Woltの公式Xより

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コロナ禍をきっかけに一気に身近なサービスとなったフードデリバリー。出前館やUber Eatsに加え、menuなど複数のアプリがしのぎを削るが、市場全体はここ数年横ばいで伸びていない。

そんな中、北欧発の「Wolt(ウォルト)」が4日にサービスを終了し、日本市場から撤退した。トレードマークの水色のバッグが記憶に残っている人も多いだろう。フードデリバリーについて、3日放送のテレビ東京系「ワールドビジネスサテライト」がレポートした。

出前館は全国1万店で宅配商品の価格を店舗と同じ価格にするサービスを展開している。実質値下げである。送料部分を出前館と店側で折半して負担する仕組みだ。店側にとって、一商品あたりの利益は減るが、「売り上げ」重視で利用しているようだ。出前館によれば、注文数で見ると、中華料理チェーンでは約6倍、ステーキ店では約7倍になったという。

韓国の「ロケットナウ」が2025年1月に日本市場参入、送料とサービス料を無料にして1万店舗以上で店頭と同価格のサービスを展開した。これをきっかけに業界の価格競争が激化した。Uber Eatsは、有料会員の配達手数料とサービス料を無料にした。

撤退を決めたWoltも昼・夜限定のタイムセールで配達料とサービス料を無料にしていたが、からあげ店の店長は「タイムセールのところだけでリピートが増えた」と話し、全体の売り上げは落ち込んだそうだ。

フードデリバリーの市場規模は、2023年までは伸びてきたものの、24年と25年は頭打ちになっている。しかし、出前館の矢野哲社長は「日本のデリバリー市場は未熟で、これからの成長市場と捉えている」と話し、現状の3~5倍、場合によっては10倍になることも期待されているという。

外食・中食の市場トレンドを調査するサカーナ・ジャパンのアナリスト、東さやか氏は「インフレの影響が大きい」といい、「節約のために不要不急の外食・中食を控える傾向がある」と指摘する。デリバリー価格はテークアウトやイートインよりも高くなる傾向があったために節約の対象になりやすいためだ。

ただ、東氏は「今後は価格だけではない差別化が必要」といい、「値段そのままで増量とかキャラクターとのコラボレーションなど、何かプラスアルファの価値だろう」と分析する。

確かに、各社の戦略やポジションには違いも見える。例えば、「2強」といわれるUber Eatsは「Eatsパス」という月額制の配達手数料定額プランを強化し、大都市圏を中心にヘビーユーザーの囲い込みを進めている。一方、出前館は全国10万店の加盟店が強みで、LINEとの連携を通じて地方の常連顧客を取り込むような「地域密着」の方向にかじを切っている。

値引き競争は利用者にとってはありがたいが、事業者の収益を圧迫する。価格以外でどのようなプラスアルファの価値を提供できるのか、業界は新しい段階に入った。