9月24日に行なわれたマンチェスター・ユナイテッド戦で、レスター・シティの岡崎慎司に出番はなかった。

 試合の4日前に行なわれたリーグカップで先発し、2ゴールを挙げる活躍で定位置獲りにアピールした。しかし2トップの入ったのは、この日もFWジェイミー・バーディーとFWイスラム・スリマニのふたり。ベンチスタートの岡崎に最後まで出番の声はかからず、国内リーグ戦では2試合連続の「出番なし」となった。

 しかも、肝心のチームパフォーマンスも奮わなかった。前線からのプレス強度も、中盤の寄せも、最終ラインの堅実性もまったくと言っていいほどなく、マンチェスター・Uに1−4で大敗した。失点の仕方にも難があり、CKからヘディングシュートで先制点を許すと、MFフアン・マタ→MFポール・ポグバ→MFジェシー・リンガードときれいにパスを回され、最後はマタに2点目を決められた。

 極めつけは3点目。CK時に集中がプツリと切れ、素早いリスタートからいとも簡単に失点した。CKからパスを受けたマタと、ゴールを決めたMFマーカス・ラッシュフォードのふたりがいずれもノーマークだったあたりに、レスターの体たらくぶりが表れていた。

 CKからふたたび失点してリードを4点に広げられると、クラウディオ・ラニエリ監督はハーフタイムでバーディーとMFリヤド・マフレズをベンチに引っ込めた。試合後、イタリア人指揮官が「(3日後に行なわれる)チャンピオンズリーグに備えて、ふたりに休養を与えた」と語ったように、この時点で勝負は決したようなものだった。

 後半からは、スリマニを1トップに据えた4−1−4−1にフォーメーションを変更。途中交代で入ったMFデマライ・グレイのミドルシュートで1点を返したとはいえ、結果・内容ともレスターの完敗であった。そして、岡崎が途中交代でピッチに入ることもなかった。

 この試合で日本代表FWを先発起用していたら、また違った結果になっていたような気がしてならない。バーディーとスリマニはプレスの強度が弱く、プレー位置もMFと距離が離れていたため孤立してしまった。プレスはかからず、前線と連動した攻撃ができないとなれば、マンチェスター・Uのような力のある相手には太刀打ちできない。

 運動量の少なさも気になった。中盤のダイナモだったMFエンゴロ・カンテを失ったところに、運動量豊富な岡崎を外してしまえば、レスターのストロングポイントである走力は著しく低下してしまう。少なくとも、マンチェスター・U戦のレスターは、並以下のチームに成り下がっていた。

 だからこそ、「自分のプレーについては、何ひとつ変える必要はない」と語っていた岡崎の言葉は正しいだろう。取材規制の厳しいオールド・トラフォードで、出番のなかった岡崎への取材は認められなかったが、2ゴールを決めたチェルシーとのリーグカップ3回戦後に次のように話していた。

「あえて、ここから違うことをして、『俺はFWだ』と主張するようなプレーをしたら、ブレて終わってしまう。今シーズンはやるべきコトをきっちりやりながら、プレーのクオリティを上げていきたい。

(試合に)出られるか、出られないかということを意識しすぎたら、逆にダメになると思いました。だって、プレミアのような場所に来たら、誰も確立されたポジションでできるわけではない。ましてや、自分なんかはまだ結果が出ていない人間。むしろ、逆にやれることなんて限られている。ただ、自分の存在感というのは今シーズン出せていた。自分が出場した試合では、いい流れに持っていけていたと思っていますから」

 同時に、リーグカップで2ゴールを決めた意義についても語る。「ゴールを奪ったことで、この先に続くものは?」との問いに対し、岡崎は次のように話していた。

「やっぱり、(自分の)見られ方だと思うんですよね。昨季もFAカップのトッテナム戦で点を獲って、『岡崎はここでも仕事ができる』という兆しを見せることができた。だから、浮上のキッカケになると思うんですよね、ゴールを決めることによって。そのチャンスを掴むか、掴まないかは、今後の自分次第。でも、自分の立場が大きく変わることはないですね。

 自分ができることって、このチームで大きくは変わらないと思うんです。バーディーのように前線で待って行けるタイプでもない。やっぱり相手のDFとMFの間に入って、厳しいボールでも受けて、はたいて、すぐ前に出て。ゴール前に入っていって、シュートを打つ。もしかしたら、ボールがこぼれて、『ごっつぁんゴール』になるかもしれないけど、それこそが自分のプレースタイルだと思う。こうしたプレーを、これからも胸を張ってやりたい」

 最大の焦点は、「岡崎の存在価値を、ラニエリ監督がどのようにとらえるか」であろう。マンチェスター・U戦で機能しなかったチームを目の当たりにして、イタリア人指揮官の考えがどう変わるのか。このままでよいと判断すれば、9月27日に行なわれるFCポルトとのチャンピオンズリーグ第2節も、バーディーとスリマニの2トップで挑むだろう。一方、昨季のようなプレッシングサッカーを取り戻したいと思えば、岡崎を先発に復帰させるはずである。

 指揮官の判断に注目したい。

田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke