タモリもやっていた「他人を落とす笑い」

 一方で、ヒカルが好きな「言葉によって“他人を落とす”笑い」も、タモリは大いにやっている。ただタモリのそれは、非常にウィットに富んでいる。タモリは「名古屋、オフコース、さだまさし」が嫌いだと公言した。「テレフォンショッキング」に小田和正が出演したときのピリピリ感は、かなりのものだった。

 私は子供の頃、この3つが嫌いという意味がわからなかった。しかし大人になって、それぞれの「タモリが嫌いと言ってる部分」が見えてきて、なるほどと膝を打った。まさにものの見方を教わった気持ちだった。

 ヒカルと同じように、私も若い時はタモリの面白さがわからなかった。何せビートたけしが大好きで「たけしのものの見方」に、頭を支配されていたからだ。私の世代は大抵そんな感じだと思う。当時はスタイリッシュすぎて気がつかなかったのだ。タモリの毒や過激さに気づいたのは、おそらく30歳を過ぎてからだったと思う。

【椎名基樹】
1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』、週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』などを担当。近著は『オールナイトロング −私にとっての電気グルーヴのオールナイトニッポンとその時代』。Xアカウント @mo_shiina