住宅の高騰が止まらない昨今。住宅ローンの組み方について頭を悩ませる人も少なくないのではないでしょうか? 3年前に家を建てた、元銀行員でFP2級の資格をもつESSEonlineライター・谷ノ内真帆子さんもそのひとり。住宅購入時、「ペアローン」を検討したものの、最終的に選択しなかった谷ノ内さんが、3年たった今の所感について語ります。

わが家が「ペアローン」にしなかった理由

マイホームを検討する際、不動産会社や銀行から言われるのが「共働きならペアローンにした方が控除も2人分でおトク」という提案。

たしかに、借入限度額を増やせたり、税制面での恩恵を最大限に受けられたりするのは、共働き世帯にとって非常に大きな魅力です。しかし、わが家はあえて借入額を抑え、夫の名義のみでローンを組むという選択をしました。

ペアローンを組めば、理想の条件に近い物件を視野に入れやすくなるというメリットは大きいものでしたが、物件の金額を上げるということは「夫婦双方が現在の収入を維持し続けること」を前提とした長期計画が必要に。

筆者がなにより懸念したのは、これからの人生で起こる可能性のある「一時的な収入減」のリスクでした。

●リスク1:長期の育休取得

育児休業給付金はあるものの、通常の給与よりは減少してしまいます。

●リスク2:働き方の調整

子育てや介護のために、時短勤務にきり替える可能性があります。

●リスク3:予測不能な事態

自分や家族の体調不良や、社会情勢によるボーナスカットなどもあるかもしれません。

そういったリスクをふまえて、「今の最大値で払える」金額ではなく、「なにがあっても無理なく払い続けられる」金額を基準にシミュレーションしたとき、わが家にとっては、単独名義で余裕をもたせた返済計画の方が、安心感を得られると感じたのでした。

「夫婦で育休1年半」を実現するために実践したこと

そこで、筆者の家では、夫のみの収入でも「最低限の生活」がまわるような返済プランをたてることに。この戦略が、最大の効果を発揮したのは育休期間でした。

わが家は、夫婦で1年半の育休を取得。当然、世帯収入は一時的に下がったものの、ローンの支払いに追われて困ることは、幸いありませんでした。

お金の不安なく育休を取るために、わが家がやったことは次の3つです。

●1:「片方の収入」は貯蓄にまわす

妻である筆者の収入は、普段から予備費や教育費に充てるサイクルに。これにより、急な出費にも動じない家計になりました。

●2:固定費の重圧を軽くする

住居費という最大の固定費にかかる金額をあらかじめ抑えておくことで、収入減の期間も家計の赤字を回避。

●3:“精神的なゆとり”を最優先に考えた

「お金のために早く復職しなきゃ」ではなく、「今は育児に専念しよう」と、夫婦ともに考えをきり替えることで、家族にとってかけがえのない時間を選択できたと思います。

最初から物件のランクを上げすぎず、自分たちが「安心して支払えるライン」に抑えられたことで、家族のピンチや変化にも対応できたのだと感じています。

「家計の考え方」を夫婦で共有できたことがよかった

住宅の高騰が止まらない今現在、理想の住環境や利便性を手に入れるために、ペアローンの活用が避けられないケースも多々あると思います。そもそも、住宅ローンについての考え方の正解も、家庭の数だけあると考えています。

筆者の場合は、広いリビングや最新の設備にも当然惹かれましたが、10年後、20年後に家族の形や働き方が変わっても、「家族が心おだやかに暮らせる家計状態」を維持することを最優先に決めました。

自分たちのライフスタイルに合った「家計の考え方」を夫婦で共有できたことが、後悔しない家づくりの第一歩だったと感じています。