リヨン移籍後、調子を上げているエンドリッキ。(C)Getty Images

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 セレソン(ブラジル代表)は3月末、アメリカで欧州の強豪2か国と対戦。フランス代表、クロアチア代表との連戦は、ワールドカップ本大会を見据えた最終テストという位置づけでもある。
 
 ワールドカップ出場メンバーは5月中旬に発表される予定で、この2試合はその前の最後の強化試合。故障者を除き、この2試合に招集されなければ、本大会出場は極めて困難となる見込みだ(それゆえ、招集外となったネイマールの出場の可能性は極めて低いと考えていいだろう)。
 
 現在のセレソンが抱える最大の問題は、ロドリゴ(レアル・マドリー)が3月初めに右膝の前十字靭帯断裂と外側半月板損傷の大怪我を負い、ワールドカップ出場が絶望的となったことで、攻撃陣の再編を迫られている点にある。

 これまでカルロ・アンチェロッティ監督は主に4-3-3のフォーメーションを採用してきた。
 
 前線のレギュラー候補は、右ウイングにエステバン(チェルシー)とラフィーニャ(バルセロナ)、トップ下にラフィーニャとルーカス・パケタ(フラメンゴ)、左ウイングにヴィニシウス(R・マドリー)とガブリエウ・マルチネッリ(アーセナル)、そしてCFにマテウス・クーニャ(マンチェスター・ユナイテッド)が並ぶ構成だ。
 
 ロドリゴ不在の穴を埋める存在としては、CFと右ウイングをこなせるエンドリッキ(19歳/リヨン)とライアン(19歳/ボーンマス)、さらにCFのジョアン・ペドロ(24歳/チェルシー)が挙げられる。この3人はいずれも3月の強化試合に招集された。
 
 エンドリッキは、低重心のドリブルとゴールへの強い執念を特長とする、ロマーリオを彷彿とさせるアタッカーだ。今年1月、出場機会を求めてR・マドリーからリヨンへ期限付き移籍。加入直後はゴールを量産し、3月下旬時点で公式戦14試合に出場して6得点・5アシストを記録している。
 
 ライアンは屈強なフィジカルに加え、スピードとパワーを兼ね備えるストライカーで、かつてインテルで活躍し「皇帝」と呼ばれたアドリアーノを想起させるタイプだ。しかもテクニックはアドリアーノ以上とも評される。今年1月末にヴァスコ・ダ・ガマからボーンマスへ移籍し、ここまで8試合で2得点・1アシストを記録。ただし、2月中旬以降はゴールがない。
 
 ジョアン・ペドロは両足と頭で得点できる万能型ストライカーで、カレッカを思い起こさせる存在だ。昨年7月にブライトンからチェルシーへ移籍し、ここまで公式戦43試合で18得点・9アシストをマーク。実績という点では、この3人の中で最も抜きん出ている。
 
 スケールと将来性という観点ではライアンが最も魅力的だと筆者は見るが、現時点での実力は3人ともほぼ横一線。今後のクラブでのパフォーマンスが極めて重要となる。最後の最後まで、「1枠」を巡る熾烈な争いが続くはずだ。
 
文●沢田啓明
 
【著者プロフィール】
1986年にブラジル・サンパウロへ移り住み、以後、ブラジルと南米のフットボールを追い続けている。日本のフットボール専門誌、スポーツ紙、一般紙、ウェブサイトなどに寄稿しており、著書に『マラカナンの悲劇』、『情熱のブラジルサッカー』などがある。1955年、山口県出身。 

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