【A4studio】若者の「六本木離れ」が止まらない…「港区女子と中高年男性」が集まる街に変化した理由

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いまの六本木は、クラブ通いなどの夜遊びに興じる若者たちは激減し、残ったのは富裕層の中高年男性とそのカネに群がる港区女子ばかり…?

東京都港区・六本木といえばナイトクラブやバーが集まる“夜の街”という印象を持つ人も多いだろう。

80年代にはディスコブームが起こり、90年代には当時の日本のダンスシーンを牽引した超大型クラブ『ヴェルファーレ』が話題を集めた。2000年代以降も『エーライフ』やロアビルに入っていた『フラワー』など、数々の大型クラブが誕生しては人気を博し、六本木は何十年と長きにわたり“若者たちの夜遊びの聖地”として君臨していたのだ。

例えば一般的な繁華街なら、終電が近くなると自宅へ帰るために駅に向かう人々の流れができるものだが、六本木の週末は真逆。ナイトクラブなどに行くために終電間近にどんどん人が集まってきて、深夜1時頃、路上に人がごった返すという状況だったのだ。

しかし、令和のいま、夜の六本木の様子はだいぶ変化してきているという。

記事前編は【「夜遊びの街」六本木から若者が消えた…「クラブでオール」する20代が激減したワケ】から。

いまの若者はわざわざ六本木に行かない

ここからは、新宿・歌舞伎町を中心に“夜の街”を通して若者を観察し続け、『「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認』(扶桑社)などの著書がある作家・ライターの佐々木チワワ氏に、六本木の現状を解説していただこう。(以下「」内は佐々木氏のコメント)

20代半ばである佐々木氏は、若者の視点から現在の六本木の印象についてこう語る。

「私たちの世代の多くは、わざわざ六本木に遊びに行こうとはならないんじゃないでしょうか。私自身は10代のときにナイトクラブに誘われて行くことがあり、当時は“おしゃれで背伸びできる街”といったイメージを抱いていました。

しかし、いまは仕事以外で六本木に行くことはめったにありません。年配の方との会食の機会ではよく六本木が指定されるのですが、同世代の友人と食事に行く場合、ほかの街より六本木には若者向けの飲食店が少ないので、わざわざ行こうとはならないんです」

ほかにも、六本木への足が遠のく原因のひとつとして、交通の便の悪さもあるそうだ。

「六本木は電車の乗り換えが面倒、かつ駅構内も地下が深くて移動がしにくく、とにかくアクセスの悪さが“ダルい”んです。六本木は“タクシーで行く人間にしかやさしくない街”などと言われることもありますしね。仕事のために行くことや、なにか目当てのイベントのために行くということがない限りは、あまり若い人たちには縁がないエリアかもしれません」

六本木は「商売をする場所」

また佐々木氏に、実際に六本木のナイトクラブに行った際の印象について伺った。

「私が行ったクラブの客層は20代後半から30代が多く、さらに上の世代の40代くらいの男性もいました。20代後半以降になるとクラブで朝までオールして遊びたいと思うことも体力的に減ってくる人が大半だと思いますが、六本木のクラブの場合は特殊で、印象としては“まだ青春をしたい大人がお金を払って過ごす場所”という印象を受けました」

さらに佐々木氏は、現在六本木エリアに集う若者の特徴についてこう分析する。

「“港区女子”がまさに象徴ですが、六本木エリアは特に“お金を払っている人/お金をもらっている人”の構造が顕著だと感じます。言うまでもなく、お金を払う側は中高年男性、もらう側は若い女性です。

私がSNS上で繋がっている人たちのなかには、“六本木にあるドン・キホーテに行くとおじさんが何でも買ってくれる”とポストする若い女性もいました。こうしたSNSなどの影響で、六本木について若い世代の間では“商売をする場所”だというイメージを持つ人も増えてきているのではないでしょうか」

若者は夜カフェやシーシャバーへ

六本木のナイトクラブは若者たちの夜遊びの場として長年定番となっていたのは間違いない。しかし現在若者たちの間では、ナイトライフの多様化がみられているようだ。佐々木氏はその変化について、こう説明する。

「これまで夜遊びといえば、お酒を飲みつつ楽しむことが当たり前だったと思いますが、昨今はアルコールなしでも十分に楽しめる若者向けのスポットが増えてきています。例えば夕方から深夜まで営業している“夜カフェ”や、コロナ禍以降急増した“シーシャバー”もZ世代から人気ですね。

シーシャはもともとアンダーグラウンドなもので一部の人が嗜むようなカルチャーでしたが、コロナ禍以降には2000〜3000円の低価格帯で楽しめるシーシャ店が増え、大学生などを中心に夜遊びの場として定番化してきました。薄暗い雰囲気でリラックスできる環境と、シーシャを吸う動作で話の場をもたせられることが若者に受けているんです。シーシャは若者たちの夜遊びにおいて新しい文脈を生み出した存在だと言えるでしょう」

近年は“若者のアルコール離れ”も叫ばれているが、こうした酒を必要としない遊び方が人気となっていることは、飲酒という行為が現代の若者たちにとって必ずしも重要なファクターではなくなったことを証明しているだろう。

若い女性で賑わう歌舞伎町

そして佐々木氏は、自身が研究対象としている新宿歌舞伎町においては、女性向けのナイトライフスポットが増えているとも話す。

「ホストクラブをはじめ、メンズコンカフェ(特定のテーマに基づいて統一されたコンセプトカフェ)や、メンズ地下アイドルのライブなど、女性向けのコンテンツが多く、新宿は“推し活”的な場として発展してきていますね。

歌舞伎町エリアは常に若い女の子たちの姿で賑わっています。また相席居酒屋も多く、毎週若い男女で賑わっている様子がみられます。クラブだけじゃなく、さまざまな形の男女の出会いの場も広がっているんです」

六本木から若者が激減した背景には、20代の六本木に対する価値観の変化、ナイトライフの多様化などが関係しているのかもしれない。

佐々木氏によると、現在の六本木エリアは“お金を払う中高年男性”と“お金をもらう若い女性”という構造が出来上がっているようだが、六本木は今後どのような街に変貌していくのだろうか。

(取材・文=瑠璃光丸凪/A4studio)

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