「節約要請」はなくても家庭は「節約へ」…6月の値上げ品目は「5月の9倍」
「心配ない」「必要な量は確保している」「現時点で踏み込んで節約をお願いする段階ではない」
原油高で陸運も燃油サーチャージ導入検討 外食チェーンではAIやロボットの普及が加速か?
中東情勢の悪化による原油高が続くが、高市(早苗)首相は、国民への節約要請に対し繰り返しこう否定している。日本銀行が15日に発表した4月の国内企業物価指数は、前年比4.9%上昇、前月比では2.3%拡大し、2023年5月以来の上昇率となった。
原油価格の高騰はナフサを原料とするプラスチック、合成繊維、合成ゴム、塗料、接着剤、医療用品、さらにレジ袋、ゴミ袋、洗剤など日用品や家庭用品、そして住宅・建設資材など、あらゆる製品の値上げに影響を及ぼしている。すでに値上げは企業間の取引価格から消費者物価の上昇へと波及してきているのだ。ところがこうした状況にも高市首相は国民への節約要請の声を上げない。経済評論家の荻原博子氏がこう述べる。
「節約要請すれば国民は財布の紐を締め、モノを買わなくなり消費は落ち込み、再びデフレに逆戻りする可能性がある。首相は景気維持を経済政策の最優先課題にしていますから『節約』を要請することはないでしょう。しかし、中東から原油輸入の依存度が高いアジア諸国は原油高に対する節約をすでに国民に訴えています」
韓国ではすでに3月から公共機関の通行規制や公務員の在宅勤務、国民に電力の使用量を減らすよう要請。インドでは公共交通の利用をすすめ週1回のノーカーデーや、地下鉄を利用するメトロデーを設けている。また、ベトナムでは国民に外出を控え、車ではなく自転車の利用を要請、フィリピンは公務員に毎週1回以上の在宅勤務を要請するなど政府、国民で節約をすすめているのだ。
今後も中東情勢の悪化が続けば、原油高騰と共にさらなる物価の上昇は避けられまい。なかでも大きな問題は電気代の値上がりだと先の荻原氏がこう指摘する。
「ガソリンはホルムズ海峡封鎖後の原油の値上げで、3月から補助金が再開され何とか値上げ分を抑えています。しかし、電気代に影響が出てくるのは6月からです。電気代補助はこれまで4月検針分で終了していますが、この夏は猛暑が予想され、電気代の値上げは消費者にとって、さらに家計負担を増やすことになります」
高市首相は18日に開かれた政府与党連絡会議で、7〜9月の電気ガス料金に対する補助を再開する考えを表明した。しかし、今後食品は幅広い分野で値上げによる価格改定が集中する。帝国データバンクによると6月の値上げは559品目と前月(61品目)の9倍以上に急増、7月は597品目が予定されているのだ。
政府が「節約」要請に慎重でも、各家庭が「節約」する以外に対策はなさそうだ。
(ジャーナリスト・木野活明)
