もはやゲーセンで100円玉は不要?電子マネー化するゲーセンの便利さと危険度

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ゲームセンターと言えば100円玉が必須なエリア。
驚くことに、ゲームセンターと100円玉の関係は、かれこれ40年以上続いている。

最近は、価格高騰を受けてゲームの種類によっては、1回のプレイが200円、300円なんていうものもある。そこでも使用されるのは100円玉というのは変わらなかった。

しかしこの関係が、とうとう終わりを告げる時が来たのかもしれない。
タイトーは5月29日、「タイトーステーション アリオ蘇我店」(千葉県)で、電子マネーサービスを開始した。店内のほぼすべてのゲーム機で、電子マネー「nanaco」が利用できるようになったのである。

これは、あらたな問題の幕開けでもあるかもしれない。
●ゲーセンで電子マネーが使用可能に
ゲーセンの電子マネー対応は、これだけに収まらない。
6月には「イオンモール明和店」(三重県)が「waon」に、「アリオ八尾店」(大阪府)が「nanaco」に対応する。
順次サービスを拡大し、来年度中には直営40店舗の導入を予定している。
さらに、今後は「Suica」や「楽天Edy」にも対応を拡大していく予定だ。

また、セガもすでに電子マネーサービスへの対応を発表しており、今後、ゲーセンでは電子マネーを使うのが当たり前という時代がやってくるかもしれない。

電子マネーだと何が便利?
電子マネーが利用できると、ユーザーはわざわざ100円玉を用意する必要がなくなる。
以前はゲームを中断しなくていいように、両替した100円玉を山積みにしている光景をよく見かけたものだ。
しかし、それでも100円玉が切れて、一緒に来ている友達に大急ぎで両替に行ってもらったなんてこともあった。

電子マネーならそんな心配は無用。小銭を気にせずにプレイに集中できるというわけだ。また、電子マネーは、ポイントが貯まるというメリットもある。

そして店舗側にとっても、100円玉を常時用意するという呪縛から逃れることができる。
今まで、経費が上がろうが、消費税が上がろうが、値上げは困難だった。それはそうだ。いきなり100円上げられたら、客足は遠のいてしまうだろう。

ところが、電子マネーなら、1円単位でのプレイ価格の設定も可能だ。
たとえば
閑散期には少し安く設定してお客を呼び込むサービス期間を実行するといったことも可能になる。状況に合わせてフレキシブルな集客対策が実行できるというわけだ。

●便利さの影で、やりすぎや盗難など、心配事も増加へ
ユーザー側にも店舗側にもメリットのある電子マネー化だが、やはり心配な点も多々ある。

まずは、ゲームのやりすぎだ。
積み重ねた100円玉がみるみる無くなっていくのを見るのは、やり過ぎ防止のストッパーとしては効果的だった。確実にお財布の中身が少なくなっていくことを実感できるのは恐怖すら感じるからだ。

しかし、電子マネーは目に見えないから、実際にお金が減っていく実感が薄くなる。
だから。ついつい使いすぎてしまうのだ。

子どもにとっては、この変化は、かなり影響が大きい。
ショッピングセンターに併設されているようなゲーセンの場合、親が買い物中に、少しなら、ということで行かせることが多い。

その時に100円玉なら「はい、○回だけね」と言って渡せるが、電子マネーではそうもいかない。
普通、チャージ金額を常に把握している人は少ないだろう。
だからチャージしてある分がパッと見ではわからないし、子どもがいくら使ったのかもわからない。これでは、子どもにズルされても気づかないかもしれない。

さらに、ゲーセンは意外と親の目の行き届かないところでもあるのも心配だ。
盗まれたり、脅されたりしてお金を取られる事件は、昔から多くあった。
これが電子マネーの場合、現金以上に発覚しにくいため、奪う側にとっては都合が良いからだ。使っているのが親のカードだったりした場合、被害も大きくなる可能性がある。

確かに便利でありがたいゲーセンの電子マネー化だが、今まで以上に気を配らないと、危険性もあがることを理解して、うまく付き合っていきたいものだ。