「無人コンビニ」は非現実的?ローソンが切り開くセルフ決済の未来

コンビニ業界の知られざる裏側を、内情に詳しいライターの日比谷新太さんがレポートする当シリーズ。前回の「セブンイレブンの『ちょい生』中止騒動」に続いて、今回取り上げるのは、ローソンが進めているスマホアプリを利用したセルフ決済サービス「ローソンスマホペイ」について。慢性的な人手不足に悩み続けているコンビニ業界ですが、セルフ決済の導入がそれらの問題を実際に解決することができるのかどうかを、日比谷さんが分析しています。
ローソンが行ったレジ無人化の試み
中国ではすでに実店舗も登場している「無人コンビニ」。日本のコンビニでも、その実現に向けた試みが始まっています。
なかでもローソンがこの春に実施したのは、独自のセルフ決済サービス「ローソンスマホペイ」の実証実験です。
● アプリを利用した店内どこでも決済 4月23日(月)より東京都内の3店舗にて実証実験スタート
同社のニュースリリースによると「ローソンスマホペイ」とは、スマホに公式アプリをダウンロードし、利用者が買いたい商品のバーコードをスマホのカメラで読み取ることで、店内のどこでも決済できるというサービス。退店時には、スマホに表示されたQRコードを店頭の専用読み取り機にかざすことで、決済済みであることを確認するそうです。
具体的な実験内容ですが、日中の時間帯は「ローソンスマホペイ」と有人レジを併用して、レジの混雑緩和を目的とした実証実験を。また、利用者が少ない深夜1時〜4時に限り、従業員のレジ作業を軽減することを目的としたレジ無人化の実証実験も行ったとのこと。今後は、今回の実証実験や利用状況等の検証を行なったうえで、2018年度下期以降には効果が見込めそうな他店舗への導入を検討していくとのことです。
各種レジの組み合わせが効果的?
実は今回の実証実験と同様の取り組みは、以前より同社社員を対象に行われていました。その結果、入店から退店までの平均時間が約3分から約1分に短縮。また「ローソンスマホペイ」を利用していない社員以外の利用者にとっても、レジ待ちの行列が短くなるというメリットがあり、最終的に売上の伸びにも繋がったそうです。
もともとローソンとしては、今回の取り組みの狙いは「無人店舗」を作る事ではなく、あくまでレジ決済時間の短縮・従業員のレジ作業の軽減にあったとのことで、狙い通りの結果となったわけです。
私も「ローソンスマホペイ」を実際に体験してみましたが、確かに商品を手に取ってスキャンし、レジに並ばずに決済が終了するのは快感でした。ただし、アプリをダウンロードする手間とクレジットカードIDとの紐付けが面倒な点が課題だと感じました。ちなみに「ローソンスマホペイ」の決済スペースですが、店内にわかりやすいデジタルサイネージでの案内があり、買い物終了の操作も分かりにくいということはありませんでした。

このように「ローソンスマホペイ」は、同社の狙いであるスマートな決済(キャッシュアウト時間の短縮化)には、大いに寄与できそうな取組みだと実感しました。特に都市部(特に駅前)などの客数が圧倒的に多い店舗や、オフィス街などランチ時間に一気に来店するような店舗では、かなり有効的でしょう。
ただ個人的には、もう一歩踏み込んだ取組みになると更に素晴らしいと考えています。無人店舗を作らなくても、省力化に伴う人件費ダウン(人手不足対策)に役立てるように、この機能がブラッシュアップしてもらいたいです。
従業員が操作する通常の「POSレジ」、商品登録作業は従業員が行うが決済はお客さんが行う「セミセルフレジ」、商品登録から決済までお客さんが行う「セルフレジ」、これに加えて今回の「スマホペイ」。これらを有機的に組み合わせて、最小コストで店舗特性に合わせた導入ができると、レジ人員の削減と決済スピードの向上が実現すると考えています。現実的にはPOSレジシステムの改修や、レジハードベンダーとの調整がとても大変そうですが、ぜひローソンにはこのようなチャレンジを進めてもらいたいですね。
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