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世界最大のコーヒーチェーンである「スターバックスコーヒー」は、物価高や競争の激化が進むなかでも、限定フレーバーのヒットやデジタル戦略の強化によって世界中で圧倒的な支持を獲得し続けています。そのなかでも「ダークモカチップフラペチーノ」は、根強いファンが多いロングセラー商品。なぜこの一杯は多くの人を虜にし続けるのでしょうか。 東山広樹氏の著書『国民的チェーンめし研究 〇〇の△△はなぜうまいのか?』(カンゼン)より、その魅力を紐解きます。

スターバックスコーヒー』のトールサイズ・カスタムなし341kcal「ダークモカチップフラペチーノ」

[画像1]『スターバックスコーヒー』の「ダークモカチップフラペチーノ」 出所:『国民的チェーンめし研究 〇〇の△△はなぜうまいのか?』(カンゼン)より引用イラスト:蒼井すばる

スターバックス』に『ラーメン二郎』を重ねるのは、世界を探しても著者くらいかもしれない。とてつもない甘さの「フラペチーノ」に、甘くない「ホイップクリーム」の組み合わせは、「ブタ」と「スープ」の構図に酷似?

スターバックスコーヒー』との出会いとは?

「フラペチーノ」は『スターバックスコーヒー』を象徴する代名詞のような看板商品だろう。「フラッペ」と「カプチーノ」を合わせた造語であり、『スターバックスコーヒー』が商標登録をしている商品名である。

[画像2]『スターバックスコーヒー』創業/1996年(国内、以下同)、1号店/銀座松屋通り(東京都中央区)、店舗数/約1940 出所:『国民的チェーンめし研究 〇〇の△△はなぜうまいのか?』(カンゼン)より引用イラスト:蒼井すばる

初めて「フラペチーノ」を食べたのは大学1年生の夏だった。初めて対面した瞬間、「こんなことしちゃっていいのかよ!?」という背徳感に襲われた。その背徳感と、とてつもない中毒性を伴った愉悦。「この感覚は知っているぞ……これはアレだ、アレに似ている……ラーメン二郎だ」。頭の中ではっきりと理解(ワカ)った。暴動が起きかねない暴論と思われるかもしれないが、科学的に分析してみて、あながち的外れではないことに気がついた。丁寧に説明するから、どうか怒らないでほしい。

抗えない「フラペチーノ」の美味しさ

そして「フラペチーノ」がさらにすごいのは、「食べ物であり飲み物である」という料理であることだ。

すごく甘くて、脂肪分も多いけれど、“飲む”という要素が強いため、舌の上の通過時間が短く、喉からダイレクトに流し込まれるアクションになる。そうなると何が起こるのか? 舌からのガード本能が働きづらくなるのだ。こうして身体は大量の甘いもの&脂肪を摂取できて大量の脳内麻薬が放出される。つまり本能的にうまくて抗えないのだ。この一連の流れは『ラーメン二郎』で感じる幸福感とまったくもって同じである。

ここまで、「フラペチーノ」と『ラーメン二郎』の類似性を説いてきたわけだが、一点まったく違う点がある。それは客層だ。『ラーメン二郎』は圧倒的に男性客が多いが、「フラペチーノ」を頼むのは圧倒的に女性客が多い。それは季節限定商品など、とにかく「フラペチーノ」の展開が華やかかつ数が多いことが一因であると思う。

夏はスイカ、秋は芋などさまざまな限定商品を出し続けていて、中には社会現象になるフレーバーも存在するほど。ちなみに、僕は圧倒的な「ダークモカチップフラペチーノ」推し。しかも、エクストラチップ&エクストラホイップ。なくなる心配がないくらいの大量のクリームを頬張りながら、ザクザクチップたっぷりでビターな「フラペチーノ」を飲み込むのがマジで幸せ……。

東山 広樹
株式会社マジでうまい
代表取締役

蒼井 すばる
イラストレーター