スマートフォンの災害対策、考えていますか? 情報途絶の恐怖から人々を救う災害対策
●今こそ見直したい通信の災害対策
みなさんは日頃、災害への備えをどの程度行っているでしょうか。
日本は地震や津波、台風や洪水といった巨大な災害に常に晒され続けている災害大国です。
1月には日向灘を震源とする最大震度5強の地震が発生し、さらにトンガで起きた海底火山の噴火によって発生した津波が日本列島全土を襲いました。
このような災害が発生したとき、非常に重要な役割を果たすのが通信と情報です。
正確な情報を素早く確保することは、的確な判断や冷静な行動につながります。
その情報を手に入れる手段として通信網の確保が求められるため、通信各社はインフラの維持や復旧に最大限の努力を行っています。
一方で、情報端末であるスマートフォンを利用する私たちもまた、災害発生時に備えて情報を確保する手段を普段から用意しておく必要があります。
大きな負担を強いることなく、私たちが平時から準備しておけるスマートフォン関連の災害対策とはどんなものがあるのでしょうか。
災害対策は通信会社だけが行えば良いというものではない
●スマートフォン関連だけでもできることは多い
もっとも実効性が高く安価に準備しておけるものは、モバイルバッテリーを携帯することです。
昨今ではスマートフォンの内蔵バッテリーの容量が非常に大きくなり、モバイルバッテリーを常時持ち歩く人も減ってきたように思われます。
しかしながら災害対策を兼ねた運用を考えた場合、スマートフォンを充電できるモバイルバッテリーを常時携帯しておくことは非常に有効です。
モバイルバッテリーには様々な大きさや用途があります。
・小型軽量でスマートフォンを1回程度充電できるタイプ
・大容量で複数台のスマートフォンを同時に充電できるタイプ
・ソーラー発電や手回し発電式でモバイルバッテリー自体の充電に電源が不要なタイプ
・自動車のジャンプスターターを兼ねた大電流タイプ
・ガソリンや家庭用コンロのガスを燃料とした大型の発電タイプ
どのようなモバイルバッテリーが適しているのかは、私たち個人の生活スタイルや家族構成、利用環境などによって大きく変わります。
例えば自動車での移動が多く、常に災害対策用具を自動車に積載しておける人であれば、ジャンプスターター兼用のモバイルバッテリーがオススメです。
もちろん用途に応じて複数のモバイルバッテリーを使い分けられれば、さらに安全性は高まります。
万が一の対策用品だからこそ、普段からメンテナンスを心がけたい
複数台のスマートフォンを用意しておくというのも1つの手段です。
例えばスマートフォンを買い替えた際、古いスマートフォンがまだ使えるのであれば、バッテリーを充電してそのまま活用すれば追加費用も掛からず合理的です。
ただし古いスマートフォンなどの場合、バッテリーの劣化を起因とする膨張や発火といった危険もあるため、使用状態や経年劣化に十分注意が必要です。
使っていないスマートフォンの1台や2台なら、まだ持っている人も多いだろう
災害発生による通信インフラの途絶や混雑の対策として、複数キャリア(通信会社)のSIMカードを契約しておくという方法もあります。
例えば、NTTドコモの回線は通信できないがソフトバンクの回線ならつながる、といったような状況は十分に考えられます。
昨今のスマートフォンは、2つの通信キャリアのSIMカードを常時利用可能な状態としておける「デュアルSIM」仕様となっているものが多数あります。
また、アップルのiPhone 13シリーズなどのように、物理的なSIMカードスロットと内蔵メモリーにSIM情報を書き込む「eSIM」の2つが搭載されているものもあります。
どちらの場合も複数の通信キャリアとの契約が可能で、通信インフラの途絶などに対して高い冗長性を持たせることができます。
当然、複数の通信キャリアとの契約をすれば月額料金がかさむことになりますが、
・月額料金が非常に安価な移動体通信事業者(MVNO)を利用する
・KDDIの「povo」や楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT VI」のように月額0円から契約できる料金プランを利用する
このような手段によって、普段の回線維持費用を大きく抑えることができます。
複数の通信経路を確保しておくことは非常に効果的だ
また、最近ではd払いやau Pay、Pay Payといった電子マネー決済の利用も増えていますが、災害発生時には通信インフラや電力の途絶・寸断が多く発生し、利用できなくなる可能性が高くなります。
そのため、電子マネー決済を過信せず、常に少額でも現金を用意しておくことも大切です。
例えば手帳型のスマートフォンケースを利用している人であれば、ケースのカード収納ポケットなどに現金(千円札など)を入れておくのも良いでしょう。
●わずかなアイデアと工夫で災害対策はできる
現代社会はそのシステム全体がデジタル化され、スマートフォンでの利用に特化する形で発展してきました。
その発展によって普段は非常に便利で快適な生活が送れていますが、巨大な災害が発生した際にはその便利さやデジタル化された社会構造が仇となる場合もあります。
災害時に最も恐れるべきは「通信と情報の断絶」です。
通信会社はその断絶が起こらないように、もしくは万が一起きたとしても迅速な復旧を可能とするために、毎年多額の災害愛策費用を計上しています。
私たちもまた、災害に対して最低限の備えをしなければなりません。
・深夜の大地震で何も情報が得られない場合はどうするべきなのか。
・停電などで電源を確保できない場合にどう備えれば良いのか。
・情報は得られてもその状況をどれだけの時間維持できるのか。
・災害によってスマートフォンを破損・紛失してしまった場合にどう対処するのか。
大きなコストをかけずとも、ほんの少しのアイデアや工夫で十分な対策が可能です。
ぜひ何事もない平時のうちに、災害対策を見直してみてください。
執筆 秋吉 健
みなさんは日頃、災害への備えをどの程度行っているでしょうか。
日本は地震や津波、台風や洪水といった巨大な災害に常に晒され続けている災害大国です。
1月には日向灘を震源とする最大震度5強の地震が発生し、さらにトンガで起きた海底火山の噴火によって発生した津波が日本列島全土を襲いました。
このような災害が発生したとき、非常に重要な役割を果たすのが通信と情報です。
正確な情報を素早く確保することは、的確な判断や冷静な行動につながります。
その情報を手に入れる手段として通信網の確保が求められるため、通信各社はインフラの維持や復旧に最大限の努力を行っています。
一方で、情報端末であるスマートフォンを利用する私たちもまた、災害発生時に備えて情報を確保する手段を普段から用意しておく必要があります。
大きな負担を強いることなく、私たちが平時から準備しておけるスマートフォン関連の災害対策とはどんなものがあるのでしょうか。
災害対策は通信会社だけが行えば良いというものではない
●スマートフォン関連だけでもできることは多い
もっとも実効性が高く安価に準備しておけるものは、モバイルバッテリーを携帯することです。
昨今ではスマートフォンの内蔵バッテリーの容量が非常に大きくなり、モバイルバッテリーを常時持ち歩く人も減ってきたように思われます。
しかしながら災害対策を兼ねた運用を考えた場合、スマートフォンを充電できるモバイルバッテリーを常時携帯しておくことは非常に有効です。
モバイルバッテリーには様々な大きさや用途があります。
・小型軽量でスマートフォンを1回程度充電できるタイプ
・大容量で複数台のスマートフォンを同時に充電できるタイプ
・ソーラー発電や手回し発電式でモバイルバッテリー自体の充電に電源が不要なタイプ
・自動車のジャンプスターターを兼ねた大電流タイプ
・ガソリンや家庭用コンロのガスを燃料とした大型の発電タイプ
どのようなモバイルバッテリーが適しているのかは、私たち個人の生活スタイルや家族構成、利用環境などによって大きく変わります。
例えば自動車での移動が多く、常に災害対策用具を自動車に積載しておける人であれば、ジャンプスターター兼用のモバイルバッテリーがオススメです。
もちろん用途に応じて複数のモバイルバッテリーを使い分けられれば、さらに安全性は高まります。
万が一の対策用品だからこそ、普段からメンテナンスを心がけたい
複数台のスマートフォンを用意しておくというのも1つの手段です。
例えばスマートフォンを買い替えた際、古いスマートフォンがまだ使えるのであれば、バッテリーを充電してそのまま活用すれば追加費用も掛からず合理的です。
ただし古いスマートフォンなどの場合、バッテリーの劣化を起因とする膨張や発火といった危険もあるため、使用状態や経年劣化に十分注意が必要です。
使っていないスマートフォンの1台や2台なら、まだ持っている人も多いだろう
災害発生による通信インフラの途絶や混雑の対策として、複数キャリア(通信会社)のSIMカードを契約しておくという方法もあります。
例えば、NTTドコモの回線は通信できないがソフトバンクの回線ならつながる、といったような状況は十分に考えられます。
昨今のスマートフォンは、2つの通信キャリアのSIMカードを常時利用可能な状態としておける「デュアルSIM」仕様となっているものが多数あります。
また、アップルのiPhone 13シリーズなどのように、物理的なSIMカードスロットと内蔵メモリーにSIM情報を書き込む「eSIM」の2つが搭載されているものもあります。
どちらの場合も複数の通信キャリアとの契約が可能で、通信インフラの途絶などに対して高い冗長性を持たせることができます。
当然、複数の通信キャリアとの契約をすれば月額料金がかさむことになりますが、
・月額料金が非常に安価な移動体通信事業者(MVNO)を利用する
・KDDIの「povo」や楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT VI」のように月額0円から契約できる料金プランを利用する
このような手段によって、普段の回線維持費用を大きく抑えることができます。
複数の通信経路を確保しておくことは非常に効果的だ
また、最近ではd払いやau Pay、Pay Payといった電子マネー決済の利用も増えていますが、災害発生時には通信インフラや電力の途絶・寸断が多く発生し、利用できなくなる可能性が高くなります。
そのため、電子マネー決済を過信せず、常に少額でも現金を用意しておくことも大切です。
例えば手帳型のスマートフォンケースを利用している人であれば、ケースのカード収納ポケットなどに現金(千円札など)を入れておくのも良いでしょう。
●わずかなアイデアと工夫で災害対策はできる
現代社会はそのシステム全体がデジタル化され、スマートフォンでの利用に特化する形で発展してきました。
その発展によって普段は非常に便利で快適な生活が送れていますが、巨大な災害が発生した際にはその便利さやデジタル化された社会構造が仇となる場合もあります。
災害時に最も恐れるべきは「通信と情報の断絶」です。
通信会社はその断絶が起こらないように、もしくは万が一起きたとしても迅速な復旧を可能とするために、毎年多額の災害愛策費用を計上しています。
私たちもまた、災害に対して最低限の備えをしなければなりません。
・深夜の大地震で何も情報が得られない場合はどうするべきなのか。
・停電などで電源を確保できない場合にどう備えれば良いのか。
・情報は得られてもその状況をどれだけの時間維持できるのか。
・災害によってスマートフォンを破損・紛失してしまった場合にどう対処するのか。
大きなコストをかけずとも、ほんの少しのアイデアや工夫で十分な対策が可能です。
ぜひ何事もない平時のうちに、災害対策を見直してみてください。
執筆 秋吉 健