Image: Advanced Materials

走ったり踊ったりするロボットはありますが、ヒューマノイドの開発ってどこまで進んでいるのでしょう?

人間と区別がつかないレベルになるのなんてまだまだ先? 生物らしい動きをさせるのは極めて困難だって聞いていましたが、実際のところは?

実は、すでに人間や動物のような滑らかで有機的な動きを再現し始めているんですって。おそらく私たちが想像していた以上に、生々しいところまで来ているんですよ。

「完璧すぎる」機械とその限界

工場のロボットアームやCNCマシン(コンピューター制御の工作機械)は、一点から一点へと、驚異的なスピードと精度で動きます。しかし、それを見て「生き物だ」と思う人はいませんよね。その動きはあまりに完璧すぎるし、あまりにも「機械的」だからです。

これは、従来のロボットが水車や内燃機関と同じ「硬いパーツ」の設計思想に基づいていることに起因しています。一方で、私たち生物の動きを司るのは、骨という硬い組織を動かす「筋肉」や「靭帯」といった、柔らかく弾力のある組織です。

こうした生物学的アプローチをロボットに取り入れようとするのが「ソフトロボティクス」。金属の代わりにゴムやソフトプラスチックを用い、ギアやヒンジに頼らない柔軟な駆動を目指しています。

そして鍵となるのが「人工筋肉」の存在なんです。

ハーバード大学が開発した「一発成形」の新技術

人工筋肉の多くは、内部に空気を通すための細い管を備えています。この管を膨張・収縮させることで動きを作り出しているのですが、その製造プロセスには大きな壁がありました。

これまでだと、複雑な管を内部に組み込むために、パーツごとに金型を作って成形し、それらを後から手作業で接着する必要がありました。しかし、ハーバード大学の研究チームが最近発表した論文では、製造方法を3Dプリントへと置き換えたことで、人工筋肉の全構造を一度の工程で作り上げられるようになったんです。「回転式マルチマテリアル3Dプリンティング」というなんともキャッチーな名前のこの技術は、大きく分けて3段階の工程を踏みます。

まず内部のチャネル(管)となる部分に特殊なソフトジェルを配置するようにプリントし、その上から「組織」となる素材を層状に重ねていきます。そして構造全体が完成したあとに、内部のジェルだけを排出することで、空っぽになった管の中にいつでも空気を送り込める状態にする、というわけ。

これにより、型を作るコストも、複数のパーツをつなぎ合わせる手間も不要になりました。

実用化へ向かう「器用なロボット」たち

この技術の意義は、単なる効率化に留まりません。製造コストが劇的に下がり、複雑な構造が自由に設計できるようになったことで、人工筋肉の商業的な実用化が一気に現実味を帯びてきました。

その先にあるのは、より俊敏で生物に近くなった器用なロボットたちの姿です。もしかすると、人間の代わりに家事を担ってくれたり、介護の肉体労働負担を軽減してくれたりといった、ロボットとの理想的な共生が現実なものになるかもしれませんね(『ターミネーター』や『アイ,ロボット』みたいなパターンも考えられますけど)。

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