有へ

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文 木村浩嗣

ついにレアル・マドリーが女子サッカーに参入

 来季から女子サッカーでもクラシコが実現することになった。

 レアル・マドリーはCL13冠、リーガ33冠で世界一裕福と、サッカー界をグラウンド内外でリードするクラブでありながら、女子チームを持っていなかった。その理由はいかにもビジネスマンのフロレンティーノ・ペレス会長らしく、経営的に儲からないから。すでに女子チームを持つアスレティック・ビルバオ、バルセロナ、アトレティコ・マドリー、レバンテ、ソシエダ、セビージャ、ラージョ・バジェカーノ、エスパニョールなどにしても女子部門単体では採算が取れてはいないとされるが、社会への女性進出をサポートする意義の方が優先されてきた。

 レアル・マドリーの頑なな態度が変わったのは、今年3月アトレティコ・マドリー対バルセロナが女子サッカーのクラブ間の試合としては世界記録の6万人超の観客を動員するなど、スペインの女子サッカーが急成長してきたから。加えて、対外イメージを気にするスポンサーの圧力もあったとされる。

女子のアトレティコ対バルサは6万人超の観客動員を記録

 タイミングも良かった。来季からスペイン連盟の肝いりで新たなリーグ(女子スーパーリーグ)が設立されることなり、様々なプロモーション活動が予定されていることも参入を後押ししたのだろう。

既存クラブ買収で即1部参入のウルトラC

 とはいえ、女子部門を新設しては下部リーグから勝ち上がらずをえないため時間がかかる。

 そこで来季からいきなり1部リーグデビューできるよう、レアル・マドリーは5月に1部昇格を果たしたばかりのマドリッドのクラブ、CDタコンのトップチームを買い取ることにした。その費用が40万ユーロ(約5000万円)と意外に安かったこともフロレンティーノ会長の翻意を促したようだ。

 既存のスポーツディレクション部門(スポーツディレクターや監督、テクニカルスタッフ等)はとりあえず維持され、ただちに“銀河系補強”が行われることはないと見られる。タコンには下部組織もあるが、そちらは来季以降に買い取られ、いずれは完全に吸収合併される予定である。

 この画期的なニュースを連盟側も他のクラブももちろん大歓迎。観客動員でもメディアの注目度でもクラシコやマドリッドダービーは大いに貢献するに違いない。女子選手の労働契約は、たとえプロでも週10時間、長期負傷の治療費は自腹、夏休みは無給とアルバイト並みの扱いをされている者が3割を超えている。長期的には、この劣悪な待遇面の改善に世界一裕福なクラブの参入は寄与する、と期待されている。

 いずれにせよ、参入前と参入後では女子サッカーの歴史は一変するに違いない。

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