駆動方式とは?FF・FR・MR・RR・4WD(AWD)の構造・駆動輪の違いとメリット・デメリット比較
駆動方式とは?意味、定義一覧
■駆動方式の意味、定義一覧表
駆動方式 エンジン 駆動輪 重量配分 FF フロント フロント 前輪が重い FR フロント リア 前輪が重い RR リア リア 後輪が重い MR(ミッドシップ) 前後の車軸の間 リア 前輪:後輪
50:50 4WD
(AWD) 不定 四輪 前輪が重い
(フロントエンジンの場合)
自動車の駆動方式は表に挙げられる5つに分類されます。
因みに、後ろにエンジンを置き前輪を駆動する方式は、メリットが何もないため量産車では一度も製造販売されたことがありません。
前輪と後輪の重量配分は、コーナリング時のハンドリング特性と加速特性に非常に大きな影響を与えます。
FF車の構造概念図と特徴
FFは現在の自動車の駆動方式の主流となっています。特にコンパクトカーでは、FF以外の駆動方式の方が珍しくなります。
FFはフロントが重たいため車を引っ張るような走行特性となり、直進安定性に優れ、室内空間も広く取れるメリットがありますが、スポーツ走行を目的とする場合にはデメリットが多くあり、スポーツカーは、FRかMRの(ミッドシップ)が多く採用されます。
FF車について、さらに詳しい解説は次のまとめ記事をご覧ください!
FR車の構造概念図と特徴
自動車文化の始まりのころからの定番の駆動方式です。現在では大型セダンやスポーツカーを中心に採用されています。
前輪は操舵、後輪は駆動と役割分担がされているため、ハンドリングは軽快で運転する楽しみがあることがメリットですが、トランスミッションやデフ、プロペラシャフトなどが室内空間を犠牲なることと、リア・サスペンションが複雑化することなどから小型車ではデメリットとなってしまいます。
FRのメリット・デメリットなどさらに詳しくは下記のまとめ記事をご覧ください!
RR車の構造概念図
1960~70年代の小型車ではRRが多く採用されていました。
FFでは操舵輪と駆動輪が同じ前輪になることからドライブシャフトのジョイントに工夫する必要があり、当時はその開発が難しくコスト高になったことと、パワーステアリングが普及する前であったことからハンドルが重たくなるなどデメリットが多く、RRが好まれる傾向がありました。
大型車でも一部採用されていましたが、RRのハンドリング特性上、スピンや横転しやすいデメリットがあり、FFの開発技術が進んだこともあり、今では珍しい駆動方式となってしまいました。
RR車の特徴、代表的な車など、さらに詳しくは次のまとめ記事をご覧ください!
MR車(ミッドシップ)の構造概念図
上の図は後輪側にエンジンが置かれていますが、前輪側に置かれる「フロントミッドシップ」という駆動方式もあります。
FRとよく似ていますが、フロントミッドシップは前輪車軸より後ろ側に位置するため、前輪と後輪の荷重配分は50:50に近くなります。
運動性能に優れるためスポーツカーで多く採用されています。
MR車(ミッドシップ)の構造や仕組みなど、さらに詳しくは次のまとめ記事をご覧ください!
4WD(AWD)の構造概念図
上の図ではセンターデフは車の中央部分に位置していますが、FFベースの4WD(AWD)車の場合は、センターデフが前になります。
悪路の走行性能の高さのメリットの他、高出力エンジンでは、4輪すべてにパワーを分配できるメリット(2輪ではタイヤが負荷に耐え切れない)があります。
4WDの構造や特徴、メリットなどさらに詳しくは次のまとめ記事をご覧ください!
【豆知識】駆動輪はどこ?従動輪との見分け方
ぱっと見で駆動方式を見分けることはほぼ不可能ですが、駆動輪と従動輪を見分ける方法として次のものがあります。
■主要諸元(Specifications)を確認する
主要諸元にある「駆動方式」を読み、どの駆動方式が採用されているのかを確かめます。4WDなら前後輪ともに駆動輪です。2WDの場合、前輪駆動車なら前輪が駆動輪で後輪が従動輪、そして後輪駆動車ならその逆となります。
■足回りを見て確認する
駆動輪を駆動させるために、エンジンで生み出された動力がそこへ伝える機構となっていて、それは従動輪と見比べればわかります。
例えば前輪駆動車の前輪は、ドライブシャフトがトランスミッションと左右それぞれのハブアッセンブリーを繋ぐように取り付けられていますが、リアサスペンションにはそのような構造になっていません。
FR車の場合、トランスミッションの回転軸が縦(車両進行方向と同じ)で、プロペラシャフトを経由してリアデファレンシャルへ駆動が伝わり、それがリアのドライブシャフトを回転させるので、これも見れば大体わかります。
4WD車は前後輪共に回転するので両方にドライブシャフトが装着されています。前輪駆動ベースの4WDと後輪駆動ベースのものがあり、どちらもトランスファーとドライブシャフトを利用して駆動させる点は同じです。
また、4WDではフロントのドライブシャフトが駆動しないよう加工してFR化させる改造もあります。
なお、MR車やRR車といった運転席よりも後ろにエンジンが搭載されている自動車は後輪駆動あるいは4WDで、前輪駆動ではありません。
駆動方式別の走行性能のメリット・デメリット比較
■ハンドリング特性
カーブを曲がるときの車の挙動は、次の表であげる3つの特性があります。
このハンドリング特性は、コーナリング時にハンドルは一定(前輪の舵角は一定)の状態で速度を上げていったとき、車の挙動、走行ラインはどうなるか、といったものです。
■駆動方式別のステアリング特性の比較
駆動方式 コーナリング特性 FF アンダーステア FR オーバーステア RR オーバーステア MR ニュートラルステア 4WD(AWD) アンダーステア
加速性能と特徴を比較
加速性能が良い順番にすると、
RR>4WD(AWD)>MR>FR>FF
となります。
ただ、これは前提としてエンジンの最高出力、ボディ形状は同じとした場合です。
車は加速するとき後ろ向きに荷重がかかります。
“加速G”と呼ばれるものです。
このため、後ろに重たいエンジンがあり停止状態でも後輪に荷重かかっているRRは最も有利です。
逆にFFは前輪に荷重がかかっているため、急加速すると一旦前輪が浮くような格好になり失速状態になり、ごく一時的に減速します。
車は減速時は前向きに荷重が移動しますので、このときに駆動力が伝わるのですが、また加速Gによって後輪側に荷重がかかります。
FFは、加速→減速→加速→減速と細かく繰り返しながら加速するため、スタートダッシュは他の駆動方式に比べて劣ってしまいます。
4WD(AWD)は四輪すべてにエンジンの力を効率よくタイヤに伝えることができますが、エンジンが前にあるためスタートダッシュにおいてはRRには及びません。
■駆動方式別の加速時の特徴一覧表
駆動方式 加速時の特徴 FF 停止状態からのスピードが乗るまでの加速は他の駆動方式に劣る。 FR ホイールスピンしやすい。 RR スタートダッシュは最も優れる。 MR FRより良い。 4WD(AWD) FR・MRより優れる。
室内空間の比較
駆動方式は室内空間の設計に大きな影響を与えます。FFとRRはエンジンやトランスミッションなどの主要構造物がフロントないしはリアに集まっているため室内空間は広く取りやすくなります。
最も室内空間の設計上、不利となるはMRです。エンジンが前輪と後輪の間に位置するため、室内空間は犠牲にならざるを得ません。
■駆動方式別の室内空間の比較一覧表
駆動方式 室内空間の特徴 FF エンジン・トランスミッションなど主要構造物が車の前部に集められるため、室内空間は広く取れる。 FR セダンではプロペラシャフトが室内を縦断するため狭くなる。 RR エンジン・トランスミッションなど主要構造物が車の後部に集められるため、室内空間は広く取れる。 MR エンジンが前輪と後輪の間に位置するため室内空間は犠牲となる。 4WD(AWD) セダンではプロペラシャフトが室内を縦断するため狭くなる。
