【解説】ゴールデンウィーク介入劇の再現か 政府・日銀が為替介入実施の模様 円相場は一転5円以上急騰

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政府と日銀は、30日、円買い・ドル売りの為替介入を実施した模様だ。

一時1ドル=160円台後半と1年9カ月ぶりの円安・ドル高水準をつけていた円相場は、円高方向へと反転し、155円台まで高騰した。

中東情勢と米金融政策の先行きが円安強める

30日の円相場は、原油価格が高止まりするなか、夕方まで円売りが進んでいた。

アメリカがイランへの攻撃計画を準備していると伝わるなど、戦闘終結への道筋が見えないなか、原油供給の停滞が長引くことへの懸念から、WTI先物価格は1バレル=111ドル近くまで上げ、約3週間ぶりの高値をつけた。

有事のドル買いが進んだほか、日本の貿易赤字拡大への思惑が円売りを加速させた。

アメリカがこの先の利下げを進めにくくなるとの見方が急速に広がったことも円の重荷となった。

29日まで会合を開いたアメリカのFRB=連邦準備制度理事会は、利下げを見送り政策金利を据え置くことを決めたが、3人のメンバーが声明に将来的な金融緩和を示唆するような文言を盛り込むことに反対した。

さらに、5月に任期が満了するパウエル議長が「当面理事として留任する予定だ」と明言、利下げを求めてきたトランプ大統領に対し慎重姿勢を崩さなかったパウエル氏がFRB体制に残って政治圧力に徹底抗戦する構えを見せた。

こうしたことから、アメリカの追加利下げ観測は大きく後退し、年内利下げの可能性がほぼないという見方も浮上した。

日銀が利上げを見送るなか、日米の金利差縮小は一層見込めなくなり、東京外国為替市場の円相場は、30日午後3時頃には、1ドル=160円70銭台と、1年9カ月ぶりの円安・ドル高水準をつけていた。

「口先介入」に続き「実弾介入」か

こうしたなか、夕刻、記者団の取材に応じた片山財務大臣は、「いよいよかねてから申し上げてきた断固たる措置を取るタイミングが近づいている」と為替介入を示唆。

その後、三村財務官も「これは最後の退避勧告」と市場での投機的な動きを強くけん制した。

円相場が円高方向に反転したのは、その直後だ。2人の発言後、午後6時台に159円台前半まで上昇した円相場は、さらに急騰、午後7時半ごろ、わずか5分程度の間に1円40銭ほど円高方向に進み、午後8時台には155円50銭台まで一気に値上がりした。

日米の金融政策決定会合が終了し、日本が大型連休期間に入ったタイミングだった。

市場参加者が少なくなり売買の厚みがなくなって相場が振れやすくなる頃合いを見計らった可能性があるが、円高への反転効果は長続きしないとの見方も出ている。

ホルムズ海峡封鎖が長期的に解かれず、原油価格が下落に向かっていかない可能性が強まる一方、アメリカ金利の高止まり観測から、日米の金利差縮小が一段と遠のいているという大きな流れがあるからだ。

アメリカのCTFC=商品先物取引委員会が集計するヘッジファンドなど非商業部門による円のポジションは、前回行われた2024年7月の介入直前には売り越しが18万枚ほどにまで膨らんでいたが、4月25日時点では9万4000枚ほどにとどまる。

今回、投機筋は依然円売り余力を大きく残している可能性がある。

「大型連休まだまだ序盤」

2年前の同じ時期、2024年の4月末に円が160円台まで急落した局面で、政府・日銀が踏み切った円買い介入では、5円超えて円高へと反転したが、その後、157円台まで再び円安が進み、2日後にさらなる介入が実施されている。

30日の円急騰から一夜明けた1日午前、記者団の取材に応じた三村財務官は、外国為替市場で投機的な動きが出ているとの認識に変わりはないとした上で、「大型連休まだまだ序盤だと認識しているとだけ申し上げておく」と発言した。

連休狭間の動きが2年前の断続的介入の再現となるのか、市場動向と当局の姿勢に視線が一気に集中することになった。

【執筆:フジテレビ解説副委員長 智田裕一】