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ハッチバックベースの傑作スポーツカー

その出自は、あまり期待できるものではなかった。1988年登場のフィアット・ティーポのプラットフォームをベースとしており、長い年月をかけて量産化に漕ぎつけた。

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旧型のアルファ・ロメオ『GTV』は、ジョルジェット・ジウジアーロ設計の後輪駆動の4人乗りクーペだった。『アルフェッタ』の派生で、錆びやすい性質、リア搭載のトランスミッションと扱いにくいシフトレバーの相性の悪さといった問題点もあるが、魅力的で洗練された1台だった。


アルファ・ロメオGTV(916)

新型のGTVとそのコンバーチブル仕様『スパイダー』は(編集部注:当時の正式車名は『アルファGTV』、『アルファ・スパイダー』)、ティーポをベースにしているため必然的に前輪駆動となり、このプラットフォームでは不十分だと考える評論家も多かった(筆者を含む)。

だが、ジャンカルロ・トラヴァリオ氏の考えは違った。1990年代初頭、アルファ・ロメオのチーフシャシーエンジニアだった彼は、同僚と共に、ホンダ・シビックVTiと前輪駆動のロータス・エランを開発のベンチマークとして選んだ。

スパイダー発表時、トラヴァリオ氏は筆者の取材に対して「シャシーのバランスを学ぶため」に180km/hでのドリフトを習慣的に行っていたこと、そしてエランへの熱意を語ってくれた。

エランの魅力的なダイナミクスの大部分は、巧妙なサスペンションとサブフレームブッシュに由来している。車輪とそのジオメトリを、激しい回転運動の中でも堅固かつ流暢に制御する効果がある。この部分に、アルファ・ロメオのシャシー開発チームも目をつけた。

磨き抜かれたシャシーとエンジン

開発初期のGTVとスパイダーは幅が狭く、後輪は拍子抜けするほど単純なシャシー設計で支えられていた。これはティーポの起源を露呈するものであった。しかし、開発途中でアルファ・ロメオの米国再進出計画(最終的に中止)が浮上し、市場調査により威圧的な外観を求められるようになった。そしてほぼ同時期に、生粋のクルマ好きで知られるフィアットCEOのパオロ・カンタレラ氏が、スパイダーとGTVのシャシーは不十分だと判断した。

そこで粗末なリアサスペンションは廃止され、超高剛性のアルミ製サブフレームを備えたマルチリンク式に置き換えられた。リアアクスルは、わずかに操舵するよう設計されている。


アルファ・ロメオGTV(916)

低〜中程度のコーナリングフォースでは後輪がカウンターステアとなり、高速域(180km/hのドリフトなど)では前輪とわずかに同方向に操舵する仕組みだ。

筆者には、180km/hで白煙を上げるアルファの挙動を確認する余裕(スキル)はなかったが、低速域ではアンダーステアをまったく感じさせない従順さでコーナーを駆け抜け、驚きと喜びを与えてくれた。さらに、コーナー途中でアクセルを離すと、クルマがラインを締めていくのを感じられた。マツダMX-5のテールアウトドリフトほどの楽しさはないが、確実に面白く、雨天時にも頼もしかった。

楽しさをさらに高めたのは、アルファ・ロメオのツインスパークエンジンだ。ほぼ完全新設計で、各シリンダーに大小2本のスパークプラグ(計8本)と、ツインカムを採用。吸気効率を高めたほか、珍しいことに2本のバランスシャフトを備え、滑らかさを追求していた。

2.0L仕様では150ps、19kg-mのトルクを発生し、7000rpmのレッドラインを実現した。実際、レブリミッターが作動する7300rpmまで回ったものだ。

衝撃的だったエクステリアデザイン

アルファ・ロメオGTVはスパイダーの3倍の剛性を誇り、より優れたドライバーズカーとなった。また、スパイダーの2席に対し4席を備えるが、後部座席は切羽詰まった状況でのみ使える代物だ。あるいは荷物のためのスペースと言える。大型のリアサスペンションを収めるため、燃料タンクの位置を変更した結果、トランクスペースはかなり狭くなった。

しかし、その代償に手に入れたのは、外観にふさわしい走行性能であった。


アルファ・ロメオGTV(916)

1995年当時は非常に衝撃的なデザインだった。ウェッジシェイプのクルマは以前から存在しているが、エンリコ・フミア氏によるGTVのデザインは異質だった。深いメスで切り込んだようなラインがフロントフェンダーからドア、リアフェンダーへと走り、リアウィンドウ(スパイダーの場合はボディ同色トノカバーの基部)を囲むように流れている。

新鮮で、目を奪われる、実に巧妙なデザインだ。複合プラスチック製ボンネットに打ち抜かれた4灯式ヘッドランプも同様だ。当時としては小型のフロントライトは斬新だったが、ボンネットを開けると長方形のランプユニットが現れる。閉じた時にその一部が隠される仕組みだ。

GTVとスパイダーは共に10年の寿命を全うした。スペシャリティカーとしてはかなり長命で、GTVは後にアルファ・ロメオの名高い3.0L V6エンジンと6速トランスミッションが搭載されたことでさらに輝きを増した。軽微ながら効果的な改良も人々の関心を引いた。

しかし、GTVは優れた走行性能を発揮したものの、そのシャシー性能はホットハッチの台頭によってすぐに影を潜めるようになり、乗り心地の悪さや笑えるほど狭いトランクといった不満点が時代遅れな印象を際立たせた。また、多くの愛好家が後輪駆動を望んでいたのも事実である。