安達優季容疑者(高校時代)

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 果たして本当に衝動的な犯行だったのか。真相解明のためには捜査に相当の時間をかける必要がある──。京都府南丹市で行方不明になっていた市立園部小の安達結希(ゆき)くん(11)が遺体で見つかった事件で、京都府警は4月16日、義父の安達優季(ゆうき)容疑者(37)を死体遺棄容疑で逮捕した。逮捕前の任意聴取では「衝動的に首を絞めて殺した」という趣旨の供述もしているという。

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 東京未来大学副学長の出口保行教授は犯罪心理学が専門。大学院を卒業後、法務省に心理職として入省し、全国の少年鑑別所・刑務所などで犯罪者の心理分析に携わった経験を持つ。

安達優季容疑者(高校時代)

「『衝動的に首を絞めて殺した』との供述が得られたようです。ならば事件の全容が解明されたかと言えば、むしろ逆でしょう。なぜこんな事件が起きてしまったのか、真相は依然として謎だと言って過言ではありません。殺人事件の場合、加害者と被害者の面識率は9割を超えます。つまり、多くの事件で加害者と被害者は顔見知りであり、動機の6割程度が対人関係上の不満です。濃い人間関係の中でストレスが発生し、殺人事件の動機となるのです」

 出口教授は「人を殺めたと言っても大きく分けて、“殺意ある事件”と強い殺意が認められない“傷害致死のような事件”の2つがあります」と言う。

「被害者の結希くんと逮捕された優季容疑者は、義理の父と息子という関係でした。互いに面識があるのは言うまでもありません。“殺意ある事件”の場合、犯人は相手の命を確実に奪おうとします。そのため刃物類が凶器として使われることが多くなります。一方、“傷害致死のような事件”は、例えば暴力を振るいすぎてしまい、相手が亡くなってしまった、といったケースが当てはまります。それでは今回の事件は、どちらに近いのでしょうか? 今の時点では分かりません」

まるで愉快犯の犯行

 出口教授は「今回の事件には依然として様々な謎があります。容疑者が殺意を抱いていたか否か、時間をかけた徹底的な捜査が行われなければ、その謎は解明されないと思います」と言う。

「今回の事件ではランリュック、靴、そしてご遺体が市内のあちこちに遺棄されました。普通の犯人なら、こっそりと見つからない場所に捨てるはずです。ところが、どれも目立つように置かれ、ご遺体は木の枝や葉で隠されることもありませんでした。そのため私は容疑者の逮捕前、愉快犯のような人物による犯行かと考えたこともありました。実際、だからこそ世論も事件に戦慄を覚え、大きな注目が集まったはずです。なぜ遺品や遺体を、あんなやり方で遺棄したのか、最大の謎だとも言えます。容疑者は『衝動的に首を絞めた』と供述したとのことですが、殺害後の行動を見ると事故を装うことを目論んでいたようにも見え、引っかかりを覚えます。容疑者に殺意や計画性があったのかなかったのか、依然として分からないのです」

 京都府警は4月16日に会見を開き、結希くんについて「3月23日の朝まで生存が確認されている」と説明した。

優季容疑者の精神状態

「府警の発表が事実であれば、容疑者は結希くんを車に乗せて小学校に向かい、その後、犯行に及んだことになります。となれば容疑者の行動は場当たり的だった可能性が高くなります。確かに、そう見えなくもないでしょう。計画性の低い犯罪の場合、犯人は精神的な余裕が失われます。そのため場当たり的に行動しがちなのです。さらに優季容疑者の場合、捜査の手が次第に自分に向かっていると感じていたに違いありません。結果として余計に追い詰められていたはずです。私が刑務所で心理分析をしていた際、多くの犯罪者は逃走中、不安の日々を過ごしていました。中には『逮捕されてホッとしました』と打ち明けた犯罪者もいます。ひょっとすると優季容疑者も同じ精神状態だったのかもしれません」

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デイリー新潮編集部