ビタミンCは非常によく知られた必須栄養素であり、野菜や果物などに豊富に含まれているほか、さまざまなサプリメントや飲料にも添加されています。そんなビタミンCの摂取が風邪予防や血圧低下、がんリスクの軽減などに役立つのかどうかについて、オーストラリアのマッコーリー大学自然科学部教授を務めるニール・ウィート教授らが解説しました。

Should I take vitamin C to ward off colds, lower blood pressure or reduce cancer risk?

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ビタミンCは健康志向の文化において象徴的な栄養素のひとつです。ビタミンCは強力な抗酸化物質であり、細胞を損傷から守ったり体の免疫機能をサポートしたりするほか、鉄分の吸収を助け、傷の治癒にも関与しているとウィート氏は説明しています。

ビタミンCは体の組織を結合させ、歯茎や皮膚の構造成分であるコラーゲンの合成にも役立っています。ビタミンCが著しく欠乏すると壊血病になって体内で十分なコラーゲンが生成されず、組織を結合できなくなり、最終的には歯が抜け落ちたり血管が破れて内出血を起こしたりします。

人間はビタミンCを合成することができないため、体に必要なビタミンCは食事や飲み物から摂取する必要があります。人間はビタミンCの大部分を野菜(約40%)や果物(約19%)、野菜ジュースやフルーツジュース(約29%)から摂取しているとのこと。

サプリメントに含まれるビタミンCと食品に含まれるビタミンCは化学的に同一なため、人体は両者を区別することはありません。しかし、食品にはその他の食物繊維やフラボノイド、ビタミン、ミネラルなどが含まれているため、これらの物質がビタミンCとの相乗効果を引き起こし、ビタミンC単体では得られない健康効果をもたらすことがあるとウィート氏らは説明しました。



ウィート氏らは、ビタミンCが役立つと言われている「風邪」「心臓病や脳卒中」「がん」といった健康問題について、実際にビタミンCがリスクを軽減するのかどうか解説しています。

◆風邪

ビタミンCは免疫力を高めることから、風邪やインフルエンザの予防・治療に効果があると広く信じられています。しかし、さまざまな研究結果をレビューした2013年の論文では、200mg以上のビタミンCを定期的に摂取しても風邪の発症率を低下させる効果はないことが明らかになりました。一方、ビタミンCを定期的に摂取することで風邪の期間が短縮され、1000mg以上の高用量では症状を軽減できることも示されています。

しかし、ビタミンCを風邪の治療に用いる場合、症状の初期段階で摂取しても風邪の期間や重症度には影響しませんでした。いくつかの研究では、風邪を引く前に毎日摂取した場合はわずかな効果がみられましたが、著者らはビタミンCの定期的な摂取は風邪予防にそれほど効果的ではないと結論付けています。

◆心臓病や脳卒中

2017年の研究では、ビタミンCのサプリメントを摂取しても心臓発作や脳卒中、狭心症といった心血管疾患のリスクが変わらないことが示されました。ある研究によると、1日200mg以上のビタミンCを摂取すると収縮期血圧が4mmHg、拡張期血圧が2mmHg低下する可能性があるとのことですが、この効果は通常の有酸素運動と同程度で、従来の薬物療法には及びません。

◆がん

複数の研究から、ビタミンCは胃腸がん・肺がん・乳がん・前立腺がん・大腸がんなどのがんを予防できないという結果が示されています。



成人の1日あたりの推奨ビタミンC摂取量は100mgとされており、摂取量の上限は1日あたり2000mgとされています。ビタミンCは水溶性のため体内に蓄積されることはありませんが、過剰摂取は下痢や吐き気などの原因になるほか、男性の場合は腎臓結石のリスクを高めるとのこと。

ウィート氏らは、「ほとんどの人にとってビタミンCのサプリメントは必要ありません。バランスのとれた食事をすることで、かんきつ類・ベリー類・トマト・ピーマン・ブロッコリー・ケールなどの食品から十分な量を摂取できます」と述べました。