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「子ども×2=大人1」は誤り

道路運送車両法においては体格に関係なく12歳未満の乗員を「子ども」(条文上は「小児又は幼児」。以下、「子ども」)と定義している。

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そして、子どもの乗員は大人2名が子ども3名。つまり、大人1名=子ども1.5人に換算されるのだ。


法令上の「乗車定員」は「大人1人=子ども1.5人」    トヨタ

道路運送車両法の保安基準における定義は以下のとおり。

「(乗車定員及び最大積載量) 第53条:自動車の乗車定員又は最大積載量は、本章の規定に適合して安全な運行を確保し、及び公害を防止できるものとして、告示で定める基準に基づき算出される範囲内において乗車し又は積載することができる人員又は物品の積載量のうち最大のものとする。ただし、二輪の軽自動車(側車付二輪自動車を除く。)にあつては乗車定員2人以下、車両総重量2トン未満の被牽引自動車にあつては乗車定員なしとする」

「2 前項の乗車定員は、12歳以上の者の数をもつて表すものとする。この場合において、12歳以上の者1人は、12歳未満の小児又は幼児1.5人に相当するものとする」

「大人1人=子ども1.5人」と換算するのが正しいのだが、子ども1人=大人の0.5人……つまり子どもは大人の半分だから子ども2人で大人1人に相当するとの勘違いも少なくない。

乗車人数を数える際、子どもは大人の半分ではない。

ちなみに、キャンピングカーの就寝定員では、子ども用ベッドスペース(40×120cm)2人分で大人1人分の就寝スペースと換算できる。

子ども2名分=大人1名分と計算できるのはクルマ関係ではキャンピングカーの就寝定員くらいだろう。

12歳以上なら小学生でも「大人」

そもそも12歳以上を一律に大人として数えるのもどうかと思うがJRなど鉄道会社でも基本は12歳以上を大人としている。

JR各社では「おとな」とは12歳以上で、「こども/幼児/乳児」は12歳未満のことを指す。


人気のミニバン「日産セレナ」の車内    日産

ただし、JRでは12歳以上でも小学生であれば「こども」のままで、6歳でも小学校入学前であれば「幼児」とみなすとのこと。

クルマの場合はどうだろうか?

国土交通省に聞いてみたところ、道路運送車両法においてはあくまでも年齢で区切るとのことだった。

しかし、12歳でも身長130cm台もいれば160cmも存在する。クルマは鉄道とは異なり、身体のサイズとシートベルトの装着が命に関わることもある。

安全第一に考えるなら、12歳以上であってもシートベルトが安全に装着できる身長150cmまではジュニアシートを装着するよう親がしっかり教えるべきだと筆者は考える。

では乗車定員を実際のクルマに当てはめて計算してみよう。

3列シートの7〜8人乗りのミニバン

運転席と助手席に大人が乗った場合、2+3列目合計で大人5〜6名分の座席が残る。5×1.5=7.5、6×1.5=8となるので、12歳未満の子どもが2+3列目に座る場合7人乗りなら7名、8人乗りなら8名まで乗れることになる。

5人乗りのセダン

一般的なセダンやコンパクトカーはほとんどの場合5人が乗車定員となる。運転席と助手席に大人2人が乗った場合、後席は大人3座分となり3×1.5=4.5。子どもは4人乗れることになる。

4人乗り軽自動車

軽自動車は軽トラックや2座オープンカーなどを除いて、前2+後2の計4名が定員となる。前に大人2人が乗った場合、後席は2×1.5=3となり子どもは3名まで乗れる。

チャイルドシートはマスト?

ところで、子どもがクルマに乗る場合、考えなくてはいけないのがチャイルドシートの使用である。

6歳未満の子どもはチャイルドシートの使用が義務付けられているし、6歳以上であっても大人のシートベルトが安全に装着できる身長150cmまではジュニアシートが必要だ(日本も採択している最新の国連安全基準ECE R129においては身長150cmまで使えるジュニアシートであることが必須条件)。


人気のミニバン「トヨタ・アルファード」の3列目シート    トヨタ

チャイルドシートを使用する場合はまず、チャイルドシート本体をシートベルトまたはISO FIXで固定する必要がある。

となると、当然だが乗車定員分のシートにしか装着ができない(ISO FIXチャイルドシートの場合は、ISO FIXアンカーが装備された座席のみ)。

乗車定員をこえることはなくても、シートベルトは乗車定員分しかクルマに装備されていないため、後部座席に子どもが4人乗ったとして、少なくとも1人はベルトもチャイルドシートもない状態になる。

この状態は道交法的にはどうなるのだろうか?

実は道路交通法施行令 第26条の3の2第1項には、「座席ベルト及び幼児用補助装置に係る義務の免除」というとんでもなくおそろしい「免除」の規定がある。

以下がその内容だ。

「運転者席以外の座席の数以上の数の者を乗車させるため乗車させる幼児の数に等しい数の幼児用補助装置のすべてを固定して用いることができない場合において、当該固定して用いることができない幼児用補助装置の数の幼児を乗車させるとき(法第五十七条第一項本文の規定による乗車人員の制限を超えない場合に限る)」(幼児用補助装置=チャイルドシート)

意外と知られていない? 軽の定員

「座席ベルト及び幼児用補助装置に係る義務の免除」においては、シートベルトが足らなくてチャイルドシートが装着できなくても乗車定員内ならチャイシーもベルトの着用義務が子どもも大人も(運転者以外)免除される。

だからといってベルトのない席に子どもを座らせるリスクは非常に高い。


室内空間が広い軽自動車が増えてきたが、ホンダNボックスのようなタイプでも乗車定員は大人4人なのだ。    ホンダ

ベルトが足らなければ、レンタカーやカーシェアを借りるか、タクシーなどの公共交通機関を利用して移動するのが常識というものだろう。

また、子どもの乗員の数え方とともに、軽自動車の乗車定員が4名であることを知らない人も存在する。

普段は自家用車を持たず、カーシェアやレンタカーを年に数回利用するような層だ。

近年は値段が安い軽やコンパクトカーの中古車レンタカーを扱う店舗も増え人気を高めている。

そしてここでも問題になっているのが「乗車定員」だ。

軽自動車も普通車と同じ5人乗りだと思っている人は想像以上に多く存在する。

クルマを借りて後部座席に3人乗ろうとして初めて「ベルトが2本しかない」と気付くパターンだ。

最近の軽自動車は後部座席の幅にもゆとりがあり、また室内高もたっぷりとってあるため、スペース的には後席に大人2人+子ども1人程度であればゆったり座ることができる。

普段後席のベルトは付けないしチャイルドシートも使わないような家庭であれば、おそらく軽レンタカーを借りて返したあとでも「後席は定員2名」だと気づかないまま終わるケースもあるだろう。

軽自動車の定員は4名であり、後席には大人2名または、子どもだけなら3名までしか乗れない。

さらに後席に大人1名が乗ったら、残り1座席の定員は×1.5人となるため、子どもであっても大人と同じ1人しかのれないのだ。

定員オーバーで走行することは道路交通法第57条の「定員外乗車」違反にあたる。

違反の対象となるのはドライバーで、定員外となった乗員ではない。

点数と反則金は以下のとおり。

小型特殊車/原付:1点5000円
普通車/二輪車:1点6000円
大型車:1点7000円

違反点数は1点で反則金も高額ではないが、ベルト無しで衝撃の大きな事故に遭遇したときは悲惨な結末が待っている。

ほぼ確実に車外放出されて命を落としたり、身体そのものが凶器となって他の乗員を傷つけたりする危険性も出てくる。

急ブレーキ程度の衝撃でも座席から転がり落ちてけがをする可能性も大きい。

ドライバーにも重い責任が問われるので「たかが定員オーバー」と侮るなかれ。