全国市区町村「公務員の退職金」ランキング…退職金事情からみえてきた「実は民間企業並みにツライ」厳しい現実

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総務省の『令和7年地方公務員給与実態調査』によると、地方公務員(一般行政職)の平均給与は41万3,968円、全職種の平均は42万8,589円でした。物価高騰や民間企業の賃上げ動向が注視されるなか、最新の地方公務員の給与事情はどう変化したのでしょうか。今回は、政令指定都市を含む、全国市区町村の退職金事情をみていきます。

市区町村「定年退職金」ランキングTOP10

まずは、一般職員のうち一般行政職の全退職者の平均をみていきましょう。トップは「山形県飯豊町」で2,471.2万円。「岡山県井原市」、「三重県川越町」、「大分県臼杵市」、「三重県紀宝町」と続きます。ただ、これは全退職者の平均であり、自己都合などの退職者が多い都市ほど、平均額は低くなる傾向があります(参考資料:『【ランキング】全国市区町村「公務員の退職金」1〜500位〈令和7年地方公務員給与実態調査〉』)


そこで、定年退職者に絞って数値をみていきます。なお、資料では調査年に定年退職者がいなかった自治体(209自治体)や、個人情報保護の観点から定年退職者が1人、または2人の自治体(408自治体)は、平均退職金額が公表されていません。

公表されている900あまりの自治体のうち、平均定年退職金額が最も高かったのは「東京都国立市」で2,695.2万円。上位には大都市圏の自治体が並びます。一方で、最も平均退職金額が少なかったのは「北海道室蘭市」で1,142.9万円でした。

【全国市区町村「公務員の平均定年退職金」トップ10】

1位「東京都国立市」2,695.2万円

2位「兵庫県芦屋市」2,616.5万円

3位「東京都羽村市」2,605.6万円

4位「愛知県刈谷市」2,597.1万円

5位「東京都国分寺市」2,591.0万円

6位「埼玉県越谷市」2,566.3万円

7位「千葉県君津市」2,550.4万円

8位「愛知県岡崎市」2,547.2万円

9位「静岡県袋井市」2,546.4万円

10位「埼玉県幸手市」2,546.1万円

これほどの差がつく要因としては、大きく3つの理由が考えられます。

まず「給与水準(ラスパイレス指数)の連動」です。退職金は「退職時の月給 × 支給率」で計算されます。つまり、もともとの月給設定が高い自治体ほど、掛け算で退職金も大きく膨らむ仕組みです。都市部など、地域手当が手厚い自治体はこの傾向が顕著です。

また自治体によっては、管理職経験者への加算金や、早期退職を促すための優遇措置(募集認定退職など)に差があります。これが「平均値」を押し上げる要因となります。

公務員の退職金事情から垣間見る「公務員の離職」の実態

総務省『令和6年度地方公務員の退職状況等調査』によると、令和6年度の離職者4万3,201人のうち、定年退職者は全体の27.5%に留まります。普通退職(定年や死亡、懲戒免職などを除く、自己都合や契約期間満了などによる一般的な離職)は59.6%です。そのうち、在職期間の通算を伴う退職等が7.4%、定年前再任用短時間勤務職員となるための退職が4.3%であることから、残り47.9%、数にして2万人ほどが自己都合による退職だと考えられます。

また、全体の6.9%は勧奨退職、4.0%は早期退職募集制度による退職でした。地方公務員の勧奨退職は、自治体が人事管理目的(高齢層の整理や若返り)で職員に退職を促し、合意のもと退職する制度です。自治体によりますが、一般的に50代(50歳〜59歳など)で勤続年数が20〜25年以上が対象となり、自己都合退職よりも割増された退職金が支給されるメリットがあります。

一方で、地方公務員の「早期退職募集制度」は、主に定年前に退職する意思を持つ職員(一般的に45歳以上など)を対象に、組織の若返りや人事構成の適正化を目的として、自己都合よりも割増された退職金を支給する制度です。現在、およそ13%の自治体で導入されています。

このように、地方公務員の離職理由をみていくと、定年まで勤め上げるケースは全体の3割に満たないのが実情です。
公務員は安定しており、一度採用されれば定年まで全うするのが一般的であると考えられがちですが、実際には民間企業と同様に、キャリアの途中で組織を離れる選択は決して珍しくありません。

また、勧奨退職や早期退職募集制度といった、組織の新陳代謝を目的とした「事実上の早期退職勧告」が存在し、一定数の職員がこれに応じている現実もあります。高額な退職金の背景には、こうした人事管理上の調整や、定年延長という制度の過渡期における複雑な運用、そして長年にわたる勤務継続という高いハードルがあります。

最新の統計が示す離職の実態は、地方公務員という職業が決して安泰というわけではなく、組織の新陳代謝や個人のキャリア選択、さらには制度改正の波にさらされる、厳しい雇用環境の一側面を浮き彫りにしています。