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特集「キャッチ」です。この春、福岡県内で初めてとなる4年制の音楽大学が開学しました。一方で、音楽の道を志す若者たちの前には、厳しい現実が立ちはだかっています。

ここは、福岡市東区にある福岡工業大学付属城東高校、吹奏楽部。全日本吹奏楽コンクールで幾度となく金賞に輝いてきた全国屈指の強豪校です。

樋口ゆゆさん(18)は、高校生活の終わりが近づく中、卒業後の進路に葛藤を抱えていました。

■ホルン・樋口ゆゆさん
「すでに4年制大学に行くことを決めていたので、自分には関係ないかなと思いながらも、心のどこかで音楽を続けたい気持ちがあって。」

転機となったのは、4月に開学を控えた「福岡国際音楽大学」のオープンキャンパスでした。

■福岡国際音楽大学・澤和樹 学長
「音楽や芸術をしている人たちの、卒業後の活躍の場が限られている。」

卒業後の選択肢を広げようと、新たな大学では、音楽に関わるビジネスなど様々な学びが用意されます。

演奏家だけにとどまらない道があることを知り、樋口さんは進学を決意しました。

福岡から世界で通用する音楽人材を。

大学が新たな未来を描く一方で、音楽の道を志す若者たちの前には、切実な「壁」が立ちはだかっています。

その一つが、楽器の価格上昇です。

金管楽器などに使われる真ちゅうや銀などの材料費の高騰に加え、海外からの輸入品は、円安や輸送コストの増加が重くのしかかります。

■城東高校 吹奏楽部・南光俊 音楽監督
「今まで1本の楽器が買えていた予算では到底買えず、2本分の楽器でやっと1つ買える。楽器を確保するためには苦労しています。」

学校には、傷や穴、さびが目立つ楽器も。修繕を重ねて、なんとか使い続けています。

吹奏楽部引退後、音楽を続けるためには、高価な楽器を自腹で購入しなければなりません。

■チューバ・藤丸舞子さん(18)
「欲しいなと思ったことはあるけれど、チューバは楽器が大きいので、その分どんどん値段も高くなっていくから、買おうと思ったことはないです。」

楽器の価格が上がり続ける中で、楽器店では、予算に合わせた提案ができるよう幅広い価格帯の楽器を取り揃える努力を重ねています。

■クレモナ楽器・伴修一 店長
「学生さんに気軽に足を運んでもらって、楽器ってこういうものなのかと実際に触れてもらって、ずっと続けていただく。それが一番なので。」

■中学3年生
「(ホルンの)マウスピースを買いに来ました。複雑な作りをしているので、それなりの値段はするけれど、(楽器を持つのは)かっこいいなって。死ぬまで続けたいと思います。」

去年11月、樋口さんは念願の自分の楽器を手にしました。

■樋口ゆゆさん(当時 高校3年)
「自分がこれから、どう吹き込んで、どういう音色を作っていくのか。自分の力でゼロから作れるのは、ワクワクしました。」

■母・舞子さん
「展示会に行って(楽器の値段を)見た時に、想像よりかなり高かったので、びっくりしました。」

■樋口さん
「1993年のパンフレットになるのですが、学校で使っていたアレキサンダーの103は、当時は100万円を切っているけれど、今おそらく購入しようと思うと200万円を超えてくる上に、なかなか手に入りづらい楽器になっています。」

■母・舞子さん
「卒業して楽器をするとなったら絶対要るし、楽器を吹けていたのが当たり前ではないと思いました。」

この日、樋口さんは音楽大学に進学する友人と共にカラオケ店に行きました。

このカラオケ店は楽器の練習が許されていて、今の樋口さんにとって貴重な練習場所です。

■樋口さん
「カラオケルームを借りた方が時間も長く、安く借りられるので、いつも利用しています。」

ただ、防音への対策が取られているカラオケ店でも、音が外に漏れてしまうなど練習できる環境は限られています。

■樋口さん
「周りに音が漏れてしまうし、反響板が音楽スタジオのようにあるわけではないので、音が響きづらいのはあります。」

■クラリネット・瀬川美咲さん(18)
「周りの家庭にも迷惑になるかもしれないので、あまり家で練習することはないです。」

工夫して練習を続ける樋口さんですが、気兼ねなく音を出せる練習場所の不足は、音楽を続ける上で避けられない課題となっています。

■樋口さん
「いってきます。」

この春、福岡国際音楽大学では、新入生91人が音大生としての第一歩を踏み出しました。

客員教授に就任したシンガーソングライターのさだまさしさんが、新入生にエールを送りました。

■さだまさし さん
「歌を作ることがどれだけ大変で、どれほど楽しいかを経験していただくと幸せです。」

キャンパスには70以上の練習室が設けられています。

学生同士が一緒に音を合わせるなど、練習しながら交流する場となることを目指しています。

入学式を終え、さっそく練習に励む樋口さんの姿がありました。樋口さんが描く、4年後の夢は。

■樋口さん
「まずは、プロのオーケストラに所属するのが一番の目標です。より多くの世代・人たちへ音楽を身近なものに感じられるように発信していきたいと思っています。」

厳しい現実に直面しながらも、鳴り止むことのない音楽への情熱。

福岡に誕生した新たな学びやは、若者たちを支えるよりどころとなっていきそうです。

※FBS福岡放送めんたいワイド2026年4月15日午後5時すぎ放送