【新型コロナ】塩野義製薬社長が語る「国産ワクチン・治療薬メーカーの役割」
ワクチンにしても国内でエコシステムが回るようにしていかなければいけません。
ですから、われわれは原料も日本で買い、ワクチンを入れるガラスの容器もゴムキャップも日本の企業から買わせていただいています。
工場の機械なども海外でしか調達できないものを除き、千代田化工さん、大成化工さんなどから調達させていただきます。
そうすることで、日本で雇用が生まれ、お給料が出て所得税という形で国に戻り、再生産につなげていくということを、国民レベルで意識していかなければいけないと思います。
同じ1兆円をワクチンに使うとしても、日本の中でモノづくりが回るだけで、1兆円の意味は大きく変わってきます。
─ 感染症対策も対処療法ではなく、仕組みづくりが重要ですね。
手代木 はい。アメリカのバイデン大統領も「バイアメリカン運動」を掲げていますが、そういうことを口に出したのはトランプ大統領からで、アメリカやヨーロッパは今まで口には出さなかったものの、ずっとそれをやってきています。
国民も、国内で経済を回すことで雇用が生まれ、所得税として政府に戻っていくということをわかっています。日本国民の安ければいいという意識を変えていくことも必要だと感じます。
─ 日本がデフレから脱却できないのも、国民の安さ信仰が根強いこともありますね。
手代木 その問題も大きいと思います。今回のパンデミックでは多くの方が痛みを覚えていらっしゃる。この痛みがあるうちに平時の備えについて検討しなければ、また何となく元に戻ってしまうということになりかねません。
これでは次にパンデミックが起きたとき、また対応できないということになってしまいます。
日本にとって、今後の半年、1年というのは、国のシステムをあるべき形に変えていくためにも重要な時期だと思っています。
「コロナ禍を生き抜くには」 私の雑記帳 村田博文
塩野義製薬社長
手代木 功
Teshirogi Isao
【プロフィール】
てしろぎ・いさお
1959年12月生まれ。宮城県出身。82年東京大学薬学部卒業後、同年4月塩野義製薬入社、99年秘書室長兼経営企画部長、02年取締役、04年常務執行役員 医薬研究開発本部長、07年専務執行役員、08年4月社長に就任。
