続々対峙の川崎Fキーマン封じに成功 初日本代表帰りの貫禄示した名古屋DF藤井陽也

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 長谷川健太監督体制2年目の名古屋グランパスが好調だ。

 就任1年目の昨季は8位と中位に甘んじ、今季も下馬評はそこまで高くなかったが、開幕2連勝スタートで波に乗った。その後、3月4日のサガン鳥栖戦は黒星を喫したものの、その後は無敗を継続。第7節終了時点で勝ち点14の2位につけていた。

 首位のヴィッセル神戸を追走するためにも、4月15日の川崎フロンターレ戦は是が非でも勝ちたい一戦。長谷川監督にしてみれば、等々力陸上競技場での川崎F戦というのは苦渋をなめ続けてきただけに、並々ならぬ闘争心があったはずだ。

「一つ大きな壁の存在と言うか、FC東京時代から“多摩川クラシコ”でも握られてボコボコにされた試合が多々あった。『川崎Fに勝つ術はないのか』と自分の中で探しながらここ数年、監督としてやってきた」と本人もしみじみ語っていたほどだ。

 指揮官の特別な感情を選手たちも共有していた。

「等々力でなかなか勝てないですし、上位争いをするためにも本当に一つも落とせない。ホームであろうとアウェーであろうと勝たなければいけない」と語気を強めたのは22歳のDF藤井陽也。3月の日本代表シリーズに追加招集された期待の星である。

 彼に託されたのは、まず川崎Fの右FWを確実に封じることだった。この日はU−20日本代表で売出中の永長鷹虎がスタートからこの位置に入り、得意のドリブル突破を試みてきた。藤井は同サイドにいる左WBの森下龍矢、ボランチの米本拓司と連携しながらドリブル突破をストップする。開始9分のキャスパー・ユンカーの先制点につながった米本のカットの場面では後ろに引いていたが、マークの受け渡しがしっかりとできていたのは事実だろう。

「(永長は)ドリブルに特長がある選手なので、うまく前を向かせない守備を心がけていましたし、チームとしても『前から行くぞ』という入りをしていたので。自分たちが遅れると一つひとつズレてしまうので、流れをしっかり作れたのはよかったと思います」と本人も自信をのぞかせた。

 川崎Fは30分過ぎから右に家長昭博を移動させてきた。36歳のエースの一挙手一投足には藤井も警戒心を募らせたに違いない。

「家長選手もパスもありますし、ドリブルもシュートもある選手なので、寄せの部分は強く意識していました。川崎Fはチームとしてパスがすごくうまいので、個人の対応だけではなく、チームとして守れればいいと考えていました」と背番号13は言う。

 だからこそ、56分の1失点は悔しかったはず。川崎Fの流動的な動きに彼自身は対応していたが、宮代大聖の一発を許した瞬間、両手を大きく広げ、悔しさを露にした。日頃、あまり感情を表に出さない男がこういったアクションを起こすのも「自分は零封することがタスク」という自負があるからだろう。

 この時点で2−1。マテウス・カストロが前半終了間際の芸術的FKで奪った虎の子の1点を守るべく、そこからの名古屋守備陣は跳ね返すことに集中した。

「『勝ち忍んできた』という表現になると思うけど、ちょっとマッシモ(・フィッカデンディ監督)の時を思い出しました」と中谷進之介も苦笑していたが、相手の猛攻を封じるべく守備陣は体を張り続けた。

 終盤、川崎Fが3バックにしてきたこともあり、藤井のサイドには老獪なポジショニングが売りの山根視来が高い位置を取ってきた。

「山根選手は本当にいろいろなところに入ってきていたので、それを捕まえるのか、ちょっとぼかすのかの判断をもっと声をかけながら見なければいけなかった」と藤井は言うが、仕事らしい仕事をさせないまま乗り切った。そしてついに待望の勝ち点3を手に入れた。中谷、藤井、野上結貴の3バックと永井、ユンカーら前線の推進力がうまく噛み合ったからこそ、等々力の因縁のジンクスに終止符を打つことができたのである。