「117」と「177」ネットの普及でどれだけ利用回数が減ったのかNTTに聞いてみた - おおたけまさよし
※この記事は2017年03月07日にBLOGOSで公開されたものです
私達が、普段何気なく生活をしている中で、気付かずに通り過ぎているものの、よく考えたら不思議だなという素朴な疑問。
この連載では、そんな気づかずに通り過ぎている疑問をあえて捕まえて、徹底的に調べ上げるというお節介なことを不定期で更新していこうと思います。
117と177 誰が使ってるの?
記念すべき第1回目のテーマは「117と177。どんな人が利用しているの?」
NTT東日本・NTT西日本が提供しているサービス。117と177。117は、現在の時刻を教えてくれる時報サービス。177は、電話をかけている地域の天気予報を教えてくれるサービスです。
昭和生まれの人なら誰もが一度は利用したことがありますし、子供の頃、いたずら心で、ダイヤルを回してみた人もいるかもしれません。
もうちょっと世代が若くなると、ダイヤルを回すなんてことはなく、プッシュしていたになるので、回していた世代の方は昭和生まれ確定ですが、それは余計なお世話。
話を戻して、これだけインターネットが発達した時代。スマホを開けば、時間は分かるし、天気もちょっとググれば、すぐ出てきます。アプリを入れれば、天気すら、画面にパッと出てくる。
そんな時代に、わざわざ電話をかけて、天気とか、ましてや時間を調べようという人がどれだけいるのか。NTT東日本・NTT西日本からしてみれば、「ほっといてくれ」って話をあえて調べてみました。
ググるなカス
リサーチの基本は、電話。インターネットで、知っていそうなところを調べて、まずは電話。ネットに載っている情報を鵜呑みにして記事を書くなんてのは、プロの世界ではご法度とされています。
今回は、電話の3桁番号サービスを行っている、NTT東日本さんに直接電話をかけてみました。対応していただいたのは、NTT東日本の広報さん。
おおたけ(以下、お)「あの、LINEの会社で、LINEスタンプを作ってるとこなんですけど、そこにインターネットのBLOGOSというサイトがありまして…」
って、説明が超めんどくさい!LINEとBLOGOSが結びつかない。しかし、そんな謎な電話にも快く対応していただいたNTT東日本の広報さん。
今回は、117と177の年代別の利用者数の推移と、もし分かれば、どんな方が利用しているのかを伺いました。
NTT東日本広報(以下、広報)「かしこまりました。ちょっと調べるのにお時間がかかりますので、数日、お時間をください。」
優しい!マジ神。いきなり電話して、しかもこんな意味不明な問い合わせにもかかわらず、時間をかけてじっくりと調べてくれるだけでなく、それを後日、先方から電話で知らせてくれる。大企業の対応は違います。
NTT東日本さんからの連絡を待つこと数日、その間は、特にすることもないので、家で寝たり、ひたすら寝たり、外を眺めたり(他に仕事ないの?)と、悠々自適な日々を過ごしていました。
数日後、見知らぬ番号から着信あり!食い気味に電話に出ると、NTT東日本の広報さん。
広報「利用者の推移ですが、すべての年代のデータがないので、分かる範囲のものだけメールでお送りします。」
というわけで、重厚な資料を送っていただきましたので、ご紹介させていただきます。
かつては年間4億回以上使われていた「117」
まず、時刻を伝える117の時報サービス。
1955年のサービス開始時で約5.3万回/日
1984年頃で約120万回/日、1997年頃で約100万回/日
2017年現在については1日あたりの利用数データを取得していないため、年間の利用数のみになります。
2011年度 約1,600万回
2012年度 約1,300万回
2013年度 約1,100万回
2014年度 約900万回
2015年度 約800万回
※NTT東日本(神奈川、山梨、長野、新潟以東の17都道県)の
加入電話/INSネット、ひかり電話からのコール数です。
バブル景気が始まる1986年よりも前に、1日で約120万回も使われていたというから驚きです。2011年度からは年間の利用数のデータになりますが、1986年の年間利用回数を、1日120万回で計算してみましょう。
120万✕30(1ヶ月)✕12(1年)=4億3200万回。えっ?日本人が年間でそんなに時報を聞いてたの!?と耳を疑う数字です。
ちなみに、1984年の日本人の人口は、1億2003万5000人。(人口推計)(総務省統計局)(http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000000090004&cycode=0)(2017年2月12日に利用))
日本人が年間に3回以上、時報サービスを利用しないと4億3200万回にはなりません。当時は大変多くの方が利用していたことが、よくわかります。
15年で13分の1に減少した「177」
さて、続いては、177の天気予報。こちらのデータを見てみましょう。
1955年のサービス開始当時の記録は残っていなかったので、情報公開できる範囲のデータをいただきました。以下のとおりです。
2000年度 約9600万回 2001年度 約7400万回
2002年度 約6700万回 2003年度 約5300万回
2004年度 約5000万回 2005年度 約4100万回
2006年度 約3500万回 2007年度 約2800万回
2008年度 約2300万回 2009年度 約1900万回
2010年度 約1500万回 2011年度 約1200万回
2012年度 約1000万回 2013年度 約900万回
2014年度 約700万回 2015年度 約600万回
※NTT東日本発信のコール数で、他事業者及び携帯電話からの利用件数は含んでおりません。
2000年度~2015年度までの比較的新しいデータになりますが、分かりやすく右肩下がり。やはり、テレビやネットの発達が影響しているものと思われます。
「時報」と「天気予報」の利用数が重なっているのは、2011年度~2015年度になりますが、これをみると、常に、時報の方が多く利用されていることが分かります。
でも、これもちょっと意外ですよね。天気予報の方が利用しやすいような気もしますが、時報の方が利用されています。腕時計があるのにとも思いましたが、その時計の時刻を合わせるために利用していたのでしょうか。う~ん、謎です。
NTT東日本の広報さんによれば、「利用されているのは、視覚障害をお持ちの方、ご年配の方、多種多様な方が利用されていると思われます。」との回答でした。
確かに、視覚障害の方、特に全盲の方にとっては、時刻や天気を声で教えてくれるので、便利なサービスですよね。
開始当初は117が223だった
それにしても、どうしてNTT東日本・NTT西日本はこういうサービスを行っているのでしょうか。インターネットで検索すると、こんな記事が出てきました。(ググるんかい)
時報サービスは,当時の日本電信電話公社(電電公社)が正確な時間を確認できるサービスとして,1955年6月10日の「時の記念日」に東京で始めた。サービス開始当初の提供番号は「223」。利用時間は午前6時から午後10時までという条件付きだった。
ここで、驚くべき新情報です。なんと、最初は117ではなくて、東京では「223」だったそうです。117に変更したのは、東京で始めたサービスを、全国へ展開していく中で、地域ごとに時報サービスの電話番号が違ったと。そこで、1964年から現在の「117」に統一されたというわけ。
ではどうして、117という数字になったのか。何か意味があるに違いない。こういう時は、NTT東日本の広報さんに電話。もしもし~!
お「117って、どうして“117”の数字になったんですか?」
広報「時報サービスに、117の数字が選ばれたのは、“ピッ・ピッ・ト・ナル”の語呂合わせです。」
117が“ピッ・ピッ・ト・ナル”…。かなり無理矢理な気もしますが、語呂合わせだったんですね。
広報「ちなみに、時報サービスが117に統一される前に使われていた電話番号は、東京が「223」、名古屋が「511」、その他の地域は「1178」でした。」
東京と名古屋以外は、みんな同じ番号というのも意外。1178に統一でも良かったんじゃないかと思うぐらい、全国的には1178で浸透していたんですね。
ちなみに、今223に電話したらどうなるんだろうと思ったアナタ。私と同じ発想の持ち主です。もちろん、かけてみました。
電話「お客様のおかけになった電話番号は、現在使われておりません」
そりゃそうだ!223に電話したくなったアナタ。私が一足お先に小さな疑問を解消しておいたので、223へかける必要はありません。
さて、時報サービスの117については、さらにこんな豆知識もありました。
時報サービスの通話料は全国一律で,市内通話料金(3分8.5円 (税抜))が適用される。かけっ放しにしていても,6~12分で通話が切れるようになっている。
かけっ放しにしていても大丈夫なんですね。職場のイヤな上司のスマホをこっそり盗んで、117にかけて、「これで電話代、無尽蔵に取られろ!」という嫌がらせをしているアナタ!無意味だから、もっと別の嫌がらせにした方がいいですよ。(←そんな奴いない)
しかし、そうなってくると気になるのは、天気予報サービスの177。もしかして、こっちも、昔は違う番号だったんじゃないの?と思い、NTT東日本の広報さんに伺ってみました。
すると、こちらもサービスが始まった1955年の時は、東京・大阪が222、名古屋が501、名古屋以外の東海地域は99、北海道1117、九州1177などバラバラ。
統一する必要が出てきたため、177にしたわけですが、この番号もなんと語呂合わせ。「良い天気になれなれ」で、177だそうです。1=良い天気に、7=なれ、7=なれということなのでしょうか。
さらに、NTT東日本の広報さんによれば、天気予報サービスの177は、元々、早稲田大学の創設者で、元総理大臣の大隈重信さんの電話番号だったそうです。
電話のサービスが始まった明治時代、1890年頃、固定電話を利用するには、とてもお金がかかりました。そのため、加入者も少なく、電話番号の割り当ても申し込んだ順番だったそうです。
つまり、日本で電話が使われるようになって、177番目に登録を申請したのが、大隈重信さんだったというわけ。
117と177だけでも、こんなに深い話があるんですね。さらに、この3桁の電話番号サービス、実は時報と天気予報以外にも電話番号の3桁サービスがあるんですが、これも長い話になりそうなので、近々調べてお伝えしたいと思います。
