『東京最高のレストラン』編集長に教わる、今行くべき東京のお店5選

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「東京の今がわかるお店」を、『東京最高のレストラン』編集長の大木淳夫さんに選んでいただきました!

この一年余り、かつてない苦境に立たされた外食産業ですが、そんななかでも良いレストランは生まれ、育ち続けています。

食のプロたちが厳選・評価し、語り尽くす食のガイドブック『東京最高のレストラン』の編集長である大木淳夫さんに、「東京の今がわかる店5選」をピックアップしていただきました。フランス料理、寿司、イタリア料理、スペイン料理、インド料理と多彩なジャンルで、ハレの日にぴったりな一軒から気軽に訪れることができるカジュアル店まで、幅広いラインアップです。大木さんのコメントと共に、東京の今を象徴するお店をご紹介します。

1. 伝統と革新がせめぎ合う銀座の新生フレンチ「ル・シーニュ」(銀座)

名店が集う銀座に誕生した、カウンター9席のフランス料理店。パリの「レ・ザンバサドール」のほか、アラン・デュカスシェフのもとで働き、帰国後は、銀座の「ベージュ アラン・デュカス 東京」、旧軽井沢ホテル内の「ル・シーニュ」でシェフを務めた上野宗士さんが腕を振るいます。

盛り付けはモダンですが、皿そのものはベーシックでボリュームも充分。秀逸なワインは、フランス産を中心に約250種類、2,000本以上のストックを抱えます。個性豊かなソムリエの有馬純平さんによるフレンドリーな接客もこちらならでは。

藁の香りをつけたラカン産仔鳩のロティ  写真:お店から

大木「やっぱりフランス料理ってすごい! と感じられるカウンターのモダンフレンチです。上野シェフは想像を超える量のキャビアなどで驚きを与える一方、見目美しく滋味あふれる料理でうっとりもさせてくれます。ソムリエの有馬さんが繰り出すワインも、特筆すべきラインアップで楽しませてくれます」

フルーツタルト  写真:お店から

<店舗情報>
◆ル・シーニュ
住所 : 東京都中央区銀座5-4-15 西五ビル 6F
TEL : 050-5456-5989

2. 手を掛けた江戸前寿司を良心的な価格で味わう「鮨 まつうら」(白金)

清楚なカウンターに凛と立つ若き大将の松浦修さんは、魚屋から寿司職人の道へと転身した経歴を持ちます。

大衆寿司店で基礎を積み、「鮨 銀座 おのでら」では海外の新店立ち上げを任され、帰国後は表参道の「鮨 ます田」や恵比寿の「鮨 来主」などを経て独立。酢飯は、山形のこしひかりとあきたこまちを調合し、数種類をブレンドした赤酢と塩のみで味を調えています。

天草のコハダ 撮影:外山温子

柚子を忍ばせた塩で味わう穴子をはじめ、一晩漬け汁に浸したホタテ、ペースト状にしたあん肝巻きなど職人技が光り、庶民派と高級店のイイトコドリができる一軒。

大木「コース2万円超が当たり前の時代にあって、税抜1万5千円で高級店と全く遜色のないクオリティと、高いホスピタリティ。あん肝巻きと貴醸酒のペアリングは忘れ難いおいしさです。通いたくなること必至の寿司店と言えるでしょう」

すっきりして清潔感のある店内 撮影:外山温子

<店舗情報>
◆鮨 まつうら
住所 : 東京都港区白金5-7-8 ウイング綱島 1F
TEL : 050-5456-2029

3. オーナー兄弟がもてなすカジュアルイタリアン「オステリア トレ パッツィ」(西荻窪)

西荻窪という町の空気を反映した、地元密着型のオステリア(居酒屋)。吉祥寺の人気店「ビストロハッチ」と「トラットリアチッチョ」で腕を磨いたシェフの兄・松原達志さんと、ソムリエでありサーバーの弟・松原憲作さんが阿吽の呼吸で店を切り盛りします。

「牛タンのカツレツ〜サルサヴェルデ」 撮影:佐藤潮

スペシャリテのパルミジャーノチーズを隠し味にした「トンナレッリ カチョ・エ・ペペ」や約7時間煮込んでから揚げる「牛タンのカツレツ〜サルサヴェルデ」など、オリジナリティあふれる料理はアラカルトのみで構成。ワインバーのような利用もOKという懐の深さもうれしい限り。

兄・松原達志さん(写真左)、弟・松原憲作さん(写真右) 撮影:佐藤潮

大木「シェフの兄とサービスの弟、松原兄弟のコンビネーションが抜群のイタリアンです。肩ひじ張らず、客の誰もが笑顔になる。味、サービス、設え、その3つのハーモニーが素晴らしい、レストランの原点ともいえる楽しさが溢れるお店ですね」


<店舗情報>
◆オステリア トレ パッツィ
住所 : 東京都杉並区西荻南3-15-1 MUビル 1F
TEL : 03-4361-5515

4. 独自の郷土料理とワインとシェリーが揃う大人のスパニッシュバル「タウラ」(下北沢)

店主の郄橋翔太さんは、バスクの星付きレストラン「スベロア」のほか、恵比寿の「ティオ・ダンジョウ」や神楽坂の「エル・カミーノ」で研鑽を積んだ人物。“日本の食文化とスペイン料理の融合”を信条に、本場のレシピを日本人に受け入れやすい味わいに仕上げています。

オーダーした料理に合わせ、スペイン産のワインやシェリーを絶妙にセレクトしてくれるのでペアリングも感動モノ。カタルーニャ語で「テーブル」を意味する店名の通り、ゆったりと大きなテーブルやカウンターで落ち着いて食事を楽しむことができます。

岐阜県産 夏鹿のロースト  出典:えだこねこさん

大木「下北沢にあって、大人がゆったりと楽しめる都会的なスペイン料理店です。実力派シェフが繰り出す料理は、メニューを眺めるだけでもワクワクします。ワインも充実しているので、ふらっと一杯とタパスという使い方もできます」


<店舗情報>
◆TauLa
住所 : 東京都世田谷区北沢3-34-6 北沢グリーンビル 1F
TEL : 03-5738-8534

5. 名店の系譜を受け継ぐアットホームなインド料理店「マロロガ バワン」(新井薬師)

新井薬師の情緒ある商店街に佇む小さな食堂。高幡不動の「インド食堂アンジュナ」や南インド料理専門店「エリックサウス」といった名店で学んだ店主の礒邊和敬さんと、フレンチやイタリアンレストランで調理経験のある妻の麻由さんが営みます。

昼はカレー中心のメニューで、トマトの酸味とグリーンチリを利かせた「バターチキン」は、これまで敬遠していた人にこそ食べて欲しいという自信作。夜はスパイス料理やタンドール料理、つまみが豊富に揃い、“飲めるインド料理”を存分に堪能することができるでしょう。

全部のせプレート 撮影:カレーおじさん\(^o^)/

大木「ありそうでなかった、“飲めるインド料理店”です。少なめのポーションなので様々な料理とお酒を楽しみ、締めにカレーという極楽をぜひ堪能してほしいと思います。本物のバターチキンが食べられる数少ないお店でもあるので、必食です」


<店舗情報>
◆マロロガ バワン
住所 : 東京都中野区新井1-35-12
TEL : 080-8150-3523

東京のレストランを深く知ることができる愛蔵版!

今号で創刊から20年を迎えた『東京最高のレストラン』。東京のレストランの歴史を見続けてきた食のプロである、マッキー牧元さん、小石原はるかさん、森脇慶子さん、松浦達也さん、浅妻千映子さん、横川潤さんがセレクトし、実名で評価。さらに座談会で語り尽くすという独自のスタイルを貫いています。

『東京最高のレストラン』(ぴあ株式会社)

3月31日に発売された2021年版は、新型コロナウイルス感染症の影響で4ヶ月遅れての発刊となりましたが、記念版にふさわしい充実の内容に。今回ご紹介した5軒を含む「今年の注目店」19軒に加え、55軒のニューオープン店、各ジャンルのここ1年の動向と最高のレストランの数々をご紹介。

「メンバー一同、改めてレストラン愛を強く思いつつ、熱く語り、執筆しています」(大木さん)

創刊号での各ジャンルのベストテン「プレイバック東京最高のレストラン」も掲載しています。さらに、かつてのメンバー“美食の王様”こと来栖けいさんと寿司評論の第一人者として知られる早川光氏もゲストとして参加。来栖さんは巻末の座談会「レストランはどうなるか」で、早川さんは寿司の頁のお店の解説で、変わらぬ切れ味を披露しています。

レストランの検索にはもちろん、座談会は読み応えもたっぷり。よりレストランを楽しむことができるでしょう。東京のレストランの現在・過去・未来を知ることができる愛蔵版の一冊です。

取材・文:外川ゆい

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