どうなる2026年スーパーGT! GTアソシエイション坂東正明代表に直撃インタビュー!!

2026年2月13〜15日の3日間に渡り、インテックス大阪にて行われた大阪オートメッセ。西日本最大級のカスタムカーイベントとして、29回目の開催となった。近年はカスタムカーだけでなく、幅広いクルマ好きに対してリーチするような展示、コンテンツを用意している。そうしたなか、大阪オートメッセの目玉のひとつとなっているのがGTアソシエイションの協力によって展開しているスーパーGTマシンの展示、エンジン始動やタイヤ交換のデモンストレーション、トークステージなどだ。
今回、その会場内にて、GTアソシエイションを率いる代表取締役の坂東正明氏へのインタビュー機会に恵まれた。
大会を盛り上げる、そしてSUPER GTをより多くの方に知ってもらうために
──2026年もまた、大阪オートメッセにご協力をいただきましてありがとうございます。昨年に比べてお客様の出足も好調です。
坂東代表(以下:坂東):昨年は雪がチラついていましたが、今年は天候に恵まれましたね。大阪オートメッセには色々な目玉があっていいと思いますが、そのなかのひとつとして我々のスーパーGTを取り上げていただいている。我々としても、開幕戦に向けて開催サーキットへの誘致は進めていきたいですから、それで一緒にやりましょうという形になっているわけです。初めてオートメッセにGT300のGT-Rを展示したときは「これってGT-Rの改造車か?」なんて声も聞かれましたが、いまはスーパーGTマシンを見にきてくれている、という実感があります。多くのオートメッセのお客様にGTを知ってもらえるようになりましたね。
──今年のイベントの印象はいかがでしょうか?
坂東:メインゲートから入ってすぐ、正面にGT500とGT300のチャンピオンマシンを展示しています。入口付近なので動線がぎゅうぎゅうになるのかもしれませんが、やはり多くの来場者に見て頂きたいコンテンツですからね。もっといえば、チームのトランポを沢山並べたり、タイヤ交換デモも、2チームを呼んで対決形式にできたらより楽しんで頂けるのではないか……来年以降に向けてお客様に喜んでいただけるようなアイディアをまだまだ出して行きたいと思います。
──早くも来年のオートメッセが楽しみです(笑)。さて、まもなく開幕戦(4月11〜12日)ですが、今シーズンの展望や目標を教えてください。
坂東:先ほども申し上げたとおり、基本的には「集客」ということをメインに考えています。常にスタンドがマンタン(満席)になるような大会作りですね。スーパーGTに行ってみよう、そしてまた来よう、と思ってもらえるようなイベントのあり方を常に考えていますし、今シーズンも進めていきます。
もうひとつは、スーパーGTに参戦している自動車メーカー、タイヤメーカー、そしてサプライヤーといった仲間たち、その会社で働いている人たち、その家族。さらにモリゾウさん(トヨタ自動車・豊田章男会長)がよくおっしゃられる自動車産業界で働く550万人の仲間や、JAF会員約2100万人といった方々全員に、日本のモータースポーツを理解してもらい、そのなかにあるスーパーGTを認識してもらうこと、これは生涯の課題ですね。大きな目標ですが、ひとつひとつクリアしていくことが大切で、今シーズンも進めていきます。
──モータースポーツの世界でも環境問題は避けてとおれない時代になっています。このあたりはどうお考えでしょうか?
坂東:環境問題、SDGsなどは当然考えなくてはなりません。一方で、マシンが発する音やオイルやタイヤの匂い、目で見えるものなど五感に訴えるものはモータースポーツにとって大切です。当然それらは環境と相反する部分もあるのですが、それがないと楽しんでもらえるモータースポーツではないと私は思っています。ですから、たとえば「CO2削減に対して努力をするから音は出すよ」といった具合で、バランスをとりながらスーパーGTというイベントを作って行こうと思っています。
──2026年シーズンはGT500のエンジン使用が年間1基になりますね。
坂東:エンジンの使用可能基数の変更についてはコスト削減が目的です。1シーズンを通しての耐久性と、速さのマージンをどこまで削るのか、そのあたりが各社の戦略の違いになると思います。
エンジンの話が出たついでですが、スーパーGTでは2023年からカーボンニュートラルフューエルを使用しています。これは現在ヨーロッパから輸入しているのですが、やはり国産でできないか、という思いはありますね。たとえばガソリンに10%のバイオエタノールを混合したE10燃料。ヨーロッパでは普通に購入できるものもありますが、日本ではまだまだ厳しいものがある。いかに日本で安定して生産し、供給できるか……、我々としては利益のためではなく、環境に配慮したモータースポーツを多少のコストがかかっても継続していく方法論を少しでも早く示していきたいと、日々思っています。このインタビューがWEB CARTOPに掲載されるころには、SUPER GTでの燃料に関する2026年シーズンからの新たな取組みについてアナウンスできているかも知れません。
──同じくGT500でサクセス給油リストリクターという競技規則の変更がありますが、この狙いについてお願いします。
坂東:これまではサクセスウェイトが51kg以上になると、3段階ある燃料流量リストリクターによって、ハンデが課せられていました。また、先ほど申し上げた年間で使用エンジンを1基化するにあたり、エンジンの耐久性マージンを確保するため燃料流量を従来よりも絞る必要が発生しました。ですがこれでは、フルにハンデを背負ったGT500マシンとGT300の速さが接近してしまう。そのため、給油時の燃料流量を減らし、給油時間を長くするサクセス給油リストリクターの導入に至りました。GT300では2025年シーズンに施行しており、効果についてもチームからフィードバックを得ています。お客様にとっては、しっかりとGT500ならではの速さ、競争を味わってもらいつつ、シーズンを通して1チームが独走することのない、スーパーGTならではの熱いレースを味わえる、そんな効果があると思います。
プレリュードを投入するホンダの戦闘力にも注目
──タイヤについてもお願いします。2027年シーズンからは、タイヤがワンメイクになるため、今年が最後のタイヤ開発競争の年になりますね。
坂東:はい、ブリヂストン、ヨコハマ、ダンロップ、そしてミシュランと、タイヤコンペティション最後の年になります。今の状況だとタイヤの開発費、供給コストが膨大になりすぎ、チームとしても年間予算の半分近くがタイヤ代に消えてしまうといったケースもあります。それを考えますと、スーパーGTを経済面でも健全に運営していくためには、ワンメイク化は致し方ないところです。プロモーターの代表としては、来年からマルチメイクの戦いでなくなることは残念ですが、2026年はSUPER GTシリーズ最後となるバチバチのタイヤ競争も存分に楽しんでもらえればと思います。
一方で、ワンメイクになる2027年はまた別の楽しみがあると考えています。これまでタイヤに助けられていた部分が減り、よりチーム力やドライバーの技量が問われるシビアな闘いが見られるはずです。是非、楽しみにしていてください。
──GT500ではホンダがシビックタイプRからプレリュードへとマシンをスイッチします。昨シーズンはホンダ勢が、かなり苦しい闘いになりましたが、勢力図に変化はありそうですか?
坂東:スーパーGTのマシンは、車両の技術規則の点からベース車両のディメンジョンをもとにスケーリングをして、作り上げます。そのため5ドアハッチバックのシビックタイプRはルーフの高さなどが影響して空力面で不利だといわれていました。プレリュードは2ドアクーペなので、ストレートスピードをどこまで上げてくるのかなど、楽しみなところだと思います。
ホンダはそれまでNSXで闘っていましたから、それがシビックというのは、私、個人としては、正直 腑に落ちないところもありました(笑)。シビックがモータースポーツ界で活躍してきたことは当然ですが、スーパーGT、とくにGT500クラスはやはり素直にかっこいい、スポーティな2ドアクーペで闘うべきだろうと。そういった意味でもプレリュードへのスイッチは歓迎です。
──GT300クラスでは、大阪オートメッセのGRブースに展示されていたGR GT3。非常に楽しみなクルマですが、いかがでしょうか?
坂東:私もGR GT3は非常に楽しみにしているクルマの1台で、今回の大阪オートメッセでもGRのスタッフの方にお願いして、展示車両を近くで、じっくりと確認させていただきました。一方で、国産のFIA GT3規格のマシンはこれまでもありましたが、パーツの供給、デリバリーに一部課題もあったのではと思っています。たとえばヨーロッパのGT3車両であれば、ネットでパーツを注文すれば2週間以内には普通に届く。スーパーGTはもちろん、世界中のレースでGR GT3が走ることを楽しみにしていますので、GRにはそういった面も期待したいですね。
──それでは最後に、今シーズン、そして開幕戦へ向けて、ファンへのメッセージをお願いします。
坂東:今シーズン、GT500ではau(TOM’S)が4連覇を狙ってきますし、それに対してほかの各チームがどう止めるのか、そこが注目ですね。開幕戦から勝ちに行くのか、どこでサクセスウェイトを積むのかを考えつつ抑えるのか、テストの結果をみながら立ててくる各チームの戦略が岡山のGT500の見どころだと思います。
GT300は開幕からイケイケでしょう。29台のなかで1台でも抜いて上に行こう、そういうバチバチのレースになると思います。
サーキットに来てくれるお客様が、よりスムースに、より快適に過ごせるよう、これまでも岡山をはじめ各サーキットに設備投資をお願いしています。昔に比べればトイレや駐車場といったホスピタリティもかなりよくなりましたが、まだまだ今後も開催サーキット各社と協力して更に改善していきます。モータースポーツの「ワクワク」を一人でも多くの人に体験してほしい。ぜひサーキットへ足を運んでください。あとは天候に恵まれることを願うだけですね。






