【櫛田 泉】北海道・旭川で凶悪事件が相次ぐのはなぜか…《旭山動物園焼却炉事件》《内田梨瑚事件》でイメージダウンとなった市民の「切実すぎる叫び」

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市民に広がる「また旭川か……」の声

「旭川観光の聖地ともいえる旭山動物園で“あのような事件”が起きてショックを受けています。旭川の治安がどんどん悪くなっている、という風評被害が広がることが心配です」

北海道旭川市に住む30代の会社員男性はそう話し、肩を落とした。

2026年4月30日、妻の遺体を園内の焼却炉で損壊した疑いで、旭山動物園の飼育員・鈴木達也容疑者(33歳)が逮捕された。旭川市の職員として同園に勤務していた鈴木容疑者が、念願だった飼育員の座を射止めたのは2018年のことだった。

「もともと動物好きだった鈴木容疑者は、夢をかなえたことを相当喜んでいたそうです。メディアの取材対応をすることもあった。アザラシや爬虫類などの飼育を担当しており、来園者からの評判も悪くはなかった。いわば『名物飼育員』の一人だったようです」(全国紙社会部記者)

鈴木容疑者は容疑を認めており、警察の調べに対して、妻の殺害をほのめかす供述をしているという。

この事件は旭川市民に強い衝撃を与えた。市民の間で広がっているのは「また旭川か……」という悲痛な叫びだ。

「旭川市ではここ数年、社会的に大きな関心を集めた事件が立て続けに起きています。ようやく過去の記憶が薄れつつ会った矢先に、またしても凄惨な事件が起きてしまった」(同前)

全国的に注目された2つの事件

旭川市が全国的に注目されるきっかけとなったのは、2021年の「女子中学生いじめ凍死事件」だ。

当時中学2年だった女子生徒が凄惨な集団いじめの末に、氷点下の公園で凍死している。この事件により、学校や教育委員会の隠蔽体質が猛烈な批判を浴びた。精神的な追い込みや、金銭の要求、性的な行為の強要など、加害生徒らによる壮絶な行為の数々に、社会は強く憤った。SNSでは加害者の特定が激化し、動画配信者や野次馬が現地へ押しかけるなど、一時はパニックに近い混乱も起きた。

さらに2024年には、SNSでのトラブルをきっかけに、女子高校生が景勝地・神居古潭(カムイコタン)から石狩川に突き落とされ、殺害される事件が発生した。殺人などの疑いで逮捕されたのは、いずれも10代から20代の若者たちだった。中でも注目されたのが、主犯格の内田梨瑚被告だ。数々の非道な犯行が明るみになると、世間は再び驚愕した。おまけに内田被告と地元警察官との不適切な関係も報じられると、事態はさらに混迷を極めた。

2025年3月には、実行犯の一人である女(当時19歳)の裁判が行われ、懲役23年の実刑判決が言い渡されている。この裁判では、内田被告が証人として出廷するも、宣誓を拒否する異例の事態も起きた。

そして今回の動物園職員による事件――。地域のダメージは深刻だ。

「焼却炉の事件のせいで動物園の開園が延期になり、バスツアーもキャンセルが相次いだ。地域経済にとって大打撃ですよ……」(市内のタクシー運転手)

筆者はGW最終日の5月6日、旭川を訪ねた。かつての賑わいはどこへやら、最大級の歓楽街「サンロク地区」も人通りはまばらだ。

飲食店などの前では呼び込みの店員たちがかなり暇そうにしていた。

「サンロクキッズ」から「駅前キッズ」に

市内の飲食店で働く40代の男性は、旭川市が悪い意味で全国から注目されることになった現状に憤りを隠さない。

「先日も京都で小学生が殺害される事件があった。猟奇的な事件は全国で起きているので、旭川に限った問題ではないはずです。しかし、最近立て続けに起きた事件の内容がほかの地域と比較しても凄惨な内容だったことから悪目立ちしているように思うのです。大変残念に思っています」

飲食店で働く20代の男性は「内田被告の事件のあと、街中に私服警官が増えたような気がしています」と町の変化を語る。さらに別の飲食店の40代の男性従業員は未成年たちの動向を注視していた。

「内田梨瑚の事件のとき、サンロク界隈に出入りしていた未成年、通称『サンロクキッズ』たちが大きく報道され、問題になりました。事件後、サンロクキッズたちは姿を消したんです。親の監視が厳しくなったことや、警察のパトロールや私服警官の巡回も目に見えて増えていることが理由でしょう。現在、未成年のサンロクへの出入りは相当厳しくなっているようです」

しかし、行き場を失った少年少女は場所を変えて、集まり続けていた。

「今度は旭川駅前のイオン周辺にたむろする『駅前キッズ』が現れています。夜遊びは当たり前、カツアゲやパパ活の噂もあり、同年代の地元の高校生ですらその周辺には『近づきたくない』と怯えています。大人たちはその存在を不安視しています」(同前)

最近になって事件が増えた気がする

「最近になって、突然猟奇的な事件が増えてびっくりしています」と語るのは、50年ほど前にこの街へ移住してきた70代の女性だ。

「特に動物園のニュースは『嘘であってほしい』と思うほどにショックを受けました。旭川は雪こそ多いけれど、道も広くて物価も安く、本当に住みやすい街なんです。以前はこんなに荒れた印象はありませんでした。変な事件が起きるようになったのは最近です」

高校時代を旭川市で過ごした、という女性も「昔は町が荒れているという印象は全くありませんでした」と驚きを隠せない。

「高校でも暴力事件とか、そういう話は聞かなかったし、穏やかに過ごしていた気がします。旭川は札幌ほど都会ではないものの、遊んだり買い物をしたりするのには十分に楽しめる地域です」

人口・経済規模ともに北海道第2の都市である、旭川。しかし、近年は人口流出と経済の衰退が深刻だ。年間数百万人を呼ぶ旭山動物園の客も、市内にはほとんど寄らず、ほかの地域へと流れてしまう。「軍都」や「北海道の物流の拠点」として栄えていた面影は薄れ、街には閉塞感が漂う。そうした空気感が、凄惨な事件という形で噴出しているのだろうか。

旭川市が平穏を取り戻す日を、市民は切実に待ち続けている。

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