新年度の始まりが近づく3月。下っ端編集部員の私福田も、まもなく社会人5年目になろうとしています。

そろそろ自分は「見込みのある若手」になっているだろうか…。というか、そもそも「見込みの若手」って抽象的でよくわかんないな…誰かに言語化してもらえないだろうか…?

そこで、広告会社「The Breakthrough Company GO」代表でPR/クリエイティブディレクターの三浦崇宏さんに「見込みのある若手」について聞いてみました。

最近はSEKAI NO OWARIの「LOVE SONG」のMVや、ONE OK ROCKの新アルバムのプロモーションの企画を手がけ、その表現力を評価されている三浦さんならきっとわかりやすく教えてくれるはず。

これから面接を受ける就活生や、春から新社会人になる人も必見の内容ですよ!

〈聞き手:福田啄也(新R25編集部)〉


【三浦崇宏(みうら・たかひろ)】TheBreakthrough Company GO代表取締役兼PR/CreativeDirector。早稲田大学第一文学部を卒業後、博報堂入社。マーケティング、PR、クリエイティブ部門を経て独立、2017年に株式会社GOを設立

どんなに小さな仕事でも、スケールをデカく捉えろ

福田:
これから就活が始まったり、4月から新入社員として入社したりする読者も多いと思います。

三浦さんが考える「見込みのある若手」って何だと思いますか?

三浦さん:
どんなに小さい仕事でも、自分の仕事のスケールを大きく捉えられる人だね。

NASAの清掃員の話は知ってる?

福田:
いえ、知らないです。

三浦さん:
昔、アメリカのケネディ大統領がNASAに視察しにいったとき、NASAの清掃員に「何をしているんだ?」って聞いたんだけど、普通は「ゴミを掃除しています」って答えるでしょ?

だけど、その清掃員は「人類を月に送る手伝いをしています」って答えたの。


なにそれかっこいい…

三浦さん:
会社にとっては、若手なんてめちゃくちゃ小さい歯車でしかないんだよ。

だけど、その小さい歯車に任される仕事が、会社や社会にどれだけ影響を与えられるのか、って想像できるヤツは責任感がケタ違いだと思うね。

福田:
自分がこの仕事をやらなかったら…ってちゃんと考えないといけないってことか。

三浦さん:
そう。仕事ってその人にしかできないコトを振られているはずだからね。



福田:
でも、新卒で一括採用されていたら、自分だけにしかできない仕事を振られている…って感覚になりづらくないですか?

オレがやらなかったら、同期に振られるだけだなって。

三浦さん:
勘違いする力も必要だと思う。

たしかに、若手に振られる仕事って、誰がやっても一緒のことが多いよ。まだ責任ある仕事は任せられないから。

だけど、そういう時こそ「ここはオレの出番だな」って勘違いして捉えられると、自然と責任感が芽生えるでしょ。

「自分の強み」×「ポジション」を最大化できる人が優秀な人

三浦さん:
あと、若手に限らないけど、優秀な人っていうのは「自分の強み」×「ポジション」の積を最大化できる人だと思うね。

福田:
それはつまり…?

三浦さん:
たとえば、優秀なプレイヤーがマネージャーになったとき、意外とうまくいかないってことあるじゃん。

福田:
ありますね。

三浦さん:
逆に、社長が一般社員の仕事を完璧にこなせるようになっても、経営には一切関係ない。

つまり、自分の立ち位置ですべき努力をちゃんと理解していないといけない。

優秀な人は、今のポジションに求められていることをちゃんと理解していて、そこに自分の強みをかけ合わせる。

だから成果を最大限に上げることができるんだよ。



福田:
でも、若手のなかには、「自分の強みってなんだろう?」ってわからない人も多いじゃないですか。

ボクも自分の強みをハッキリ答えられる自信があまりありません。

三浦さん:
強みなんて自分ではわからないものだよ。

それは社会と他人が決めることだから、成果から逆算するしかない。

福田:
つまり、自問自答しても意味はないと。

三浦さん:
まったくないね。

たとえば、ある企画書を書いたときは褒められて、別の企画書を書いたときは反応がなかった。「褒められた企画書は何がよかったんだろう?」って考えてみて、そのデザインがよかったとする。

そしたら、「オレは物事を整理して、うまく伝えるのが得意なんだな」ってわかるじゃん。

他人という鏡を通して、初めて自分の強みが見えてくるんだ。



マルチな人材になろうとする若手はクソ。まずは一点突破しなければならない

福田:
では、こんなやつはダメだと思う若手は何ですか?

三浦さん:
多彩さを求めて、いろんなことに手を出そうとする人。こんなヤツはクソだと思うね。

福田:
またクソと言いますか…

三浦さん:
人間の能力って「高さ」「広さ」「深さ」のかけ算なんだよ。

「高さ」というのは、あるひとつの技術の専門性。「広さ」は、その専門性をほかの複数の分野で応用できること。そして「深さ」は懐の深さ、ようは人間的に信頼されていること

最近の若手って、すぐに色んなスキルに手を出したり、社内でくすぶっているから社外で活躍しようとしたりするじゃん。

それがクソです

福田:
そんな丁寧にクソと言われましても。

でも、会社の外で活躍できたり名を上げたりする「広さ」を求める気持ちもわかるんですよね。

ボクも一点突破に不安を感じますし…

三浦さん:
「高さ」がないと、「広さ」があっても無駄なの。

つまりはこういうこと。





三浦さん:
たとえばオレだったら、広告のクリエイティブディレクターとしての専門性が「高さ」になる。

そして、その専門性を活かして美術展のプロデュースもやるし、MVも作るし、スタートアップへの投資もする。これが「広さ」。

つまり、そもそもの「高さ」がないと、「広さ」は大きくならないんだよね。

福田:
一点をどれだけ極められるかで、能力の最大値が変わってくるってことか…!

三浦さん:
そう。だから「高さ」を作れていないうちに、「広さ」に手をだして「マルチな人材になる」って言っているやつは大体が中途半端で終わるんだよ。


三浦ゼミ、ここに開講

三浦さん:
そして「深さ」っていうのは、どれだけトラブルや修羅場をくぐり抜けたか、というのが関係しているんだよね。

挫折しないと、成長ってできないんだよ。

福田:
成長するには挫折が必要…! 覚えておきます。

三浦さん:
たとえ天才的なスキルを持っていても、「深さ」がないと人から信頼されないんだよ。

トラブルや修羅場の経験値があれば、多少ヤバい状況になっても落ち着いて決断できる。だから、チームが安心してついていける。

リーダーになる人は、必然的にこの「深さ」を求められるんだ。

だから若手は、まず「高さ」を身につけてから、「広さ」を求める。

その過程で「深さ」が身についていく、という順序を意識したほうがいいね。

「なんでもやります」と答えるやつは、思考停止している

福田:
三浦さんは今、会社の代表として面接する機会もありますよね。

どういうところを見ているのでしょうか?

三浦さん:
「なんでもやります」って口にするヤツは、思考停止しているからダメかな。

福田:
え〜でも、自分にできることがはっきりしていないと、そういう姿勢になりませんか?

三浦さん:
オレが尊敬している大先輩のクリエイティブディレクターがいるんだけど、その人が大事なクライアントから難しい仕事を振られて「これできますか?」って聞かれたの。

福田くんならどう答える?

福田:
大事なクライアントなら、二つ返事で「できます!」って答えます。

方法は後から考えますね。

三浦さん:
やっぱり君はダメな若手だな


やっぱりって…

三浦さん:
「できます」って答えちゃいけないんだよ。だってできなかったらどう責任をとるの?

 「できます」って即答するのは、そのリスクを想定できてないのが明らかになる回答だよ。

福田:
じゃあ正解は?

三浦さん:
「やってみたいです」って答える。

できないかもしれない、という可能性をちゃんと踏まえて謙虚さを持ちながら、それでもやってみたいという意思を表示する。

これって曖昧なように捉えられるけど、熱意を伝えるのには一番いいんだよ。



上司を盲信するな。自分で冷静に見て受け入れろ

三浦さん:
あとこれも若手に伝えたいんだけど、上司や尊敬している人の信者になるやつはダメだね。

ちょっとオレの会社の若いやつを呼んでいい?

お〜い、飯塚君!


突然呼ばれたGOの若手プランナー飯塚政博さん

三浦さん:
君はオレのこと、尊敬している?

飯塚さん:
仕事は圧倒的にすごいと思うんですけど、それ以外はちょっと…

三浦さん:
そう。これが正しい若手の姿勢。

福田:
そのためだけに呼んだんですか!?

三浦さん:
上司や先輩を盲信してはいけないんだよ。

当たり前だけど、完璧な人間なんて存在しないじゃん。

絶対ミスを犯すし、上司の意見が本当に正しいかどうかはわからない。自分にとっての好き嫌いもあるしね。

でも、それをわかったうえで、いったん飲み込んで上司に従う姿勢ってすごく大事。

福田:
それは、納得がいかなくても…ということですか?

三浦さん:
そうだね。納得がいかないから従わないっていうのは、成長の機会を失うことでしかない。それは損だと思う。

しかし一方で、「この人が言うことは間違いない」って従うのも間違っていて。

ちゃんと自分で冷静に見て、意図を考えた上でいったん従ってみるっていうのが一番経験値が貯まる行動なんだよ。

「自分を天才だと思ってた」三浦さんのしくじり新人時代

福田:
ちなみに、三浦さんはどんな若手だったんですか?

三浦さん:
オレの若手時代は参考にしないほうがいい。新卒のときは、本当にダメなやつだったから。

福田:
それは…仕事ができなかったとか?

三浦さん:
いや、むしろ自分のことを天才だと思ってた。大学時代にイベントを主催してて、学生のわりに稼いでたんだよ。

だから入社したとき、オレはもちろん希望通りクリエイティブ部門に配属されると思ってたんだけど、配属されたのはマーケティング部門

配属が決まったとき、当時の部長に「よかったですね。こんな地味な部署にボクみたいなスターが配属されて」って言っちゃってた。


ずぶとすぎる新卒社員だなあ

三浦さん:
それでいざ働いてみても、自分が“できる”と勘違いしていたから、企画やアイデアが否定されると「なんでこれはダメなんですか?」って毎回歯向かってた。

当時は勘違いしてて、入社して半年くらいたったときに干されちゃったんだよね。

福田:
干される!? どういうことですか!?

三浦さん:
あるとき仕事で遅刻して、まわりに迷惑をかけるくらいのトラブルを起こしたんだよね。それで上司にめちゃくちゃ怒られて。

でも、こっちもめちゃくちゃテンパっているときに説教されたもんだから、逆ギレしちゃったんだよ

「オレは褒められて伸びるタイプなんですよ。その教育の仕方だと、オレは成長しないですよ」って。

そしたら仕事を任されなくなった。

福田:
モンスター新入社員だ…

その干された期間はなにしてたんですか?

三浦さん:
あまりに暇だったから、ラジオの放送作家の仕事や知り合いがやっているスタートアップのコンサルティングをやってたかな。

4カ月くらいは、博報堂の仕事を何もしてなかったね。

福田:
よくそれでクビにならなかったですね…

そこからどうやって現場に戻ったんですか?

三浦さん:
暇すぎて漫画喫茶に行ったとき、初めて『SLAM DUNK』をちゃんと読んだんだよね。

そしたら、『安西先生…!! バスケがしたいです…』という名シーンがあって。「これはまさに今のオレの状況じゃないか…!」って思ったんだよ。


※『SLAM DUNK』の名シーン。

中学時代に全国大会でMVPをとるほどの名プレイヤー・三井寿は、高校に入学した直後にヒザを負傷。

挫折から不良になってしまい、バスケ部とケンカ騒ぎを起こす。バスケへの想いを隠していた三井は、顧問の安西先生を見たとたんに崩れおち「安西先生…!! バスケがしたいです…」と涙ながらに告白。

知らなかった人は、マジで読んだほうがいいですよ!

三浦さん:
その名シーンに感化されて、上司を呼び出して、「仕事がしたいです…」って泣きながら訴えたんだよね。

そしたら上司もわかってくれて、仕事を任せてくれるようになった。


「あのころは本当にバカだったなあ」

三浦さん:
そのときに上司に言われたことを今も覚えていて。

ボクは生まれ変わります!」って号泣しながら宣言したんだよ。

そしたら、「生まれ変わる必要はない。今のお前の尖った姿勢や性格に、誠実さや謙虚さ、真面目さ、人を思いやる姿勢を足していければいいんだよ」って言われたんだ。

この言葉にはハッとさせられて、今でも残っているよ。

その人には今もたまに相談したりメシにいったりさせてもらってる大事な先輩なんだ。

福田:
これまでの自分を否定するんじゃなく、そのままの土台でいいから成長していけってことか…!

ボクも今日の聞いたお話を、今の自分にしっかりと積み上げていこうと思います!

「○○なヤツはクソ」というのが三浦さん取材時の定型文になりつつありますが、毎回の荒っぽい言葉の裏には、彼が仕事人生を通じて感じてきた学びが詰まっています。

ボクもそうなのですが、若手の時期って自分の「能力」や「強み」がわからなくて、焦ってしまうんですよね。でも、三浦さんの言葉を借りれば、「答え合わせはまだ先」。

自分のやっていることが実を結ぶのはずっと後のことなので、今は迷わず経験を積んで「高さ」を出すことに邁進していきます!

〈取材・文=福田啄也(@fkd1111)/撮影=いしかわゆき(@milkprincess17)〉

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