「いらすとや」は最高の素材サイトだが…ビジネス資料づくりで重宝する"無料素材サイト"
■ケース1:文字が「黒いかたまり」に見える

3つのポイントに整理されていることは文字を読めばわかりますが、ぼーっと眺めると「黒いかたまり」に見えてしまってイマイチ内容が入ってきません。スライドの中に、ぱっと見でわかる「構造」を作りたいところです。
問題1:構造がない
このスライドは「問題と前提を踏まえて対応方針を考える」という構造ですが、ベタッと文章で表現されているため、内容をきちんと読まないとその構造がわかりません。
問題2:マーカーを使っている
文字の一部を強調するためにマーカーを使っていますが、これはNGです。文字の強調は「太字以外いらん」です。
問題3:「視認」という言葉がややこしい
「視認」という熟語を何度も使っていますが、要は「見える」ということ。漢字が連続する熟語は堅苦しくイメージがしづらいので、簡単な表現にしても意味が通るならなるべくそちらを使いましょう。
■改善法:強調したい部分だけを太字にする

対策1:四角に入れて並べる
3つの要素があることを、四角形に入れて表現しています。タイトルを抜き出したことで、「問題・前提・対応案の3つで整理しているんだな」ということが一目でわかるようになりました。
対策2:太字で強調する
強調しなくていい文字を細字にして、強調したい部分だけを太字にすることで、相対的に目立たせています。
対策3:やさしい表現にする
シンプルに「見える」という表現に変更しました。また、冗長な表現を見直して各項目が一行に収まるように文字数を調整しています。
■ケース2:メリハリがなく頭に残らない表

2×2のマトリクスで整理されており構造は非常にわかりやすいですが、なんとなくのっぺりとしていて頭に残らず、通り過ぎてしまうような印象です。全体的にメリハリがなく、ポイントがわかりづらいのが最も大きな問題です。
問題1:文字にメリハリがない
表の中に書いてある文字が全部同じ大きさ・太さなので、どこに着目するべきなのかがわからず、頭の中を通り過ぎてしまいます。
問題2:色にメリハリがない
表のタイトルの塗りつぶしはすべて薄い水色で、メリハリがありません。これも、内容が頭に入ってこない理由の一つです。
問題3:結局何が言いたいのかわかりにくい
表がすべて文字情報で示されているので、読み取るべきメッセージがぼんやりしています。
■改善法:見せたい要素は色付け、他の要素はグレーに

対策1:エッセンスを抽出して見出しをつける
それぞれのセルで認識してもらうべき情報を一言で抽出した「見出し」を、大きく太く書きました。こうすることで、キーになる情報が「脳に引っかかる」スライドになります。
対策2:アリだけ色を付ける
このスライドのキーメッセージは「アリのように過ごすべきだ」であると仮定して、アリだけに色を付けました。逆にキリギリスはグレーにしたので、自然とアリに目がいきます。
対策3:○×のビジュアルを添える
伝えたいのは要するに「アリの冬は良い、キリギリスの冬はダメ」ということなので、「良い」「ダメ」のイメージを○と×で表しました。
■ケース3:余白が少なく、どこか垢ぬけない

文字が大きくて余白が少なく、ギュウギュウ詰めでやかましい印象です。せっかく先進的なサービスのようなのに、提案資料がこれでは取れる受注も取りづらくなってしまうことでしょう。イラスト素材もチープさに拍車をかけています。
問題1:余白が少ない
とにかくすべての要素をなるべく大きくして、余白をなるべく作らないようスライドを隅から隅まで使っているような印象です。ごちゃごちゃした印象で、なんだか疲れてしまいます。
問題2:イラストのTPO
スライドにイラスト素材を使うのは、実は結構上級テクニックです。というのも、イラスト素材は良くも悪くもスライドの印象を大きく左右するから。いらすとやは最高の素材サイトですが、ビジネスシーンで使うスライドにはあまりおすすめしません。
問題3:なんだかおもしろみがない
せっかく新しい画期的なサービスの紹介資料なのに、なんとなく「普通すぎる」ような印象です。マストではないですが、もう少し変わった工夫はできないでしょうか……?
■改善法:質の高い写真素材はAdobe Stockで

対策1:余白をたっぷりとる
余白をたっぷりとって、文字を左揃えで整理しました。一気に雰囲気が変わり、高級感のある印象になりました。
対策2:上質な写真を使う
Adobe Stockの無料素材の中から選んだ、ランプの写真を大胆に配置してみました。質の高い写真素材は、スライドの世界観を作ってくれます。
今回はAdobe Stockの写真を使っていますが、他にもUnsplashなどの素材サイトにはビジネス資料にも使える雰囲気のある写真が多いので探してみてください。
対策3:背景を暗くしてシックに
背景を思い切って紺色にして、ガラッと雰囲気を変えてみました。白以外の背景色はやや使いづらいので普段使いはおすすめしませんが、印象的な表現をしたい時には重宝します。
■ケース4:要素がガチャガチャしたスケジュール

「月」が書いてあるのでスケジュールを表していることは辛うじてわかりますが、それぞれの要素がガチャガチャ主張しすぎていてちっとも頭に入ってきません。また、同じことが繰り返し書いてあることもわかりづらさの原因になっています。
問題1:同じ要素を何度も書いている
トレーニングが2種類あるからと「フィジカル」を2回書いたり、それぞれのトレーニングを実戦に応用するからと「実戦練習」を計8回も書いたりと、とにかく重複が多くなっています。相手と「実戦練習」の位置が、おじいさんと子グマで違うのも気持ち悪いですね。
問題2:色が多い
明確な意図なしに適当に様々な色を使っているため、どこが重要なのかさっぱりわかりません。
問題3:タイトルがキーメッセージより大きい
タイトルである「トレーニングスケジュール(金太郎)」がキーメッセージより目に入りやすい図形で大きく書かれています。
■改善法:文字でいちいち書かずに構造で説明

対策1:要素をまとめて構造で表す
同じ内容はまとめて、対応する部分にかぶせる形で図形を伸ばして表現しました。このように、文字でいちいち書かずに構造で説明することで、スライドの上の要素を減らすことができます。
対策2:グレーベースで実戦だけ色
まず全体をグレーの濃淡で作ってから、重要部分と考えられる実戦練習だけに色を付けて示しました。
対策3:キーメッセージを強調する
スライドの大黒柱はキーメッセージです。タイトルはシンプルな表現に変更し、キーメッセージのフォントサイズを大きく(太く)しました。
■ケース5:グラフの数字の意味が読み取れない

キーメッセージが3行もあって内容が冗長で、イマイチ頭に入ってきません。また、積上棒グラフを使って数字を示してはいますが、イマイチどこに着目すればいいのかわかりづらいです。
問題1:縦棒グラフでグラフが小さい
横長のスペースに項目が2つだけの縦棒グラフを載せているので、棒の長さを活かしきれず窮屈な印象です。
問題2:キーメッセージが冗長
キーメッセージが4行もあって長く、中身が頭に入ってきません。また、赤で強調する部分が多すぎて強調の意味をなしていません。
問題3:「99.5時間」がわからない
キーメッセージに書いてある「217.1時間」「117.6時間」「99.5時間削減」などの数字が、どこの数字を指しているのかグラフから読み取ることができません。
■改善法:注目してほしい数字は大きく表示

対策1:横棒グラフでスペース活用

横棒グラフにすることで、スペースを有効活用して棒の長さの違いをわかりやすく示すことができました。
対策2:端的に一文で言い切る
一部の情報をグラフに回して、シンプルに一行で言い切りました。強調する部分も絞り、メッセージが一目で伝わるようにしています。
対策3:言いたいことはハッキリ書く
新たにテキストボックスを入れて、注目してほしい数字を明確に示しました。「数字は大きく」することでより目に入りやすくしています。
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豊間根 青地(とよまね・せいち)
パワポ芸人
1994年東京都生まれ。東京大学工学部卒。サントリーで通販事業のCRM・広告などを担当する傍ら、趣味のPowerPointで作成したスライドがTwitterで反響を呼び、10万人以上のフォロワーを集める。2022年に独立し、「伝わる資料がサクッと作れる」を様々な形で実現するクリエイティブカンパニー「シリョサク株式会社」(※旧:株式会社Cataca)を創業。社内外で自身のノウハウを伝える活動に取り組んでおり、企業セミナー・講演会多数。著書に『秒で伝わるパワポ術』『秒で使えるパワポ術』(KADOKAWA)がある。
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(パワポ芸人 豊間根 青地)
