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“沈黙の臓器”とも呼ばれる肝臓の病気である B型肝炎。日本国内では、持続感染者が100万人を超えるとも推計されており、一定の条件を満たすことで、国から給付金が支払われる制度があります。実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」へ寄せられた相談をもとに、B型肝炎の給付金について、横山令一弁護士が詳しく解説します。

CMで流れる「B型肝炎給付金」もしかして私も対象?

相談者は現在、肝炎で治療を受けています。相談者の母はかつて、集団接種を受けており、出産時に母子感染したようです。

テレビCMなどで「B型肝炎の給付金を最大3,600万円受け取れる」などと目にしたことがあり、自分は対象になるのか気になっています。そこでAさんは、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。

(1)B型肝炎の給付金を受け取れる条件や給付金額、請求期限などはなにか。

(2)B型肝炎の給付金を受け取る手続を自分で行うことは可能か。弁護士に依頼するメリットはなにか。

母子感染で「B型肝炎給付金」を請求する条件

B型肝炎給付金とは、集団予防接種に対する国の監督不行き届きで注射器が使い回されたことに由来して、B型肝炎ウイルスに感染し健康被害を被った方に支給される、一種の補償金です。

母子感染が原因でB型肝炎に感染した人でも、その母親が集団予防接種でB型肝炎に感染したと認められるなら、B型肝炎給付金の対象者になりえます。もとをたどれば集団予防接種に由来するといえるためです。

条件を整理すると、下記のとおりです。

1.母親がB型肝炎ウイルスに持続感染していること

2.母親が満7歳の誕生日の前日までに集団予防接種を受けていること

3.母親が受けた集団予防接種で注射器が連続使用されたこと

4.母親の感染の原因が母子感染ではないこと

5.母親にその他の集団予防接種以外の持続感染の原因が見当たらないこと

6.自身がB型肝炎ウイルスに持続感染していること

7.自身が母子感染したと認められること

このうち、1から5の条件は、母親がB型肝炎給付金の請求をするための条件と重なります。そのため、母親がまだB型肝炎給付金を受け取っていないなら、自身と一緒にB型肝炎給付金の請求手続をすることが推奨されます。

請求できる金額は、病態に応じて、以下のように決まっています。

死亡・肝がん・肝硬変(重度):3,600万円

※発症時または死亡時から20年経過した場合は900万円

肝硬変(軽度):2,500万円

※発症時から20年経過した場合は治療歴などに応じて300万円または600万円

慢性肝炎:1,250万円

※発症時から20年経過した場合は治療歴などに応じて150万円または300万円

無症候性キャリア:50万円+定期検査等

※感染してから20年経過していない場合は600万円

また、一旦給付金を受け取ったあとに病態がより重くなった場合は、差額を追加給付金として受け取れます。

「B型肝炎給付金」の請求方法と注意事項

まず、B型肝炎給付金の請求に際しての注意事項を説明します。

一.病態を正しく主張する

給付金の金額は、過去にかかったことがある病態のなかで最も重いものによって決まります。手術などで治ったあとでも金額が下がることはありません。

一方、民事裁判で和解をすると、それ以前からあった事実に基づいてあとからその和解を覆すことができなくなります。そのため、たとえば現在は肝がんが治っているといって無症候性キャリアの50万円で和解してしまうと、あとから3,600万円請求できることに気付いても、改めて請求することができなくなってしまうのです。

二.提訴の期限を守る

B型肝炎給付金の請求のための提訴の期限は令和9年3月31日で、その日までに裁判所に訴状を提出する必要があります。

また、病態を発症した場合は、発症した日から20年以内に提訴しなければなりません。20年を経過してしまうと給付金の金額が大きく下がってしまいます。

給付金請求には「国相手の裁判」が必要

B型肝炎給付金の請求をするには、国を相手に裁判を起こしたうえで、自身が集団予防接種での注射器の使い回しに由来してB型肝炎ウイルスに持続感染したこと、および、その病態を確認する必要があります。実務上は、訴状を裁判所に提出したあと、法務局を介して国と資料のやりとりをして、最終的に裁判所の仲介のもとで和解をする方法が用いられます。

裁判は個人で起こすこともできますし、必要な資料も厚生労働省がインターネットで案内しています。もっとも、訴状になにを書けばよいのか、どのように資料を集めればよいのかなど、個人ではわかりづらいこともあるでしょう。そのため、弁護士に依頼することをお勧めします。

横山 令一

弁護士法人平松剛法律事務所福岡事務所

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