この記事をまとめると

クルマに乗り続けていると、だんだん遅くなってくることがある

■やむを得ない部分もあるが、メンテナンスによって抑えることが可能

■ヘタりやすい場所について解説する

クルマはヘタって遅くなることがある

 クルマは進化しているので、基本的にはドンドンと速くなっているし、燃費もよくなっている。たとえばその昔はATよりもMTのほうが、シフトチェンジの手間などで速いとされていたし、燃費も同様。しかし今ではクルマに任せたほうがシフトチェンジは早いし、燃費も同じぐらいだったりする。ちなみに燃費はWLTCの高速道路モードだとATのほうがよかったりすることもある。となると、「ウチのクルマが遅いのも当然か」と思うかもしれないが、一概には言えない。ヘタって遅くなっている可能性が十分にあるのだ。

 では、具体的にどの部分がヘタるのかというと、まず思い浮かべるのはエンジンだろう。ただし、エンジンと言っても漠然としすぎているのも事実。さらに細かく見ていくと、なにはなくてもピストンとシリンダーの気密性だ。

 これは専用の測定機器を使って、圧縮圧力(圧縮比ではない)を測って、規定値と比べればすぐにわかる。圧縮圧力とはピストンが一番上に来たときにどれくらいの力で内部の空気を圧縮しているかというもの。摩耗して気密性が落ちれば隙間から抜けてしまうので、圧力も落ちてしまう。ヘタって摩耗して圧力が抜ける部分も、シリンダーとピストン(正確にはピストンリング)部分だけでなく、バルブの傘とリングの当たり部分の悪化も関係してくる。

メンテによって劣化をゆるやかにしていくのが大切

 圧縮圧力以外でバルブの開閉に関係してくるのが、カムシャフトの摩耗。減ればそれだけリフト量(バルブが開く量)も落ちるため、吸排気効率は落ちてしまう。そのほかクランクシャフトの摩耗などによるピストンの振れも正確な作動をさまたげられるなど、あちこちが関係してくる。また、オイル管理が悪ければ、各部にスラッジが溜まって、オイルの循環が悪くなって、潤滑性が落ちることもある。つまり滑らかな作動が難しくなってくるのだ。

 また、インジェクターの詰まりによる噴射量のダウンや各種センサーの劣化によって、正しい数値がコンピュータに送られなくなることもあるし、コンピュータ自体の内部部品が劣化することもありうる。駆動系ではミッション内部の摩耗やスラッジの堆積によって本来の作動が難しくなることもあるし、駆動系で言えばハブやデフなどに使われるベアリングの劣化による回転抵抗の増大もあるだろう。

 そのほか、ブレーキは定期的にメンテをしていてもどうしても作動に渋さが出てしまう。そうなると、ローターやドラムに対して引きずりが発生して、こちらも走りに影響を与えてしまう。

 走りに影響が出ると言ってもわずかで、問題のないレベルなのだが、これらが少しずつ積み重なっていくと、本来の性能が発揮できていないと感じることにつながるというわけだ。メンテをしていても避けられないだけに、メンテをしていないとなおさら劣化が激しくなるのは当然のこと。人間と同じで老化は避けられないが、その度合いをメンテによってゆるやかにしていくのが大切なのだ。