予選ラウンドでスコアを伸ばしまくった3人 左から河本力、比嘉一貴、稲森佑貴(撮影:鈴木祥)

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<マイナビABCチャンピオンシップ 3日目◇5日◇ABCゴルフ倶楽部(兵庫県)◇7217ヤード・パー72>
今大会の予選ラウンドでは、いずれも今季複数回勝利を挙げている河本力(りき)、稲森佑貴、比嘉一貴の3人が“同組”で見応えのあるプレーをみせた。一時はトータル8アンダーで3人がトップに並ぶ展開。結局、河本がトータル11アンダーで単独首位、稲森がトータル10アンダーで2位、比嘉一貴がトータル8アンダーの4位タイで決勝ラウンドに進んだ。
今季3勝を上げている比嘉は、ツアーでただひとり獲得賞金1億円を突破。2位に5000万円以上の差をつけて賞金ランキングトップを走る。賞金王を争う桂川有人、星野陸也らが今大会に出場していないため、このまま上位で終えれば、初めての賞金王獲得にかなり近づく。
そして、河本といえばドライビングディスタンス部門で、異次元の322.6ヤードをマークしてトップに立つ世界レベルの飛ばし屋。ルーキーながら今季すでに2勝を挙げて賞金ランキング9位につける。
それに対し稲森は、フェアウェイキープ率で6季連続1位を獲得中の“日本一曲がらない男”。今季も77.713%という驚異の数字をマークしてトップに立つ。ドライビングディスタンスは263.66ヤードで104位と距離は出ないが、正確なショットを武器に今季2勝を挙げて現在賞金ランキング7位。今季は、横田真一の83ホールを更新する85ホール連続ノーボギー記録も打ち立てている。
そんな、ツアー最強の飛ばし屋と日本一曲がらない男は、3日目も最終組で相まみえる。
河本は稲森のゴルフについてこう話している。「稲森さんはティショットでだいたいドライバーを持っていますけど、フェアウェイをほぼ外しません。セカンドショットではショートサイドに切ってあるピンが、下っているか受けているかで攻め方を変えてくるし、風やライも全部含めて計算しているんじゃないかなと僕は思っている。ここはセーフティにいくんじゃないかなと思ったらピンを攻めてきたり。すごく参考になるし、上手かったですね」と絶賛する。
一方の稲森は、河本の飛距離に舌を巻く。「彼はあまりドライバーを握ってないですよね。ほとんど2番アイアンでした。それでも僕のドライバーと一緒か、少しオーバードライブされる。すごいですよ。13番(パー4)では2番アイアンでヒールにミスヒットしながら、『ア゛ー、越えろ』って言ったら右のバンカーを余裕で越えていった(笑)。こっちは『でしょうね』みたいな。何もおかしいことはない(笑)」。ちなみに13番の右のバンカーを越えるにはキャリーで255ヤードが必要。河本は2番アイアンで270ヤードを飛ばしている。
ドライバーでは常に50ヤード以上の飛距離差がある稲森だが、「リキもすごく飛びますけど、一回デシャンボーを食らっているので、とっくの昔に慣れています」と惑わされることはない。稲森は昨年の「WGC-ワークデイ選手権」最終日に米国男子ツアーNo.1の飛ばし屋、ブライソン・デシャンボー(米国)と回っている。「最大で100ヤード置いていかれました」とパワーに圧倒され、完全にリズムを崩した稲森は「78」を叩いた。その経験が今回に生きている。
そんな両極端な二人だが、ドライバーでのティショットの狙い方も対照的で面白い。河本は「直径55ヤードの円」、稲森は「2ヤード幅の順目」をターゲットにしている。
「僕は直径55ヤードないとドライバーを打てない。7番ホール(パー4)とかもドライバーで届くんですけど、すごく絞られていて30ヤードしかないから打てないんです」と河本は話す。打ち下ろしの7番パー4は、グリーンのフロントエッジまでは320ヤードほど。右はすぐ8番のティイングエリアで、左は林となっているため、コースの幅が狭いのだ。「350ヤード飛ぶときもあれば、300ヤードしか飛ばないときもある」。河本にとって縦も横も直径55ヤードまでがミスの許容範囲内だが、それより狭いときはドライバーを持たないと決めている。「短いクラブになるほど、どんどん円は小さくなっていく」という。
次は日本一曲がらない男の究極の狙い方。『フェアウェイの半分くらいの幅を狙っているのか?』と聞くと、「順目を狙っています」と回答。芝を刈るときは、ティイングエリアからグリーン方向に刈れば順目、逆に刈っていくと逆目とシマシマ模様になる。その1本1本の幅は2ヤードほどで、稲森は「ランを稼ぐために」明るく見える順目の芝を狙っているというのだ。
「半分冗談ですよ」といいつつ、「でも狙い目の基準としてはそれも1つの方法です」と真顔でいう。「普通だったら(フェアウェイ)バンカーの右端とか左端とか、木とかがってなるんですけど、それがあいまいだったら、今週は縦シマのフェアウェイなので、右から何本目みたいな狙い方をします」。フェアウェイキープ率80%近い稲森だけに、やはり冗談には聞こえない。
予選ラウンド2日間で河本は15バーディ、稲森は13バーディを奪った。「イメージとしては残り2日間もそんな感じになりそう」と稲森は予測する。決勝ラウンドもツアー最強の飛ばし屋VS日本一曲がらない男の戦いから目が離せない(文・下村耕平)
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