新商品の「わかめラー まさかの麺なし ごま・しょうゆ」

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 インスタントラーメンのエースコックが4月20日より、新商品を売り出すと発表した。その名も「わかめラー まさかの麺なし ごま・しょうゆ」。ロングセラーの「わかめラーメン」からメンを抜き、その代わりにわかめを通常の4・5倍にしたというのだが……それって、「わかめスープ」じゃないの?

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 近頃では応えてくれる蕎麦屋も減ったが、江戸っ子文化として、「天ぷら蕎麦」から蕎麦を抜いた「天ぬき(ぬき)」というメニューがある。天蕎麦の汁(つゆ)がしみた天ぷらをあてに、ちびちびと呑むと蕎麦がのびてしまうから、蕎麦抜きにしたという。

 いわば「わかめラー」は、「わかめラーメン」の“ぬき”というわけだが、ラーメン業界では“ぬき”ではなく“麺なし”と言うらしい。しかもその意味合いは、ちょっと違うようなのだ。即席麺評論家の大山即席斎氏は言う。

新商品の「わかめラー まさかの麺なし ごま・しょうゆ」

「今の時代、炭水化物は嫌われていますから、麺の代わりに豆腐やこんにゃく、千切りキャベツなどを使うラーメン屋さんも出てきています。カップ麺でも麺の量を少なめにしたものや、“麺なしラーメン”が商品化されています。それらもいわゆる糖質制限を目的にしたものが多いですね。それほど、炭水化物の摂り過ぎを気にする人が増えているのです。もともと、カップ麺というのは若い男性中心の商品でした。だから、スーパーカップなどの麺量の多い商品も生まれたのですが、女性や中高年の方にウケるためには、ヘルシーであることは重要なんです」

麺ありの「わかめラーメン」

――「わかめラー」もそうした流れから生まれたのだろうか。

「その可能性はあります。麺の代わりにわかめですから、食物繊維は多いし、歓迎されるでしょう。一方、発売元のエースコックは最近、攻めた『わかめラーメン』を出しています。一昨年の発売35周年の時には、わかめ3・5倍を出しましたし、コンビニとのコラボ商品では“わかめ7倍”というものもありました。このときは、膨大なわかめの下にある 麺がなかなか出てこなかったなあ。その延長で、いっそのこと麺は抜いてしまえということになったかもしれません」(同)

「私も食べてみて、そう思いました」

 果たして「わかめラー」はヘルシー志向から生まれた商品なのだろうか。発売元のエースコックに聞いてみよう。

広報:ご指摘のような糖質オフを代表する健康意識は、企画の根幹にございません。

――え? では、なぜ麺なしに?

広報:ロングセラーの「わかめラーメン」をプロダクト方向から盛り上げる意図で、本品を開発しました。「わかめラーメン」の“良さ”や“らしさ”を伝えるには、商品特長の変化でも強化でもありません。“「わかめラーメン」のアイデンティティの究極化だ!”と思い、開発の方針にしました。

――「わかめラーメン」の発売は1983年、37年前のことだ。40代以上の方なら、法被(はっぴ)姿の石立鉄男が大うちわを振りながら、「♪わ〜かめ、スキスキ、ピチピチィ〜」とやっていたCMを思い出す方も少なくないだろう。確かに大量のわかめは、「わかめラーメン」のアイデンティティである。だからといって、わかめだけとは……。

広報:その上で、“お客様にこの商品をどう楽しんでもらうか”と考え、目と口とシェアして(写真を撮って)楽しめる商品をテーマに、わかめに特化した商品にしました。

――実際に食べると、どんな感じなのだろう。

広報:まず商品を手に取ると、軽いです。空っぽかと思うほど。

――まあ、大きめの「わかめラーメン」のカップに入っているのは、“かやく”と“スープの粉末”だけなのだから、スッカスカだろう。

広報:でも、わかめの量は通常「わかめラーメン」(19年8月発売品)の4・5倍ですから、お湯で戻した後のインパクトたるや大きいですよ。わかめ好きにはたまらないと思います。

――だが、ネット上では、《それって「わかめスープ」だろ!》とのツッコミも見受けられるが?

広報:いろいろな考えがあっていいのではないでしょうか。話題にしていただけるだけでもありがたいです。それに「わかめラー」のパッケージの表示は、「即席カップめん」ではなく「即席スープ」と記載しています。表示区分から判断すれば、「わかめスープ」こそ、商品の実態を表現するのに近いかもしれません。私も食べてみて、そう思いました。

――あー認めちゃった……。

広報:しかし繰り返すようですが、本品は「わかめラーメン」の“良さ”や“らしさ”を伝えるために生まれた商品です。企画の軸が“わかめスープ”を作るというものであれば、本品とはまったく別の仕様になったはずです。企画の軸は、あくまで「わかめラーメン」です。そのためメニュー名に“スープ”という表現は使わず、「わかめラーメン」から“メン”を無くした「わかめラー」としました。

――前出の大山即席斎氏の発言にもあったように、「わかめラーメン」は発売35周年を迎えた2年前には、わかめ3・5倍バージョンを発売した。なぜ“麺なし”は今年になったのか。

広報:実は昨年の今頃も“帰ってきた3・5倍”を発売しているんです。毎年、今頃の時期に、「わかめラーメン」の活性化を目指し、盛り上げる企画を考えています。

 ちなみに、石立のCMでは、「お前はどこのわかめじゃ?」のセリフも流行った。念のため聞いてみると、「わかめラーメン」のわかめは海外産とのこと。

 麺なし「わかめラーメン」の「わかめラー」は、「わかめスープ」とどう違うのか。もうすぐあなたの舌で確認できる。

週刊新潮WEB取材班

2020年3月26日 掲載