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 9月1日、米中両大国の貿易摩擦が総力戦に突入する。米国は対中制裁の第4弾を発動し、追加関税の対象をほぼ全ての中国製品に拡大する。一方、中国も米国からの輸入額の半分に対して関税を上乗せし報復する。中でも中国の投資や消費が一段と停滞し、世界景気が悪化するのは避けられない。覇権をめぐる対立に終わりは見えず、日本企業は大国の自国第一主義に翻弄(ほんろう)され、一段の円高・株安、収益悪化のリスクがつきまとう。

12兆円分に15%の関税
 米国は1日、制裁対象外だった1100億ドル(約12兆円)分に15%の関税を課す。10月には、発動済みの2500億ドル分の税率を現在の25%から30%に拡大。12月には、再び対象外の1600億ドル分に15%の関税を課す。

 一方の中国も9月と12月に分けて、農産物など約750億ドル分に5―10%の関税を課し対抗する。報復関税は対象がほぼ網羅され、税率の引き上げを繰り返す事態に発展した。

 9月中に閣僚級協議を再開する可能性もあるが、両者の溝はほとんど埋まっていない。米国は中国に過大な産業補助金や強制技術移転を法律で禁じるよう迫り、履行状況を検証する仕組みも要求している。一方の中国は米国産農産物を大量に購入する代わりに、双方が制裁関税を止めるよう求めている。「意見の隔たりが大きく、妥協点を探すことは困難だ」(銀行系エコノミスト)。

 米国が中国の政策変更に固執する背景には、国際ルールに反する国家戦略で自国産業を育成し、米国の覇権に挑もうとしていることにある。しかも経済圏構想「一帯一路」を進める陰で新興国は対外債務が膨らむ“債務のワナ”に陥っている。中国は経済や政治の面で新興国を支配下に置く思惑がのぞくが、そのイメージ払拭(ふっしょく)に躍起だ。歴代の米政権は、自由貿易の恩恵を不当に享受し、覇権主義を進める中国に強い不満を持ってきた。

 両国が歩み寄るシナリオも皆無ではない。トランプ米大統領は来秋の大統領選で民主党有力候補と支持率が拮抗(きっこう)しており、交渉の成果をいち早く有権者に訴えたい思惑がある。一方の中国は2019年4―6月期国内総生産(GDP)の実質成長率が92年以降で最低になるなど、制裁の影響が顕著になってきた。長期化を避けたい考えが一致できれば、協議が前進する可能性もある。

 今まで国際社会はルール違反を常態化させる中国に対し無力だった。トランプ政権の要求は身勝手にも見えるが、その原因は中国にある。米国には国際協調への回帰が求められる一方、中国は不公正な貿易慣行を是正し通商ルールを順守するべきだ。両国は大国の責任を果たし、景気減速の防止に向けて事態の収拾を急ぐ必要がある。

自動車 消費者心理の悪化懸念
 日本の自動車メーカーが米中間で輸出入する完成車の台数はわずかで、関税摩擦の直接的な影響は軽微だ。関係者が懸念するのは消費者心理の悪化で、「影響は大きい」(倉石誠司ホンダ副社長)と指摘する。貿易戦争激化によって景気の先行き不安が広がれば、新車市場を冷やす。

 特に中国市場の後退が鮮明だ。7月の中国新車販売は前年同月比4・3%減の180万台と13カ月連続のマイナス。1―7月累計は前年同期比11・4%減の1413万台となっており、2019年でも2年連続の前年割れの可能性が高い。さらに「貿易摩擦が続けば、20年以降も回復は緩やかになる」(自動車業界アナリスト)。

 7月の販売でトヨタ自動車が13万9100台(前年同月比8・3%増)となるなど、足元では日系メーカーは健闘するが、先行きは楽観視できない。

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