あさひ、「中期経営計画 VISION 2028」戦略を発表、自転車のリユース市場への参入を強化し戦略パートナーとの協業も積極展開

消費者に快適な自転車ライフを提供するあさひは、4月3日に決算とともに、「中期経営計画 VISION 2028」を公開した。4月28日には、「中期経営計画 VISION 2028」戦略について説明するラウンドテーブルを開催。「新成長への挑戦」を掲げ、「既存事業の深耕」「周辺事業領域の探索と挑戦」「多様な人材が活躍できる人材マネジメント」という3つの柱を軸に、売上高968億円、営業利益85億円を見込み、ROE10.0%以上といった定量目標に向かって歩んでいく考えを示した。

「当社は、子ども用玩具・乗り物の製造・卸・小売業として創業し、1975年に自転車専門店へ業態転換、1989年に大型自転車専門店を展開し、自転車SPA体制の構築と進化を続け、業界のリーディングカンパニーとしてのポジションを確立している」と、あさひ 経営企画部門担当執行役員 惣田健氏が同社の歩みについて紹介。「経営理念として『私たちは、自転車を通じて世界の人々に貢献できる企業を目指します。その企業目的に賛同し、参画するすべての人々が、豊かな人生を送れることを目指します。』を掲げ、消費者一人ひとりの自転車ライフをより豊かなものにする、自転車ライフの最も頼れるパートナーとして活動してきた」と語る。「国内の自転車新車市場は、2011年の約1000万台をピークに減少し、昨年は500万台を僅かに下回る状況となっている。このトレンドは当面継続し、年間4〜5%程度の減少率で推移すると推察している」と、業界を取り巻く環境は厳しさを増している。「一方、電動自転車率は漸増、足元は14%程度まで上昇しており、今後も上昇基調は継続するとみられる。これに準じて、自転車1台あたりの平均販売単価も上昇傾向を示している。ただし、物価高などの影響を受け、耐久消費財の買い控え傾向も見受けられる」と、好調を保つ電動自転車も物価高で苦戦するのではないかと推察する。「それでも、2017年の『自転車活用推進法』施行以降、日本でも国・自治体による自転車活用推進政策が進展。『自転車社会』を推進する環境は徐々に整っていくとみられる」と、官民一体で自転車活用を総合的かつ計画的に推進していくと示唆する。

「こうした中、当社のVISION 2025では『SPAビジネスの深化』・『FUN TO RIDE BIKES』をテーマに、出店拡大やOMO戦略、SPAバリューチェーン構築等を実施し、自転車事業プラットフォームを構築した。一方、市況悪化によって売上、利益は未達となった」と、前中期経営計画を振り返る。「中期経営計画 VISION 2028では、“自転車事業2.5”と位置付け、新たな自転車サービス領域への拡大とそのプラットフォーム化を実施し、新たな成長ステージ“あさひ事業構想3.0”を進めていく」と、新成長への挑戦を図る。「目指すビジネスモデルは、新たなサービス価値を提供し、消費者との長期的な自転車ライフに寄り添う循環型ビジネスを構築していく」と、国内保有自転車6000万台をターゲットにした戦略を打ち出すと意気込む。

「中期経営計画 VISION 2028において、4つの事業戦略を軸とした成長戦略で循環型ビジネスを推進、財務資本戦略の遂行もあわせ、企業価値向上を図り、『持続的な企業成長』と『持続可能な社会への貢献』を目指す」と訴える。「そして、VISION 2028最終年度において、売上高968億円、営業利益85億円を見込み、ROE10.0%以上を計画。既存プラットフォームを活用、拡充し、周辺事業領域を拡大、当社の企業価値の向上を図っていく」と定量目標について言及した。「売上の内訳については、循環型ビジネスの軸となるリユース事業や戦略パートナー拡大などでの周辺事業売上が74億円、全体の7.5%まで伸長。新車販売売上比率を同程度引き下げ、新規出店による成長フェーズから新たな事業モデルへ移行させる」と、店舗数の拡大による新車販売比率の向上から、パーツやサービスといった売上比率を成長させることで、定量目標を達成させるのだと意気込んだ。

「戦略目標として、全国店舗物流ネットワークを活用したOMO戦略をさらに深化。オンラインとオフラインをよりシームレスに連携させることで購入、利用までの顧客体験価値を最適化していく。そして都市型店舗を重点フォーマットとして出店強化する」と、OMOの深化を図っていくとのこと。「さらに、アプリによる購買や手続きの利便性向上を図ることで、充実したアフターサービス、購買からリユースまでの循環型ビジネスとそれを支えるCRMを競争優位性とし、自転車ライフに並走しCS向上と消費者へのLTVの最大化を目指す」と、CRMの強化も行うと訴える。

「そして、リユース事業バリューチェーンを構築し、安全品質とブランド力を備えた循環型ビジネスモデルの中核事業として確立。シェアサイクル事業等との協働ビジネスでも車体循環のインフラとしてのサービス価値を提供する」と、周辺事業の拡大も図っていくと強調した。「また、あさひビジネス『プラットフォーム』の提供による戦略パートナーを拡大する等、当社ブランドを全国どこでも手に取ってもらえる販売・サービスネットワークを構築することで、直営店空白エリアでも消費者を持続的に創出できる体制を確立する」と、戦略パートナーを拡大し、物流や店舗、人材の基盤を強化していく考えを示した。

「新成長を実現するために、繋がるIT基盤、循環型物流基盤、顧客基盤、品質・環境経営基盤−−の4つの経営基盤を強化し、新たな企業価値の創出を支えていく。この新成長に挑戦し、新たな企業価値を創出していくための高度な専門人材の確保と育成、それを支援する取り組み等をVISION 2028の最重要課題と認識し、人的資本経営を具体的に実現していく」とのこと。「また、創出を目指す価値、価値を生み出す資本、企業価値創出を支える基盤−−の3つの機能区分とともに、それぞれの重要課題を設定。事業基盤と連携した取り組みを推進していく」と、成長戦略における重要課題について説明した。
「資本コストは足元7〜8%程度と認識。対してROEは従来8%超も、今年2月期は5.7%まで低下、収益性改善に課題がみられた。株価はコロナ特需期ピークに足元1300円付近で低迷。PBRは近年1倍割れ、今年2月期末は0.83倍まで低下し、適正株価回復に向けた財務資本戦略の設定と市場との積極的なコミュニケーション(IR活動)にも課題がある。一方、配当は利益成長に比し50円/株まで増配、配当性向は35%超を確保した」と、財務資本の現状について語る。「財務資本戦略として、持続的な企業価値向上に向けた積極的な成長投資と株主還元を実施し、ROE・ROICの向上を図る経営を実践。早期のPBR1倍超の実現を図る」と、株価と資本コストを意識した経営を図っていくとのこと。「営業CFを源泉に、成長投資、株主還元、財務健全性の維持をバランス良く配分、負債を活用した経営戦略投資も検討していく」と述べる。「そして、資本コストを上回るROEの達成と、経営資源の最適配分によるROICの持続的改善に取り組み、企業価値の向上を図る」と話していた。「さらに、中長期的な企業価値向上に取り組むことで、積極かつ安定的な株主還元を行うことを方針とする」と、株主還元方針について言及した。
今回のラウンドテーブルでは、4月1日から開始された交通反則通告制度(青切符)についても解説。同社では、店舗スタッフへの周知・教育やWEBサイトでの情報提供、ポスターやPOP等による店頭での情報提供、自転車の安全利用に役立つ商品の紹介を行っているという。自転車を安全に使うためのグッズとして、オートライト機能付きフロントライトやポンチョタイプのレインウェア、着用は努力義務ではあるがヘルメットをおすすめしている。
あさひ=https://www.cb-asahi.co.jp
