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ポルシェのGTモデルに接近したホットハッチ

今から20年前、前輪駆動のフォード・フォーカス RSは、215psの最高出力で英国のワインディングを暴れまわっていた。トルクステアを隠すことなく、これ以上の馬力は必要ないと思わせた。

【画像】技術の粋が集結 シビック・タイプR FK8とFK2 最新版FL5 競合のメガーヌR.S.も 全134枚

しかし、2017年に登場したFK8型ホンダ・シビック・タイプRでは、前輪駆動でありながら320psを使いこなせた。すべてのパワーを2本のフロントタイヤが受け止めたが、破綻をきたすことはなかった。


ホンダ・シビック・タイプR(FK8/2017〜2021年/英国仕様)

鋭く正確な操縦性を叶えつつ、落ち着いた乗り心地を両立。技術力に長けた、ホンダの魔法のような仕上がりだった。新境地といえる能力を、英国編集部は絶賛している。

今回取り上げる先代のシビック・タイプRは、高性能モデルに相応しいコーナリングを実現しながら、普段使いも問題なく受け入れてくれる。アダプティブダンパーが組まれ、コンフォート・モードからサーキット前提の+Rモードまで、振り幅は広い。

まさしく現代のドライバーズカー。近年発売されたモデルのなかでも、ベストの1台に加えられる。

ステアリングホイールの重み付けは理想的で、ダイレクトで、手のひらを通じてシャシーと豊かなコミュニケーションが取れる。6速MTのシフトストロークは短く、小気味良く求めるギアを選べる。

新車当時、FK8型シビック・タイプRへ試乗したAUTOCARは、ポルシェのGTモデルに最も接近したホットハッチだと評価した。ドライビング体験の素晴らしさを示す言葉だといえる。

逸品の2.0L 4気筒VTECターボエンジン

2.0L 4気筒ターボエンジンも逸品。ホンダの宝刀といえる可変バルブタイミング機構、VTECを搭載し、高出力を実現しながら、排気バルブのリフト量を制御することでターボラグを最小限に留めている。

アクセルレスポンスは鋭く、吸い込まれるように7200rpmまで吹け上がる。0-100km/h加速は5.7秒でこなす。


ホンダ・シビック・タイプR(FK8/2017〜2021年/英国仕様)

それでいて、お財布にも優しい。平均燃費は13.0km/Lがうたわれ、右足の動きに理性があれば14.0km/Lに届かせることも現実的。信頼性は高く、維持費も性能を考えれば少なくて済む。中古車なら、車両価格もわれわれの味方だ。

英国市場を調べてみると、初期の2017年式から2018年式で、2万5000ポンド(約402万円)というのが相場。走行距離は7万km前後が中心となる。3万ポンド(約483万円)まで奮発すれば、マイナーチェンジ後の2020年式を狙えるようになる。

スタイリングがリフレッシュされただけでなく、サスペンションやブレーキへ手が加えられ、新しいシフトノブが与えられている。改善の幅は小さいものの、確実に良くはなっているから、価格が増すだけの訴求力はある。

2021年式になると3万5000ポンド(約563万円)程は必要。英国の場合、ここには特別仕様のシビック・タイプR スポーツラインが含まれる。大きなリアウイングが省かれ、僅かにソフトな乗り心地のサスペンションが組まれた、大人な「R」だ。

技術の粋が集結した最高のドライバーズカー

FK8型のシビック・タイプRには、最終仕様としてリミテッドエディションが導入された。フロントバンパーの形状などが改められ、BBS社製鍛造ホイールの獲得やインフォテインメント・システムの省略などで、47kgの軽量化が果たされていた。

こちらは、英国では僅か20台の限定。現在の取引価格は、5万ポンド(約805万円)を軽く超える。中古車でも。


ホンダ・シビック・タイプR(FK8/2017〜2021年/英国仕様)

内容によって価格差は大きいものの、どのFK8型シビック・タイプRを選んでも、バランスに優れた最高のホットハッチであることは間違いない。ホンダの技術の粋が集結した、クラス最高のドライバーズカーだといっていい。

知っておくべきこと

定員が4名になることを除いて、シビック・タイプRは実用性も犠牲にしていない。車内空間はこのクラス最大の広さを実現しており、大人4名が長時間乗っていられる。荷室も大きい。

標準装備には、20インチのアルミホイールにアダプティブダンパー、LEDヘッドライト、リアカメラなどが含まれる。AUTOCARの姉妹メディアの調査では、ホンダの信頼性は32社中12位にランクインしている。


ホンダ・シビック・タイプR(FK8/2017〜2021年/英国仕様)

トリムグレードとスペック

タイプR GT:英国ではリミテッドエディションの半額程度で購入できる、穏やかな容姿で狙い目のFK8型。同様にスポーツラインも好ましい。落ち着いたシビック・タイプRという、通好みなチョイスだと思う。


ホンダ・シビック・タイプR(FK8/2017〜2021年/英国仕様)

購入時に気をつけたいポイント

過去の乗られ方

熱いホットハッチが故に、前オーナーが激しく運転していても不思議ではない。ただし、走り込まれた例でも諦める必要はない。充分にクルマが温まってからフルスロットルを与えるなど、丁寧な乗り方をされてきた可能性はある。

点検整備

英国ホンダの場合、定額制のメンテナンス・サービスを提供している。その履歴確認は忘れずに。タイプRの場合は、1回の基本料金が350ポンド(約5万6000円)前後に設定されている。


ホンダ・シビック・タイプR(FK8/2017〜2021年/英国仕様)

英国編集部の推しチョイス

ベスト:リミテッドエディション

充分な予算を用意できるなら、最終仕様のリミテッドエディションを探したい。性能がアップデートされているだけでなく、希少性の高さから今後の価値も期待できる。もっとも、これに限らずタイプRは共通して悪くないが。

ワイルドカード:ルノー・メガーヌ R.S.

前輪駆動ホットハッチの、西の雄。四輪操舵システムを備え、極めて機敏な回頭性を実現している。タイプRほどのパワフルさはなく、インテリアの質感も高いとはいえないが、同等に速く普段使いできる。


ホンダ・シビック・タイプR(FK8/2017〜2021年/英国仕様)