VAIO SX12はサブノートをメインした! 大型キーボードとフルインターフェイスを実現させた妥協しない挑戦とは
VAIOは7月19日、画面サイズ12.5インチのモバイルノートPC「VAIO SX12」を発売した。
この製品のコンセプトは「メインマシンの最小形」だ。
メインマシンとして使える
「性能」
「使い勝手」
「画面サイズ」
これらをモバイルノートPCに落とし込んだ意欲作である。
“PC(パーソナルコンピュータ)”と言えば、以前はデスクトップ型が主流であったが、今や家電量販店の店頭には多くのノート型PCが並ぶようになった。
もちろん、デスクトップ型がなくなったわけではなく、ゲーミング用途やクリエイティブ用途など、今でも、ハイエンドPCとして活躍している。
デスクトップ型は、性能や拡張性、ディスプレイサイズなど、用途と予算に合わせて様々な周辺機器と組み合わせることができるので、自分の好みや作業に適したPCを用意できるメリットがある。
一方でノート型は、キーボードやモニター、タッチパッドなど入力機器と出力機器がオールインワンになったPCである。デスクトップ型のような周辺機器に対する選択の自由度がないものの、購入後のケーブル接続や周辺機器の電源確保など、面倒なセッティングの必要がなく、買ってすぐに使えることがノート型の良さである。
また、別売のモニターを買う必要がないため予算感が把握しやすく、本体だけ購入すればすぐ作業ができること、省スペースで設置できることなど、初心者でも扱い易いというメリットがある。
また、ノート型は、アップルの「MacBook Pro」がクリエイティブ用途にも使えるPCとして愛されており、Windows PCも初心者から上級者、そして業務利用など、幅広い製品ラインナップで対応している。
こうしたノート型には、大きく分けて3つのPCがある。
一つ目は、15インチ以上の大画面据え置き型のノートだ。
重さは2kgを超えるため、外に持ち出す用途ではなく、自宅やオフィスでの据え置き使用がメインとなる。そのため、重さやサイズなどデザインに自由度がうまれ、ハイエンドのゲーミングPCや高性能PC、普及価格帯のオールインワンPCなど個性的な製品が多い。
VAIOは今年4月にハイエンドCPUや4K液晶、Thunderbolt端子による拡張機能が利用できる「VAIO S15」を発売した。メインマシンとして利用できるパフォーマンスや、据え置き型として使いやすい大画面など、魅力的なモデルである。
二つ目は、画面サイズが13〜14インチのメインストリームノートPCだ。重さが1kg台や1kgを切る製品もあり、大きな画面でありながら外に持ち出して利用するケースにも対応できるなど、自由度の高さが特徴である。
メインストリームノートとして今年1月、画面サイズ14インチの「VAIO SX14」を発売した。狭額縁化技術によって、13.3インチクラスの筐体に14インチの画面を搭載し、最軽量モデルは約999gと普段持ち歩ける大画面ノートPCを実現した。また、4K液晶モデルもラインナップしており、高精細なマルチウィンドウ表示や写真や動画編集など使いやすさを実現している。
他社もこの13〜14インチクラスのノートPCには力を入れており、700gを切る超軽量モデルや、タブレット型にもなる2in1コンバーチブルノートPCなど、ニーズに合わせた製品展開が熱い。
ちなみに、今日のメインストリームとなった13.3インチの画面サイズを初めて採用したのはVAIOなのだという。
そして3つ目が、画面サイズ11インチ以下のサブノートだ。
ジャンルとしては、13インチクラスのPCよりも古くからある。画面サイズが小さいことで、携帯性が高いという特徴があるものの、その筐体サイズに起因する小さなキーボードや独特なキー配置など、使い勝手が下がることもある。
サブノート型は、携帯性を重視しているが故に、性能や使い勝手で妥協する必要があることからメインではなく“サブ”ノートと呼ばれるようになった。もちろん、持ち運びやすさや電車の座席で開いても邪魔にならないサイズ感など、移動時でも使える機動性は実用性が高く利用者も多い。
VAIOは、SX12をこのサブノートをメインとして使えるPCとすることをコンセプトに作り上げた。
前述した通り、メリットもあるがデメリットも大きいのが11インチクラスのノートPCだ。
まずメリットを活かしたのが、本体サイズを変えずに大画面化したことだ。
前モデルの「VAIO S11」の11.6インチから12.5インチへ大画面化し、見やすさと携帯性を両立した。画面が大きくなったことで、Office系ソフトの視認性が良くなり、使いやすくなった。
次に改善したのがキーボードだ。
従来はキーピッチが約17mmだったものが、フルピッチの19mmへ大型化し、使い勝手を向上させている。実際に使ってみると、普段使っているフルピッチのキーボードは、手に馴染んでおり指の動きに迷いがなく素早い入力が可能だった。また、スペースの都合で場所が異なるような特殊なキー配置もなく、慣れる必要がないのも良い。
このキーボードの大型化は、普段見ることがない本体内において、想像以上に多くの変更点が発生している。
従来の製品は、筐体の骨格とも言うべき外枠があり、そこに各種インターフェイスを設置し、それを避けるように内側にキーボードのスイッチや基板などの構造を設計していた。このため、キーボード面の左右に余白が必要となり、必然的にキーピッチが狭くなっていたのである。
じつは、この制約はVAIOが使いやすいPCを作るためのコンセプトに掲げる、フルインターフェイスを実現するために起きていたものでもある。プロジェクターに接続するためのD-Sub端子やフルピッチのHDMI端子、USB端子が側面にならぶ。そしてSDカードも直接読み込み可能だ。これらのインターフェイスを省略し、コンパクト化が可能なUSB Type-C端子のみにしてしまえば、すぐに解決できる問題でもあるように思う。
しかしながら、使い勝手を悪くしない取り組みには “変わらないこと・変えないこと“も重要である。
そこで、SX12ではキーボード面いっぱいにキーを広げるために、筐体の構造と各種インターフェイスを実装する基板の見直しを行ったのである。
まずキーボードを左右いっぱいまで広げたことで、従来通りではインターフェイス類と厚みがあるキーボードパーツがぶつかってしまう。
これを解決するために、インターフェイスと基板の取り付け位置を、キーボードの厚みを避けるために下げているのだ。また、基板上に搭載するパーツを背が低いパーツに変更したり、表面にあったパーツの取り付け位置を裏面に実装したりするなどして、狭くなった空間のなかに従来と同じインターフェイスを実装した。
例えば、本体の厚みを増すことで、キーボードとインターフェイス類の衝突を回避させるという解決方法もあったはずだ。しかし、薄さも携帯性を左右する重要な要素の一つであり、安易の本体を厚くすれば、使い勝手は確実に低下することは避けられないのである。
このようにして、使い勝手を悪くすることなくサブノートの問題を解決したのだ。
携帯性を維持し、使い勝手を向上させたSX12は、最新のプロセッサを搭載しパフォーマンスも向上している。CPUには4コア8スレッドで動作するインテルの「Core i7-8565U」(1.80GHz/最大 4.60GHz)が選択可能なほか、予算や用途に合わせて「Core i5-8265U」、「Core i3-8145U」、「Celeron 4205U」も選択可能だ。
メモリーは最大16GBまで搭載可能で、オフィスワーク以外にも写真編集や動画編集などを、いつでもどこでもできるパワフルさも兼ね備える。
今回、Core i7-8565U+8GB RAMモデルで、出先での4200万画素のカメラのRAW現像や、自宅での4K動画の編集と書き出しを行ったが、古いモバイルPCにあった使い勝手の悪さや、動作の遅さはなかった。とくに嬉しいのが、パフォーマンスは向上しているが、消費電力はモバイルPCそのものなので家計にも優しいところ。
13.3インチノートPCとの比較
SX12のコンセプトである「メインマシンの最小形」とは、
・サブノートをメインとして使える
・サイズに起因する問題や妥協をなくす
これらを実現させたモデルなのである。
・出張が多いビジネスパーソン
・旅行にもPCを携帯したい人
・オフィスや自宅でも快適に使いたい人
SX12は、相反するニーズと利用環境、それらを両立した革新的なノートPCなのだ。
今後のPC選びは、こうしたPCの再構築を経て、妥協することなくニーズに合わせた製品を安心して選べるようになっていくだろう。
執筆 mi2_303
この製品のコンセプトは「メインマシンの最小形」だ。
メインマシンとして使える
「性能」
「使い勝手」
「画面サイズ」
これらをモバイルノートPCに落とし込んだ意欲作である。
“PC(パーソナルコンピュータ)”と言えば、以前はデスクトップ型が主流であったが、今や家電量販店の店頭には多くのノート型PCが並ぶようになった。
もちろん、デスクトップ型がなくなったわけではなく、ゲーミング用途やクリエイティブ用途など、今でも、ハイエンドPCとして活躍している。
デスクトップ型は、性能や拡張性、ディスプレイサイズなど、用途と予算に合わせて様々な周辺機器と組み合わせることができるので、自分の好みや作業に適したPCを用意できるメリットがある。
一方でノート型は、キーボードやモニター、タッチパッドなど入力機器と出力機器がオールインワンになったPCである。デスクトップ型のような周辺機器に対する選択の自由度がないものの、購入後のケーブル接続や周辺機器の電源確保など、面倒なセッティングの必要がなく、買ってすぐに使えることがノート型の良さである。
また、別売のモニターを買う必要がないため予算感が把握しやすく、本体だけ購入すればすぐ作業ができること、省スペースで設置できることなど、初心者でも扱い易いというメリットがある。
また、ノート型は、アップルの「MacBook Pro」がクリエイティブ用途にも使えるPCとして愛されており、Windows PCも初心者から上級者、そして業務利用など、幅広い製品ラインナップで対応している。
こうしたノート型には、大きく分けて3つのPCがある。
一つ目は、15インチ以上の大画面据え置き型のノートだ。
重さは2kgを超えるため、外に持ち出す用途ではなく、自宅やオフィスでの据え置き使用がメインとなる。そのため、重さやサイズなどデザインに自由度がうまれ、ハイエンドのゲーミングPCや高性能PC、普及価格帯のオールインワンPCなど個性的な製品が多い。
VAIOは今年4月にハイエンドCPUや4K液晶、Thunderbolt端子による拡張機能が利用できる「VAIO S15」を発売した。メインマシンとして利用できるパフォーマンスや、据え置き型として使いやすい大画面など、魅力的なモデルである。
二つ目は、画面サイズが13〜14インチのメインストリームノートPCだ。重さが1kg台や1kgを切る製品もあり、大きな画面でありながら外に持ち出して利用するケースにも対応できるなど、自由度の高さが特徴である。
メインストリームノートとして今年1月、画面サイズ14インチの「VAIO SX14」を発売した。狭額縁化技術によって、13.3インチクラスの筐体に14インチの画面を搭載し、最軽量モデルは約999gと普段持ち歩ける大画面ノートPCを実現した。また、4K液晶モデルもラインナップしており、高精細なマルチウィンドウ表示や写真や動画編集など使いやすさを実現している。
他社もこの13〜14インチクラスのノートPCには力を入れており、700gを切る超軽量モデルや、タブレット型にもなる2in1コンバーチブルノートPCなど、ニーズに合わせた製品展開が熱い。
ちなみに、今日のメインストリームとなった13.3インチの画面サイズを初めて採用したのはVAIOなのだという。
そして3つ目が、画面サイズ11インチ以下のサブノートだ。
ジャンルとしては、13インチクラスのPCよりも古くからある。画面サイズが小さいことで、携帯性が高いという特徴があるものの、その筐体サイズに起因する小さなキーボードや独特なキー配置など、使い勝手が下がることもある。
サブノート型は、携帯性を重視しているが故に、性能や使い勝手で妥協する必要があることからメインではなく“サブ”ノートと呼ばれるようになった。もちろん、持ち運びやすさや電車の座席で開いても邪魔にならないサイズ感など、移動時でも使える機動性は実用性が高く利用者も多い。
VAIOは、SX12をこのサブノートをメインとして使えるPCとすることをコンセプトに作り上げた。
前述した通り、メリットもあるがデメリットも大きいのが11インチクラスのノートPCだ。
まずメリットを活かしたのが、本体サイズを変えずに大画面化したことだ。
前モデルの「VAIO S11」の11.6インチから12.5インチへ大画面化し、見やすさと携帯性を両立した。画面が大きくなったことで、Office系ソフトの視認性が良くなり、使いやすくなった。
次に改善したのがキーボードだ。
従来はキーピッチが約17mmだったものが、フルピッチの19mmへ大型化し、使い勝手を向上させている。実際に使ってみると、普段使っているフルピッチのキーボードは、手に馴染んでおり指の動きに迷いがなく素早い入力が可能だった。また、スペースの都合で場所が異なるような特殊なキー配置もなく、慣れる必要がないのも良い。
このキーボードの大型化は、普段見ることがない本体内において、想像以上に多くの変更点が発生している。
従来の製品は、筐体の骨格とも言うべき外枠があり、そこに各種インターフェイスを設置し、それを避けるように内側にキーボードのスイッチや基板などの構造を設計していた。このため、キーボード面の左右に余白が必要となり、必然的にキーピッチが狭くなっていたのである。
じつは、この制約はVAIOが使いやすいPCを作るためのコンセプトに掲げる、フルインターフェイスを実現するために起きていたものでもある。プロジェクターに接続するためのD-Sub端子やフルピッチのHDMI端子、USB端子が側面にならぶ。そしてSDカードも直接読み込み可能だ。これらのインターフェイスを省略し、コンパクト化が可能なUSB Type-C端子のみにしてしまえば、すぐに解決できる問題でもあるように思う。
しかしながら、使い勝手を悪くしない取り組みには “変わらないこと・変えないこと“も重要である。
そこで、SX12ではキーボード面いっぱいにキーを広げるために、筐体の構造と各種インターフェイスを実装する基板の見直しを行ったのである。
まずキーボードを左右いっぱいまで広げたことで、従来通りではインターフェイス類と厚みがあるキーボードパーツがぶつかってしまう。
これを解決するために、インターフェイスと基板の取り付け位置を、キーボードの厚みを避けるために下げているのだ。また、基板上に搭載するパーツを背が低いパーツに変更したり、表面にあったパーツの取り付け位置を裏面に実装したりするなどして、狭くなった空間のなかに従来と同じインターフェイスを実装した。
例えば、本体の厚みを増すことで、キーボードとインターフェイス類の衝突を回避させるという解決方法もあったはずだ。しかし、薄さも携帯性を左右する重要な要素の一つであり、安易の本体を厚くすれば、使い勝手は確実に低下することは避けられないのである。
このようにして、使い勝手を悪くすることなくサブノートの問題を解決したのだ。
携帯性を維持し、使い勝手を向上させたSX12は、最新のプロセッサを搭載しパフォーマンスも向上している。CPUには4コア8スレッドで動作するインテルの「Core i7-8565U」(1.80GHz/最大 4.60GHz)が選択可能なほか、予算や用途に合わせて「Core i5-8265U」、「Core i3-8145U」、「Celeron 4205U」も選択可能だ。
メモリーは最大16GBまで搭載可能で、オフィスワーク以外にも写真編集や動画編集などを、いつでもどこでもできるパワフルさも兼ね備える。
今回、Core i7-8565U+8GB RAMモデルで、出先での4200万画素のカメラのRAW現像や、自宅での4K動画の編集と書き出しを行ったが、古いモバイルPCにあった使い勝手の悪さや、動作の遅さはなかった。とくに嬉しいのが、パフォーマンスは向上しているが、消費電力はモバイルPCそのものなので家計にも優しいところ。
13.3インチノートPCとの比較
SX12のコンセプトである「メインマシンの最小形」とは、
・サブノートをメインとして使える
・サイズに起因する問題や妥協をなくす
これらを実現させたモデルなのである。
・出張が多いビジネスパーソン
・旅行にもPCを携帯したい人
・オフィスや自宅でも快適に使いたい人
SX12は、相反するニーズと利用環境、それらを両立した革新的なノートPCなのだ。
今後のPC選びは、こうしたPCの再構築を経て、妥協することなくニーズに合わせた製品を安心して選べるようになっていくだろう。
執筆 mi2_303