「夜景なんて見たくない…」世帯年収1,400万円・30代夫婦、カーテンを閉め切ったリビングで絶望。憧れの「タワマン生活」を崩壊させた〈まさかの悲劇〉
将来の収入増を見越して都内のタワーマンションを「頭金ゼロのペアローン」で購入した、世帯年収1,400万円・ケンタさん夫婦(30代)。「自分たちなら余裕で返せる」と強気な資金計画を立てていたものの、購入からわずか2年後、想定外の事態が夫婦を襲い世帯収入は激減。毎月30万円の住居費が家計を圧迫し、マンションを手放そうにも“ある理由”で身動きが取れず……。現役世代が「ペアローン破綻」に陥った理由とは。
「夜景を見る気にもならない」世帯年収1,400万円パワーカップルの慢心
「今は夜景を見る気にもなりません……。むしろ外の明かりがうっとおしくて、ずっとカーテン閉めっぱなしです」
そう語るのは、都内のタワーマンションの高層階に住むケンタさん(仮名・38歳)。ケンタさんは中堅メーカー勤務で年収750万円、妻のマイさん(仮名・35歳)はIT企業勤務で年収650万円。世帯年収は1,400万円と、普通に生活する分にはまったく困らない収入です。
「今のうちならペアローンでいい家が買える。お互い昇進するだろうし返済なんて余裕だ、なんとかなるだろ」
そんな強気な見通しで、2年前に約8,500万円のタワーマンションを「頭金ゼロ」で購入。毎月のローン返済は約23万円、それに加えて管理費や修繕積立金、駐車場代を含めると、住居費だけで毎月30万円近くが消えていく計算でした。それでも、当時の二人には「自分たちなら大丈夫」という自信がありました。
「憧れのタワマンだ! これから最高の生活が待ってるぞ!」
夢にまで見たマイホームを手にして、希望に満ちていたケンタさんとマイさん。しかし、その余裕は“心身の健康”が土台としてあってのものだったのです。
崩れだした返済計画…タワマン生活を暗転させた「妻の異変」
昨年の秋、マイさんが職場の激務とストレスから適応障害を発症し、休職を余儀なくされました。傷病手当金があるとはいえ、ボーナスはなくなり世帯の収入は大幅に減少。
収入が激減した途端、家計は一気に火の車になりました。毎月30万円の住居費を払うと、生活費すらまともに残りません。
「今はなんとか貯金からやりくりしていますが、このペースだとあっという間に底をつきそうです」
焦ったケンタさんはマンションの売却を検討しました。しかし、不動産屋からの査定結果を聞いて絶望することに。
「売るに売れない…」査定結果に絶望
残債が多すぎる「オーバーローン状態」に陥っており、売却手数料などを考慮すると数百万円の手出しが必要だったのです。ろくに貯金をしてこなかったケンタさん夫婦には、もはや売ることも住み続けることもできない八方塞がり状態。
「査定結果は、療養中のマイには話せていません。ただでさえ精神的に参っているのに、これ以上追い詰めたくなくて……」
休職中のマイさんを気遣いながらも、一人で家計の重圧を抱え込むケンタさん。
「マイには休んでほしいですよ。でも、心のどこかで『早く復帰してくれないとヤバい』って焦ってる自分がいて。ほんと、嫌になります」
強気な借り入れが招いた悲劇に、ケンタさんはただ頭を抱えるしかありませんでした。
「何が憧れのタワマンだ……。見栄張ってペアローンなんて組むんじゃなかった」
共働き夫婦を待ち受ける「世帯収入」の過信とリスク
内閣府の「男女共同参画社会に関する世論調査(令和6年)」によると、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に対して、「反対」と答えた人の割合は全体の64.8%に上っています。このように夫婦共働きが標準的なライフスタイルとなるなかで、世帯収入の多さを前提に余裕を持たせた家計設計をする夫婦も増加していますが、そこには特有のリスクも潜んでいます。
総務省の「家計調査報告(令和7年)」によれば、2025年平均における二人以上の世帯のうち「勤労者世帯」の消費支出は、月額平均で34万6,297円と高く推移しています。支出の内訳を見ても、交通・通信費(月額4万5,730円)や光熱・水道費(同2万4,547円)など、毎月の固定費負担が確実にかかってきます。
これに毎月の住宅ローン返済が加われば、家計の余裕はあっという間に失われます。特にペアローンは、夫婦双方の収入を合わせることで借入れ可能額を最大化できるメリットがある一方、夫婦どちらかの収入が途絶えた瞬間に返済計画が崩れるリスキーな側面を持っています。
今回のケンタさん・マイさん夫婦のように「将来も今の収入が続く、あるいは上がる」という前提で返済ラインギリギリのローンを組んでしまうと、病気や休職、妊娠・出産といった不測の事態に対する耐性がまったくありません。共働き世帯こそ、片方の収入だけでも最低限の生活が維持できる現実的な資金計画や、万が一の際の貯蓄の確保が不可欠だといえるでしょう。
[参考資料]
内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査(令和6年)」
総務省「家計調査報告(令和7年)」
