医学生の彼氏からは「治らない病気だから別れよう」と…難治性の希少がんに苦しめられる女性が経験してきた、異性からかけられた“ひどすぎる言葉”
〈走れるのは1キロまで、修学旅行の大浴場には行けず、「左胸は小学生、右胸は成人女性のサイズで」…小児がんサバイバーを苦しめる“治療の後遺症”が残ったカラダとは〉から続く
壮絶な闘病を経て臨床検査技師となった愛迷みんみんさん。しかし、心不全による極度の疲労やヘルプマークが見過ごされる「見えない病気」ゆえの苦悩に直面する。恋愛においても、傷跡や病気を理由に男性が離れていき、医学生からは残酷な言葉を浴びせられ……。
【画像】右が平均的な成人女性のバストで、左が性成熟を迎える前の小学生の胸だと語る。左胸だけでなく、周囲の筋肉なども成長していないので、やや身体がいびつになっているそう
失恋を経て絶望の淵にいた彼女は、いかにしてありのままの自分を愛する現在の夫と出会い、結婚に至ったのか。
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母親の大けがをきっかけに臨床検査技師に
――愛迷さんは臨床検査技師の資格を持っていますよね。やはりご自身の持病がきっかけでしょうか。
愛迷みんみん(以下、愛迷) 実はそうではないんですよね……! 高3のとき、私は側弯症の手術をしたんです。というのは、やはりこれも放射線の影響で、身体の左側だけが成長していないために骨が歪んでしまっていて。
手術前日が私の誕生日で、見舞いに来た母が「明日はケーキを買ってくるね」なんて言ってくれていたんです。ところがその帰り道、原付に乗った母が10トントラックにぶつけられて意識不明になり、私が入院している病院に救急搬送されてしまって……。一命は取り留めましたが、この事故によって母は片足を切断することになってしまいました。
今度は私が、同じ病院のICUに入院する母の見舞いに行くことになって……。その母が快復していく過程で関わってくれた医療従事者の仕事を見ていたのが大きいと思います。
その後、なかなか進路を決めないでいる私をみて、高校の同級生がパンフレットを持ってきて「この中ならどれがいいの?」と聞いてくれて、臨床検査技師のパンフレットを選び取ったんですよね。
持病を抱えるなかでの“勤労”
――臨床検査技師として勤務するのも、持病を抱える愛迷さんにとっては大変なことなように思います。
愛迷 大変でした。疲れやすく、体力がないため、勤務を終えて帰宅するとぐったりしてしまって本当に何もできなくなるんです。フルタイムで週5勤務は最初から無理だとわかっていたため、週3勤務で受け入れてくれる病院を探しました。幸いにもその条件で見つかったのですが、自宅から片道1時間半かかるところで……。
職場の皆さんには本当にさまざまな配慮をしていただいて、「疲れたら座っていいからね」と声をかけてくれる方もいらっしゃいました。
ただ、2024年に心労が重なり、適応障害になってしまい、ちょうど入籍の時期がそこにかぶって退社となりました。
――片道1時間半の電車通勤は身体的な負担も大きそうですね。
愛迷 楽ではなかったですね。一般的な人から見て、私の容姿は病人には見えないようで、カバンにヘルプマークをつけていても席を譲ってもらえることはあまりありませんでした。本当はとても身体がつらくてうずくまりそうになっていても、若い女性というだけでSOSが見過ごされていると感じたこともあります。心不全のように、一見してわかりにくい病気の人の“わかってもらえなさ”を味わいましたね。

現在の愛迷みんみんさん
「愛してもらえているなぁ」と思えた男性と結婚
――ところで旦那さんも、同じ臨床検査技師だとか。どんな方か伺ってもいいですか。
愛迷 そうなんですよ。出会いはマッチングアプリなのですが、本当に最初から優しくて。私は広島県に住んでいて、彼は岡山県に住んでいたのですが、デートのたびに3時間半以上かけて来てくれて。最初からずっと「愛してもらえているなぁ」と感じることのできた男性です。
――愛迷さんはこれまで身体に残った手術痕や左右でサイズの異なるバストがコンプレックスでしたよね。旦那さんはどのように受け入れてくれましたか。
愛迷 本当になにひとつ気にしていない様子でしたね。過去にユーイング肉腫を経験していることを告げて、全部話したのですが、「そうなんだね」と。実際に身体を見せたときも、「見せてくれてありがとうね」と感謝の言葉を伝えてくれました。
これまでは驚いた表情をされることばかりだったので、彼の反応に安心することができました。
病気や傷跡を知ってフェードアウト…
――これまでの恋愛では、病気のことや、あるいは傷跡などで関係性がうまくいかない経験をしてきたわけですね。
愛迷 単刀直入に病気を理由として断られたことは、1回だけです。だいたいの場合、病気の話をしたり、傷跡をみて、フェードアウトしていく感じでした。
――むしろ明確に病気を理由に断ってきた男性が気になります。
愛迷 私が社会人、その男性が医学生でした。彼は循環器の医師を目指して勉強していて、医療を志す人なので信頼できると思って病気を打ち明けたんです。すると、「治らない病気を持っているので、別れよう」と切り出されて。他にもいくつか言われた理由があって……。「(愛迷さんが)知的レベルが低いから合わない」とかそうしたことを言われ……結構混乱してしまったのを覚えています。
――それは悲しくなりますね。これまで病気や傷跡があることで離れていった男性に対して、今はどう思っていますか。
愛迷 自分の努力では変えられないことを理由に振られてしまって、ただ悔しくて悲しかったですね。ただ、そうやって振ってくれたお陰で、いま幸せな結婚ができているので、現在ではむしろ「振ってくれてありがとう」とさえ思えてもいます。もちろん、あのときの自分はつらかったですけどね。
いまは「ああでもない、こうでもない」と育児に必死で、日常生活では当時を思い出す暇もないのですが。
〈「20代後半で亡くなる人も多い」医師の言葉を乗り越え30歳で出産…余命宣告を受けた小児がんサバイバーによる“子育て”の実情〉へ続く
(黒島 暁生)
