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ベクター4シーズンズに新製品

執筆:Masamichi Ishii(石井昌道)

日本でも着実に需要が増えてきているオールシーズンタイヤだが、その牽引役となったのはグッドイヤーだろう。

【画像】アウディA4、ベルランゴ、CX-5、ゴルフで検証【Vector 4Seasonsの新・旧比較】 全61枚

2016年に発売したベクター4シーズンズ・ハイブリッドがスマッシュヒットしたことが近年のブームに火を付けたのだ。


グッドイヤーのベクター4シーズンズに新製品「GEN-3」「GEN-3 SUV」が登場。高インチ・サイズを揃えるので輸入車ユーザーも選びやすい。    宮澤佳久

今年登場した新製品の“ベクター4シーズンズGEN-3”および“ベクター4シーズンズGEN-3 SUV”はプレミアムオールシーズンタイヤと銘打たれており、従来よりも冬性能や夏性能を向上させるとともに、静粛性とライフ性能を大幅に向上させているという。

ちなみに従来品の“ベクター4シーズンズ・ハイブリッド”はスタンダードオールシーズンタイヤとして併売され、SUV用の“アシュアランス・ウェザーレディ”はベクター4シーズンズGEN-3 SUVと入れ替わることになった。

従来品のベクター4シーズンズ・ハイブリッドと見比べるとトレッドパターンに変化が見られる。

トピックは、支え合う構造と浅溝

従来はセンターリブに向かって左右から直線的な溝が斜めに入れられたV字だったが、“ベクター4シーズンズGEN-3”および“ベクター4シーズンズGEN-3 SUV”はセンターリブが排され、V字は曲線的になってなおかつセンターにいくほど細くなっている。

新V字シェイプトレッドと呼ばれ、雪上でのグリップ、排水性能、静粛性などの向上を実現。トレッド中央には大型のサイプが配置されているが、これはサイプの開口が大きくなって排雪性が向上し、雪道でのグリップを高めるものだ。


GEN-3の新V字シェイプトレッドの拡大写真。曲線的なV字が特徴だ。チルダ(〜)のように見えるのは、ブロックを支え合い、倒れ込みを抑制する構造。    宮澤佳久

そう聞くとドライ路面での安定性や耐摩耗性能が心配になるところだが、微細グルーブのブレードがブロック間をお互いに支え合う構造になっていて、無駄な動きを抑制するので問題ないそうだ。

また、センターリブがあったほうが直進性は良いと思われるが、新V字シェイプトレッドではセンター部を「浅溝化」してリブと同様の効果を持たせて直進性を向上しているという。

オールシーズンはうるさい?

パターンの配列を細分化して「路面からの叩き音」を分散させているが、それでもV字が曲線的に弧を描いていることで剛性を確保。

静粛性・ドライ性能の両立を実現している。また曲線的なほうが気柱共鳴音が抑制され、これも静粛性向上に貢献する。


GEN-3と従来品を履くフォルクスワーゲン・ゴルフ2台で、同じコースを周回。新V字シェイプトレッドの効果を探る。    宮澤佳久

横溝は奥にいくほど幅が広くなっていく構造となっており、摩耗が進んでも排水性能が確保されウェット性能が持続する。

外側のブロックやアンダートレッドは強固にして負荷がかかっても変形しにくくなり、ドライ性能を向上。また、新オールウェザーシリカコンパウンドの採用で耐摩耗性を従来比で約30%向上したという。

今回は一般道や高速道路、ワインディングロード、クローズドコースなどでのドライ性能、水を撒いてクローズドコースでウェットのブレーキ性能を確認。従来品との比較も行った。

ゴルフ8で“ベクター4シーズンズGEN-3”と従来品を、CX-5で“ベクター4シーズンズGEN-3 SUV”とアシュアランス・ウェザーレディ(SUV用従来品)の一般道での比較試乗を行ったが、さすがに新製品は静粛性が高い。

ザラザラとした路面ではパターンノイズが大きくなっていくが、従来品は少し周波数が高い音が耳障りなのに対して、新製品は抑えられていて、ゴーっという音はあるものの不快感がない。一般的なサマータイヤ並の静粛性だと言っていいだろう。

コーナリング性能について

また、コーナーではステアリング操作に対する反応が、新製品のほうが頼もしく感じた。

それはクローズドコースでのパイロンスラロームでより顕著に感じられた(リーフで比較試乗)。


コーナリング性能も新・旧を比較。その差は、「パイロンスラロームで顕著に感じられた」と筆者。    宮澤佳久

従来品は反応が少し鈍く、追い込んでいくとタイヤが負けてしまう感じだったが、新製品はステアリングの切り始めからしっかり感があり、切り増していったときのビルドアップも確か。

「舵の効き」が確実に上がっていてスポーティな走りにも対応していた。

いかにも外側のブロックが強固だという感覚だ。オールシーズンタイヤゆえの物足りなさが払拭されている。

雨天 カムリ/ハリアーで比較

ウェットのブレーキテストではカムリで“ベクター4シーズンズGEN-3”と従来品、ハリアーでベクター4シーズンズGEN-3 SUVとSUV用従来品をそれぞれ比較。

60km/hで進入してフルブレーキで停止するまでの距離をGPSの計測器で3回づつ測ったところ、カムリは従来品が19.8m、19.7m、20.1m、新製品が18.2m、17.7m、17.9m、ハリアーは従来品が18.68m、18.62m、18.79m、新製品が16.42m、16.73m、16.81mという結果だった。


グッドイヤーのSUV用オールシーズン銘柄「アシュアランス・ウェザーレディ」も、このタイミングで代替え。プレミアムオールシーズンタイヤの「ベクター4シーズンズGEN-3 SUV」がその役割を継ぐ。    宮澤佳久

どちらも順当に新製品の進化が感じられ、グリップ感も高まっていた。

興味深いのはハリアーのほうが進化の幅が大きく、またカムリに比べてもブレーキの初期からグッと減速してくれる頼もしさがあったことだ。

進化幅は、従来品の世代の違いによってSUVのほうが大きいのだろう。

また、ベクター4シーズンズGEN-3 SUVは、車両重量や重心の高さを考慮してトレッドゴムの下にあるオーバーレイヤーを多層化していることで剛性感が高まっているようだ。

サマータイヤ性能に「楽しさ」も

Polymadeと呼ばれる層をパッセンジャーカー用は1枚のところSUV用は2枚。

この素材は、強固だけれどしなやかさも併せ持つもので、タイヤに限らず様々な製品に使われている。


各社がラインナップを揃え始めたオールシーズンタイヤ。市場を開拓してきたベクター4シーズンズはGEN-3になった。とりわけ、ハンドリングと静粛性能のアップデートは見所と覚えておこう。    宮澤佳久

シトロエン・ベルランゴやアウディA4では高速道路を走行したが、直進安定性は平均的なサマータイヤとかわらず、オールシーズンタイヤゆえの頼りなさはなかった。

ベクター4シーズンズGEN-3とベクター4シーズンズGEN-3 SUVのサマータイヤ性能が向上しているのはたしかだ。とくに、ドライのハンドリングや静粛性の高さは見事で、走る楽しさ・快適性が加わったことが大きい。

従来品のベクター4シーズンズ・ハイブリッドでも機能的には十分だが、+αの価値が得られるのがプレミアムオールシーズンタイヤたる所以なのだ。