「すごい」「えらい」だけではダメ。褒め言葉が相手にしっかり届く、褒め上手な人が褒める前にしている2つのこと
職場でも家庭でも「褒めること」が大切なことだということはわかっている。
ただやみくもに褒めるのもあまり響かない。では、褒め上手な人は褒める前に何をしているのだろうか。
15万部超のロングセラー『任せるコツ』の著者でもある山本渉さんが、すべての人間関係に効果的で、戦略的な「ほめかた」をまとめた著書『できるリーダーはどこを「ほめる」のか?』(朝日新聞出版)からを一部抜粋・再編集して紹介する。
褒める前にすること
褒め上手な人には、実は「褒める前にしていること」があるのです。
「褒メガネ」が実際に売っていたら、きっと多くの人が欲しがるでしょう。ですが、残念ながら物理的には存在しません。では、どうすればこのメガネをかけられるようになるか。
その答えが「関心」と「観察」です。
褒めるという行為は、単に「すごい」「えらい」と言えば済むものではありません。むしろ、そうした言葉だけでは、かえって表面的に感じられてしまうこともあります。
反対に、「この人、私のことをちゃんと見てくれてる」と思えるような具体的な褒め言葉は、相手の心にしっかり届きます。その違いを生み出しているのが「関心」と「観察」なのです。
「関心」のない褒めは逆効果?
わたしには、褒められたのにまったく嬉しくなかった経験があります。
若手時代、休日返上で資料を作ったことがありました。取引先の歴史や社長のインタビュー記事なども読み込んで、相手に届くように工夫した渾身の資料でした。
上司からの言葉は、「昨日の資料、よかったよ、おつかれ」でした。褒められているのに、なぜか寂しさを感じたのを覚えています。
今考えると、褒められたんだからいいじゃないか、という気もしますが、当時は「もっと関心を持って見てほしかった」と感じました。
ただ評価されたいのではなく、「どうしてそんな工夫をしたのか」「何を考えて取り組んでいたのか」といった背景に目を向けてほしかったのです。欲しがりすぎですね。
そこに「関心」があるかないかで、残念な褒め言葉になるか、心に届く褒め言葉になるかの違いが生まれます。
「観察」は相手の過程に光を当てる
次に、「観察」について考えてみましょう。AとBの褒め言葉、どちらが言われて嬉しいでしょうか?
A「ノルマ達成、すごい!」
B「顧客情報を念入りに調べて営業したから成果が出たね。すごい!」
A「社長賞受賞、かっこいいね」
B「家事も育児もこなしながら、仕事でも結果出すの、かっこいいね」
多くの人が、Bのほうが心に響くと感じるのではないでしょうか。
それは、より具体的に褒めているということもありますが、相手の行動の背景に対する「観察」があるからです。
「観察」とは、目の前に見えている成果や結果だけでなく、その奥にある過程や意図にも光を当てることです。
たとえば、「仕事が遅い人」をよく観察してみると、ミスを減らすために細部まで丁寧に確認しているのかもしれません。プロジェクトが時間通りに進んだとき、それは綿密な準備の賜物かもしれません。
このように、「関心」と「観察」を持つことではじめて見えてくる「褒めポイント」があります。
また、言葉は単なる結果への称賛ではなく、その人の努力や工夫といった過程に向かいます。それが「しっかり自分を見てくれている」という感覚につながり、深い褒め言葉になるのです。
これは特別な能力を持っていないとできないことではありません。普段から意識し続けることで、前節で触れた「褒メガネ」は自然と手に入るのです。
■ポイント
「関心」と「観察」が、深く伝わる褒めを生み出す。
山本渉
国内最大手の広告マーケティング会社にて、ジェネラルマネージャー兼部長を束ねる統括グループリーダーとしてチームを率いる。その経験をもとに執筆したマネジメント書『任せるコツ 自分も相手もラクになる正しい“丸投げ”』(すばる舎)がある。また、クリエイティブディレクター/コピーライターとして20年以上、商品・サービスの「よさ=褒めポイント」を見つけ出し、言語化する仕事に携わる。
